1971年、モンキー・パンチ原作のテレビアニメとして初めてお茶の間に登場し、以来、長きにわたり世代を越えて愛され続けてきた「ルパン三世」シリーズ。2015年には30年ぶりに新シリーズ「ルパン三世 PART4」が放送され、さらに、その勢いを受けて、今年4月より「ルパン三世 PART5」がスタート。第1シリーズ(1971)からの大ファンで、PART5で物語の重要な鍵を握る新キャラクター、エンゾ・ブロンの声優も務めることになった俳優の上川隆也が、あふれる“ルパン愛”を胸に、その人気の秘密を分析した。

 PART5の新キャラクターで、天才的な発想力を持つIT企業の創立者エンゾ・ブロンの声を担当する上川。「ルパン三世」への思いが強すぎて、声優のオファーが来た際、「畏れ多い、僕には値しない」と1度は辞退も考えたという。ところが、「いったん保留にさせていただいたことが功を奏したといいますか、冷静に考えると、こんな機会がめぐってくること事態が稀なこと」と思い直し、最終的には「腹をくくって快諾した」という。収録に臨んだ上川は、「この偉大なシリーズに名を連ねるのが怖い」と萎縮しながらも、「憧れの西村晃さん(『ルパン三世 ルパンVS複製人間(クローン)』のマモー役)や石田太郎さん(映画『ルパン三世 カリオストロの城』のカリオストロ伯爵役)と肩を並べられることはとても幸せだった」と振り返る。

新キャラクター、エンゾ・ブロンのキャラクタービジュアル モンキー・パンチ(C)TMS・NTV

 小学校だった時に第1シリーズに触れ、当初は「ハードな大人の男と女の物語」の意味がわからず距離感を覚えたという上川。「大隅(正秋)さんが演出されていた、その独特の世界観はいまだに支持者も多いのですが、何しろ僕は子供だったので、大人向けの内容が殆ど理解できなかった。それが宮崎駿さんと高畑勲さんに変わってから、急にわかりやすくなって、コメディー要素も多くなった」と述懐。「双方に良さがあると思いますが、僕としてはこの交代劇によって方向転換し、『ルパン』は生き永らえたのではないかと思っています」。

 さらに、「あのまま大人向けに話が進んでいたら、1970年代のスタイリッシュで男らしい『ルパン像』として固まっていたと思いますが、そこにスラップスティック的な描写を取り入れたことで、『多様性』が生まれたと思うんです。ある種、一辺倒ではない魅力が視聴者の目には毎回新鮮に映る。第2シリーズ(1977)が155話も作られたのも、その多様性によっていろいろな要素を盛り込めるようになったからだと思うんです」と力説する。

 多様性を手に入れた「ルパン」は、その何でもありの世界観を利用して物語の舞台をどんどん広げていったと上川は分析する。「第1シリーズは、ほぼ日本が舞台でしたが、第2シリーズでは、第1話からどこか外国の船上が舞台となり、「世界を股にかけて泥棒家業を繰り広げる」というスケール感をルパンに与えてくれた。多様性と自由度、これがあればもうどこが舞台でも物語が成立します。『ルパン三世 ルパンVS複製人間』では、宇宙まで行っちゃってますから(笑)」。

 また、チームバランスにおいても、「独特の関係性がある」と指摘する上川。「ルパンのほかに、次元大介、石川五エ門、峰不二子が仲間として登場しますが、その全てが『揃わなくてもいい』というところも大きな魅力だと思います。それぞれスペシャリストとして明確な性格付けがされていて、扱う事件や盗品によっては『俺は今回は降りる』とはっきり言えるチーム。その象徴が峰不二子。ルパンに対する恋愛感情はいつも曖昧、でも目端ではちゃんとお互いに認識し合っているところがいいんです」とニッコリ。「銭形警部も仲間のようなもの。『捕まえたいけど捕まえたくない』みたいな関係性だから、延々と追いかけっこが続けられるんです(笑)」。

 あふれる“ルパン愛”を胸に、シリーズの魅力を分析してみせた上川。今回、エンゾ役で吹き替えに挑戦しているが、その手応えは? 「やはり、自分自身ではないということが大きいです。ちょっとした間や身体的な動きも含めて、自分の意図していないところにあるので、自分の肉体を通して『演じる』ということとは明確に違います。でも、そこにこそ面白みや演じ甲斐があると思います。声の仕事はいつだって難しいことは十分わかっています。おいそれと出来ることでは無いからこそ、腹をくくったんですから(笑)。そんな上川入魂のエンゾは、7月17日放送の第15話「ルパンと彼女の関係」でいよいよ登場する。(取材・文:坂田正樹)

「ルパン三世 PART5」は、日本テレビ「AnichU」他にて放送中・Hulu他にて配信中

スタイリスト:黒田匡彦

新キャラクター“エンゾ・ブロン”の声優に決定した上川隆也