「時計回りって、なんで右回りなの?」――。こんなことを子どもが聞いてきたら、大人であるあなたはすぐに答えられるだろうか。子どもとの関係は日々のコミュニケーションを通じて築かれるものだが、会話には「話題」も必要。そんなときには身のまわりの出来事だけでなく、“タメになるうんちく”を話してみるのもかなり効く。“今すぐ子どもに話したくなる”雑学5話を紹介しよう――。

※本稿は、『頭のいい子が育つ! 子どもに話したい雑学』(KADOKAWA)を再編集したものです。

■数字3桁ごとの「,(コンマ)」が使われるワケ

日本ではもともと、数字を表記する際には「万」「億」「兆」などの漢数字の単位を使って4桁ごとに区切って記されてきた(例:2万5000)。それに対し、英語やフランス語などラテン語を起源とする言語圏の国々では、「ミリオン(100万)」「ビリオン(10億)」というように、3桁区切りで数字が成り立っている。そのため、3桁ごとにコンマを打つ表記が用いられてきたのだ。

現在の国際ルールでは、簿記・会計における記帳方法には3桁表記が採用されている。日本の場合、国内だけのことを考えると4桁表記のほうが便利なはずだが、貿易をはじめとするさまざまな国際活動において数字は欠かせない。

そこで昭和27(1952)年、国内の各省庁へ「数の桁の区切りは3桁ごとにコンマを用いる」という内容の「公用文作成の要領」が通知され、これ以降、3桁ごとにコンマを打つ表記方法が一般化したのである。

■けっこうよく見る「々」という字の正体

「国々」や「人々」のように、同じ漢字をくり返して書くときに使う「々」の読み方をご存じだろうか。これは、漢和辞典で画数3の欄を引いても載っていない。

実は「々」というこの字、漢字ではなく「記号」なのだ。

この字はもともと、「同」の異字体「仝」から転じて生まれたもので、カタカナの「ノ」と「マ」を組み合わせたように見えることから「同の字点」「ノマ点」などと呼ばれている。

だが、これほど世の中で広く使われているのに、「々」はあくまで記号であって単独での正式な読み方は存在しない。同様の記号には、ひらがなのくり返しを示す「ゝ」、カタカナのくり返しを示す「ヽ」、表などにも使われる「〃」などがあり、まとめて「踊り字」と呼ばれている。

これらは、パソコンのワープロソフトで「どう」「おなじ」「くりかえし」などと打って変換すると出てくるので、覚えておくと便利だろう。

■「時計回り」はなぜ「右回り」なのか?

「時計回り」といえば「右回り」のことを指す。実際の時計の針が右回りに回転することになぞらえ、何かを右に回したり、右回りの順番で行ったりするときに、それを「時計回り」と表現するわけだが、これは左回りの時計が存在しないからこその表現だ。

では、時計はそもそもなぜ右回りと決まっているのか。それは、世界最古ともいわれる時計が右回りで時を刻んでいたことに由来する。

世界最古とされる時計は、およそ6000年前のエジプトで誕生した日時計だ。日時計とは、地面に打った杭(くい)を太陽が照らすことでできる影の動きで時を知るというもの。原始的な日時計は木や石でできた杭の影を見て、おおよその時刻を認識していたが、やがて目盛の概念などが生まれてより実用的になり、世界各地へ伝播(でんぱ)していったと考えられている。

その日時計が生まれた地球の北半球では、時を示す影の動きは右回りに動く。これが、時計の針が右回りになったそもそもの所以(ゆえん)なのだ。だが、もし日時計が南半球で生まれていたら影の動きは左回りとなり、現代の時計はすべて左回りに動いていたかもしれない。

■視力「1.0」などの数値は何を意味するのか?

決められた線の上に立ち、遮眼子(しゃがんし)で片目を隠し、「ランドルト環」と呼ばれる「C」の形をした視標のどこに切れ目があるかを答えていく。これは、学生の頃によくやった視力検査のことだが、測定結果で教えられる「1.0」や「0.5」といった数値は、そもそも何を意味しているのだろう。

例えば、直径7.5ミリの円に1.5ミリの切れ目があるランドルト環を、5メートル離れた位置から見る。どの方向に切れ目があるかが見えれば、視力は「1.0」となる。これが、視力検査の基準である。ランドルト環の切れ目は、検査される側から見ると、角度1分、つまり1度の60分の1に相当する。

視力「0.5」とは、この切れ目の広さが2倍にならなければ認識できない状態のこと。切れ目が「1.0」の人の倍である3ミリになって、やっと認識できるというわけだ。

■「青いワイシャツ」はヘンな英語表現!?

きちんとした装いに欠かせないのがワイシャツである。だがこの「ワイシャツ」、海外ではほぼ通じない和製英語なのだ。

ワイシャツは、袖を広げると「Y」の字になるからこう呼ばれていると思っている人もいるが、それは間違い。Tシャツはれっきとした英語で、袖を広げると「T」の字になるからそう呼ばれるのだが、ワイシャツは「ホワイトシャツ(white shirt)」が日本でなまって生まれた呼称なのである。

white shirtの読みを、あえてカタカナで書けば「ホワイトシャト」となるが、英語ではワイの部分にアクセントがあるために「ワイシャ」と聞こえ、語尾の「ト」も「ツ」に聞こえるので「ワイシャツ」になったのである。

広告などではワイシャツを「Yシャツ」と書いていることがあるが、もともと「Y」とは何の関係もない。さらに、そもそも「白いシャツ」なのだから、「青いワイシャツ」というのも当然おかしな表現ということになる。

ただ、衣類としても言葉としても、ワイシャツは日本の生活に深く根を下ろしている。もはやほかの呼び名にするのは不可能だろう。

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雑学総研(ざつがくそうけん)
珍談奇談の類から、学術的に検証された知識まで、種々雑多な話題をわかりやすい形で世に発表する集団。江戸時代に編まれた『耳袋』のごとく、はたまた松浦静山の『甲子夜話』のごとく、あらゆるジャンルを網羅すべく日々情報収集に取り組む傍ら、最近ではテレビ番組とのコラボレーションも行った。

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写真:KADOKAWA