全国有数のネクタイ生産地・山梨県富士吉田市にある富士吉田商工会議所は5月末、「断固反対!クールビズ」という動画を公開した。動画は。社会人2人が男子トイレでネクタイを直しながら会話しているところから始まる。

男性A「クールビズもっと流行らないかな」
男性B「なんだかんだまだまだですよね」
男性A「いっそ年がら年中クールビズってどうよ」
男性B「あーそれ賛成っす」
男性A「ね、それいいよね。賛成賛成」

この後、「断固反対!クールビズ」という掛け声がかかり、ネクタイが生産される様子が映され「ネクタイ生産日本一 吉田の織物」という紹介が入る。

「産地PRのために反対しているのであって、環境対策に反対したいわけではない」

動画をキャプチャ

古くから「郡内織物」の産地である富士吉田市だが、郡内織物の生産量は最盛期の1970年頃から5分の1、生産額は4分の1の水準にまでなっている。商工会議所の広報担当者は、

「戦後には織物を1回ガチャっと動かすと1万円になって儲かるという『ガチャマン』という言葉があるほどでした。現在も全国有数の織物産地ではありますが、安く作れるアジア各国に流れていっています。また近年定着してきている『クールビズ』もネクタイの売上に大きく影響を与えていますね」

と説明。ただクールビズについては「産地PRのために反対しているのであって、国の政治や環境対策に反対したいわけではない」とコメントしており、実際、商工会議所でもクールビズは導入されている。

「でもクールビズの時期になっても、年間を通してネクタイをしている人が多いです。富士吉田産のネクタイ着用が必須な訳ではありませんが、やはり地元産のものを手に入れる機会や着用は多いように思います」

また全体的な生産量は減ってはいるが、近年、富士吉田産の織物を使ったオーガニックコットンやストール、スタイリッシュなデザインの御朱印帳など、女性向けの商品が人気だという。

「今までは大企業から発注を受けて作ることが多かったのですが、最近は商品を生産者から直接みなさまへ届けるよう、がんばっている人たちも増えています」(同担当者)

「隣町には人が来ているのに、うちには来ていない。なんとかしなければ」

この動画は富士吉田市の産業PRとして「なんだかスゴイが、なにかが惜しい!」というテーマで作成された。公式サイトでは「断固反対!クールビズ」の他にも、「吉田のうどん『アゴに効く』編」「吉田のうどん『じいちゃんち』編」「水『ただの水も』編」という動画も公開されている。

この企画について同担当者は、

「富士吉田市は魅力が沢山あるのに、伝わっていない。またうちは河口湖や山中湖への通過点になっていて、隣の町には人が来ているのにうちには来ない状況です。そんな反骨精神と、なんとかしなければという思いからこの動画を作成しました」

と言うが、「新聞などに取り上げてもらってありがたい反面、ちゃんと伝わるかドキドキしています」と案じている。しかし、評判は上々のようで、

「クールビズ編は織物業者の人から『思い切ったな!』と言われました。また市内のうどん屋で撮影したうどん編は『どこの店なの?』という問い合わせもいただいています。これを機会に富士吉田を知ってもらって、ぜひ脚を運んでもらえたらと思います」

と話していた。