トランプ米大統領の長女イバンカ大統領補佐官は11日、「中国のことわざ」をSNSでつぶやいた。史上初の米朝首脳会談を控えるトランプ大統領に対して批判が起こっていたが、これらをけん制したとみられる。

「成し遂げられないと言う者は、取り組む者の邪魔をするべからずー中国のことわざ」。12日、ツイッターでイバンカ氏は短くつぶやいた。

イバンカ氏のツイートは憶測を呼んだ。米国では、金正恩・朝鮮労働党委員長との会談の準備に取り組むトランプ政権に対して、共和党・民主党の双方から、非核化のスケジュールの不明確さや、北朝鮮の人権問題に言及していないことを批判する声が上がっていた。

「中国のことわざ」としてイバンカ米大統領補佐官はつぶやいた。「成し遂げられないという者は、取り組むものの邪魔をするべからず」(IvankaTrump)

中国ネットユーザたちは、中国共産党政府が朝鮮半島の平和体制構築を促進させてこなかったが、トランプ大統領は緊迫した半島情勢の打開のために邁進していることに関して、イバンカ氏が支持を示した、などの意見もある。

中国では、成功者の象徴としてトランプ大統領の人気は高いが、イバンカ氏は「女神」と例えられるほど熱心なファンもいる。ネットユーザの間では、イバンカ氏の用いた「中国のことわざ」の出典を調べるムーブメントが巻き起こった。英メディアNPRによると、一時は数百万のネットユーザが参加したという。

一部は道家思想の『淮南子・氾論訓』にある「聖人以身體之」(聖人は自ら実行する)とし、またある人は孔子『論語』のなかの「君子欲訥於言、而敏於行」(君子は話よりまず行動で示す)だと推測した。

「中国のことわざ」ではない?

しかし、そもそも「中国のことわざ」ではないとの見方も浮上した。世界中の著名人の言葉を集め、出典を分析するサイト「引用調査者(Quote Investigator)」によると、イバンカさんが書いた言葉は米国の60年代の刊行物にあり、出典不明のまま「儒教の知恵である」「孔子の言葉」などと書かれており、米国では今日までその認識が続いているという。

参考:引用調査者 People Who Say It Cannot Be Done Should Not Interrupt Those Who Are Doing It 「(Quote Investigator)」https://quoteinvestigator.com/2015/01/26/doing/

同サイトによると、フレーズはすでに1903年頃から複数の地方紙の記事に載っていた。当時、飛行機発明家のライト兄弟が世界初の有人飛行に成功させており、多くは急速な近代化とチャレンジ精神の例えとして使用されている。1924年11月26日付ワシントン・ポストには「米国著名人の言葉」として同類のフレーズが引用されている。

中国共産党機関紙・環球時報は、イバンカ氏のツイートで触れた「中国のことわざ」は、中国とは関連がないとした。

中国のことわざなのかどうかは確認が難しいが、イバンカ氏が歴史的な会談に臨むトランプ大統領の姿勢に支持を示したと考えられる。トランプ大統領は13日、ツイッターで「世界から潜在的な核の脅威は遠のいた」と成果を主張した。

(編集・佐渡道世)

トランプ米大統領の長女イバンカ・トランプ氏、2017年4月撮影(GettyImges)