【シンガポール時事】北朝鮮の非核化交渉は、金正恩朝鮮労働党委員長が主張する「段階的」なアプローチで進む見通しが強まっている。正恩氏は、トランプ米大統領との会談で得られなかった「体制保証」の具体的な確約や制裁解除などの「見返り」を、核放棄プロセスの段階ごとに求めるとみられ、交渉は北朝鮮ペースとなりつつある。

 史上初の米朝首脳会談から一夜明けた13日、朝鮮労働党機関紙・労働新聞(電子版)は会談の様子などの写真33枚を掲載し、「朝米関係の新たな歴史を開く世紀の出会い」と大々的に報じた。同紙によれば、両首脳は非核化実現をめぐり、「段階別、同時行動原則を順守することが重要」との認識で一致。トランプ氏は米朝間の対話が進む間は、米韓合同軍事演習を中止する意向を示したという。

 正恩氏は5月の中朝首脳会談で「朝米対話を通じて相互信頼を確立し、段階的で同時的な措置を取ることを望んでいる」と強調。トランプ氏は「非核化は時間がかかる」と述べており、非核化交渉は正恩氏が主導権を握る展開となっている。

 ただ、共同声明には「朝鮮半島の完全な非核化に向けた決意」が明記され、トランプ氏も非核化は「極めて近いうちに始まる」と明言。韓国の専門家は「北朝鮮が約束を破れば中国なども支援できない。北朝鮮が今後1、2カ月で非核化への具体的な行動を取ることが求められる」と指摘する。

 当面の焦点は、正恩氏がトランプ氏に約束したミサイルエンジン試験場の破壊。韓国シンクタンク「新アジア安保研究センター」の朴承帝代表理事は、「試験場は把握しているだけで少なくとも3カ所ある」と述べ、「1カ所だけの破壊では不十分。行動で非核化への北朝鮮の真意を測ることができる」と指摘した。 

〔写真説明〕13日、平壌の地下鉄駅で、米朝首脳会談を伝える労働新聞を読む人々(AFP時事)

13日、平壌の地下鉄駅で、米朝首脳会談を伝える労働新聞を読む人々(AFP時事)