物まね界の“レジェンド”コロッケが、本名の滝川広志として初主演を務める映画「ゆずりは」が6月16日(土)に公開。

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新谷亜貴子の同名小説を原作に、実在の葬儀社を舞台にした心温まる交流を描く本作で、葬儀社のベテラン社員・水島(滝川)の心を動かすことになる新入社員・高梨を演じるのが、若手注目俳優の柾木玲弥だ。

さまざまな役を演じ分け、“次世代カメレオン俳優”として注目を集める柾木に、作品の印象や役へのアプローチ、共演の滝川について、そして作品にちなんで最近の“出会いや別れ”にまつわるエピソードを語ってもらった。

――この脚本を読まれて、最初にどう思われましたか?

最初は重い話なのかなと思っていたんですけど、人それぞれの成長が描かれていて、僕が演じる高梨もすごく純粋な男。劇中で、結構いいことを言っているんです。

それは、決して意図的ではなく、彼にとっては普通のこと。きっと、見終わった後に、ほっこりするようなお話だろうなと思いました。

――今回の役は、オーディションで決まったんですか?

普通のオーディションのように芝居をするという感じではなくて、加門(幾生)監督と面談のような形で、いろんなことを話しました。会話の内容はホントにたわいないもの。あまりないパターンでしたね。

――そういう珍しい形で出演が決まったということですが、今回演じた高梨歩という青年は、どんなキャラクターですか?

すべての行動や言動が素直。裏がなくて、真っすぐな青年という印象でした。あまりにも素直過ぎるから、それを表現するのは結構大変だなと。

演じるということ自体が“うそ”のようなものなので、高梨の素直な感じをどうやって出していけばいいのか。“真の芝居”みたいなものが大切になってくるのかなと思いました。

――役作りで工夫した点はありますか?

いつも以上に、他のキャラクターのセリフをしっかり聞いたり、それぞれの動きを見たり。台本も丁寧に読み込みました。

きちんと気持ちを入れることによって、高梨らしく素直に涙が出てきたり、素直に笑えたりするのかなと。結構、泣くシーンが多かったので、気持ちの込め方には苦労しました。

■ ほぼ、泣かないと思います(笑)

――柾木さんは、高梨ほど涙もろくはないですか?

僕は全然、涙もろくないですね。ほぼ、泣かないと思います(笑)。役に入り込める時は自然と涙が出てくるんですけど、気持ちを盛り上げるまでに時間が掛かったシーンもあったりして。

そういう時は、加門監督と相談しながら気持ちを作って本番に臨みました。

――今回の作品は、コロッケさんが本名の「滝川広志」として主演を務めていますが、共演した感想は?

“滝川広志としてやる”というコロッケさん自身の強い思いを感じました。当たり前のことなんですけど、劇中ではいつものコロッケさんはどこにもいない。

コロッケさんを見に行こうと劇場に行っても、ものまねタレントとしてのコロッケさんは一切出てきません。俳優の滝川広志さんが、そこにいたという感じです。

――確かに、劇中はどこにもコロッケさんがいませんでしたね。

誰よりも加門監督と話し合っていましたし、本番になると完全にスイッチが入っている感じでした。コロッケさんではなく“役者・滝川広志”として演じられていて、すごく真面目な方なんだなと思いました。

――コロッケさんとお会いしたのは初めてですか?

今回、初めてお会いしました。とてもフレンドリーな方で、僕は人見知りなんですけど、いろいろ話し掛けてくださいました。誰にでも平等に優しい方。

撮影の合間には、たまに物まねを披露してくださって(笑)、現場は楽しかったです。

■ オカメインコの話に共感

――劇中では、高梨が以前飼っていたオカメインコが死んだ話をするシーンが印象的でした。

僕も似たような思い出があるんです。小学校6年生の時に、猫を拾って飼い始めたんですけど、すぐ死んでしまって。その時、すごく悲しかったんです。だから、高梨が語るオカメインコのエピソードは共感できる部分でした。

――柾木さんは人見知りだというお話でしたが、人との距離感が近い高梨のコミュニケーションについてはどう思いましたか?

単純にうらやましいなと思いました。あんなに仲良くしゃべることはできませんから(笑)。自分とは正反対ですね。

――今回の作品に参加したことで、何か変わった部分はありますか?

劇中では、泣いたり悲しんだり、笑ったり。自分のセリフで、ある女の子の気持ちを引き出すなど、演じたキャラクターがキーとなることが多かったんです。

だからこそ、いつも以上に台本と向き合う時間が長かったですし、一つ一つのシーンを丁寧にという意識が強かった。これからも、今回と同じような気持ちでしっかりと演じていきたいなと思っています。

――「死」に対する考え方は変わりましたか?

これまでは、あまり考えたことがなかったんですけど、あらためていつかは来るものなんだなと思うようになりました。それをどう受け止めるのか。どんな形で残される人たちにつないでいくのか。作品を通して学んだような気がします。

――“ゆずりは”は、一年を通じて緑の葉を絶やさない常緑樹。若葉が育つのを見届けて古い葉が落ちていきます。その様子は、親から子、子から孫へと受け継がれる命のバトンのようですが、今回共演した先輩の俳優さんから学んだことはありますか?

僕にとっては、皆さん大先輩ですから。一つ一つのセリフが心に響きました。

今の僕にはどう頑張ってもできないこと。この先、いつまで俳優をやれるかは分かりませんけど、僕も年齢を重ねていきながら皆さんのように重いセリフを言えるようになれたらいいなと思いました。

――高梨が葬儀会社に入社する際、面接で自身の長所と短所を語るシーンがありましたけど、柾木さんの長所と短所は?

短所は、すぐ言えます(笑)。これは、長所でもあるかもしれませんけど、一つのことに集中すると、他のことがおそろかになってしまいます。

それだけ、のめり込んでいるということなんですけど、物をよく失くしたり、忘れ物が多くなるという弊害がありますね(笑)。

長所は…、これも短所でもあるかもしれませんが、中途半端なことができないんです。自分の中に、0か100しかない。テンションを上げようと思ったら100になっちゃうし、下げようと思ったら0に。ちょうどいい具合にならないんです。極端過ぎますよね(笑)。

■ 出会いと別れ

――物語は「生」と「死」、そして「出会い」と「別れ」が描かれていますが、最近の出会い、もしくは別れにまつわるエピソードはありますか?

ものすごくユルい話になるんですけど(笑)、大好きなドラマが終わりに近づくとすごくイヤです。まだ見ていたいと、毎回思っていますね。

――自身が演じているキャラクターに関しても、思ったりしますか?

この役をもうちょっと演じたかったなと思うことはあります。「雨が降ると君は優しい」のような、ちょっとサイコパス的キャラは自分とかけ離れているので、特に強く感じます。

――葬儀会社の仕事について何か感じたことは?

あまり意識したことはなかったんですけど、皆さん信念を持って亡くなられた方たちをお送りしていて、自分の仕事に誇りを感じていらっしゃるんだなと思いました。

撮影現場では、葬儀会社の方たちに指導していただいて、佇まいやセレモニーの時の細かい動きなど、リアルに再現しています。

若い世代、人生でたくさんのことを経験された世代、それぞれいろんな感じ方ができる作品。ぜひ、劇場に足を運んで見ていただけたらうれしいです。(ザテレビジョン・取材・文=月山武桜)

柾木玲弥が「ゆずりは」インタビューに応じた