スマートなイケメンである。Aブロックに参加し、橋本崇載八段(35)、藤井聡太七段(15)、近藤誠也五段(21)とのサバイバルに臨む三枚堂達也六段(24)が漂わせる空気は、勝負師というより数学者のように、外資系企業のエリートのようにも映る。

 印象的な名字は昨年7月、上州YAMADAチャレンジ杯トーナメント準々決勝で全国に轟いた。史上最多の29連勝が止まった直後の藤井四段(当時)と219手の大激戦を演じて勝利した。


 勢いに乗り、翌月には同棋戦を制して棋戦初優勝を飾ると、同11月の竜王戦5組で2期連続昇級を果たして六段に昇段した。デビュー4年での六段は順調すぎるほどのスピード出世だろう。


 祖父が知人だった縁で関西の大御所である内藤國雄九段に入門するが、千葉県在住だったため、幼少期から石田和雄九段が主宰する「柏将棋センター」で研鑽を積んだ。本棋戦にも参戦している高見泰地叡王(24)、佐々木勇気六段(24)らと同じ道場で切磋琢磨し、才能を磨いてきた。


 ところが、2004年に11歳で奨励会に入会した後、壁に直面する。高見少年と佐々木少年が駆け抜けるように昇級昇段を重ねていく中、三枚堂はひとつずつのステップで停滞し、もがき苦しんだ。


 転機となったのは11年3月、18歳の初段だった当時に発生した東日本大震災だった。 震災によって甚大な被害を受けた岩手県大槌町に三枚堂地区という集落がある。自らのルーツである場所で、母方の親戚を亡くした。


 その後、被災地を訪問し、津波によって壊滅した街を見つめながら思った。「自分は好きな将棋を健康な体で指せている。なんて幸せなんだろうって」。前を向いて、強い思いで夢を追った。2013年に三段昇段。初参加の三段リーグで13勝3敗の好成績を挙げ、小倉久史七段、屋敷伸之九段、川上猛七段、松尾歩八段に続く史上5人目の「1期抜け」を果たした。


 居飛車党で、若くして「桂馬使いの名手」とも称される。早指し棋戦では、やはり持ち時間各20分で指される昨年度のYAMADA杯で披露した指し回しが印象に残る。藤井四段(当時)との一局は超絶的に難解な局面のまま一分将棋に突入し、219手に達したが、最終盤までコンピュータソフトが示す最善手を指し続けて控室にうならせた。


 5月に週刊少年ジャンプで連載がスタートした将棋漫画「紅葉の棋節」の監修を務める。竜王を目指す天才棋士や女性初の棋士が登場するストーリー。こちらも必読だ。


◆AbemaTVトーナメント Inspired by 羽生善治 将棋界で初めて7つのタイトルで永世称号の資格を得る「永世七冠」を達成した羽生善治竜王が着想した、独自のルールで行われる超早指し戦によるトーナメント。持ち時間は各5分で、1手指すごとに5秒が加算される。羽生竜王が趣味とするチェスの「フィッシャールール」がベースになっている。1回の顔合わせで先に2勝した方が勝ち上がる三番勝負。予選は藤井聡太七段が登場するA組からC組まで各4人が参加し、各組2人が決勝トーナメントへ。シードの羽生竜王、久保利明王将を加えた8人で、最速・最強の座を争う。

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▶6/17 20:00~ 第1回AbemaTVトーナメント Inspired by 羽生善治 #1-1