日本の海洋研究チームは、紀伊半島の南東の海底泥火山を海底探査したところ、天然エネルギー資源であるメタンハイドレートが存在していると報告した。

国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)は6月14日、海底資源を研究する井尻暁主任研究員ら研究チームが地球深部探査船「ちきゅう」を使い、紀伊半島の南東にある熊野海盆の海底泥火山を掘削し、泥火山内部の堆積物を採取した。

分析の結果、この泥火山の山頂から590メートルの深さまで安定的にメタンハイドレートが存在し、その量は約32億平方メートルに及ぶという。これは、これまで報告されてきた海底泥火山一つあたりに含まれるメタン量の約10倍以上になる。

発表によると、熊野海盆にはこれまで13個の泥火山が確認されており、今回調査を行った第5泥火山は、活動的な泥火山と考えられている。

また、地震探査データ解析によると、メタンの90%以上は、H2とCo2からメタンを生成する微生物(メタン菌)により生産されたものであることが明らかになった。熊野海盆堆積物中の海底下400~600 mの深度では、微生物によるメタン生成場と推察される地層があるという。

JAMSTECは報告で「1・メタンハイドレートとして存在するメタンの量が従来の試算よりも一桁多いこと、2.微生物起源メタンの寄与がこれまで考えられていたよりもはるかに大きいこと」とまとめた。

石油や石炭に比べ2酸化炭素排出量は半分程度であることから、地球温暖化対策の代替天然エネルギーとして注目されるメタンハイドレート。西日本の南海トラフ周辺には、世界でも有数のメタンハイドレートが存在することがわかっている。しかし、探索・採取が困難であり、メタンを取り出すのも高度な技術的作業が必要なため、現時点では商業化されていない。

このプロジェクトには日本、ドイツ、米国、デンマークの大学、研究機関と共同で行われた。また、科研費、最先端研究基盤事業、米国の国立科学基金などの助成を受けて実施された。研究報告は米科学誌「Science Advances」に6月14日付け(日本時間)にも掲載される。

(編集・甲斐天海)

メタンと水に分離し燃えるメタンハイドレート(アメリカ地質調査所)