楽天は6月14日、MVNO(仮想移動体通信事業者)「楽天モバイル」のプラン「スーパーホーダイ」の料金体系をリニューアルすると発表した。高速通信容量を使い切っても約1Mbpsでデータ通信できるプランを昨年8月から提供しているが、2年以上の長期契約なら月額料金を割り引く「長期割」などを新たに設ける。

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●楽天モバイルは「最強」

 「長期割」は、最低利用期間を1年、2年、3年の中から選択でき、2年を選んだユーザーの月額料金から毎月500円、3年の場合は毎月1000円を割り引く。

 このほか、2年間にわたって「楽天会員」の月額料金から500円を割り引く「楽天会員割」、特典の条件を満たした「楽天ダイヤモンド会員」の月額料金を、契約1年目限定でさらに500円割り引く「ダイヤモンド割」も始める。

 従来の「スーパーホーダイ」料金体系は、通信容量2GBの「プランS」が2980円(税別、以下同)、6GBの「プランM」が3980円、14GBの「プランL」が5980円だった。今後は、「楽天会員」は月額1480円から、「楽天ダイヤモンド会員」は月額980円から利用できる。

 楽天の大尾嘉宏人執行役員は同日開いた発表会で、「楽天モバイルは、まさに“最強”になった。皆さんも、そう思いませんか?」と報道陣に呼び掛けるなど自信を見せた。

●「サブブランドよりも便利」

 さらに、高速通信を毎月24GBまで利用できる「プランLL」(月額6980円)も新設する。「スーパーホーダイ」とセットになっている通話定額サービスも拡充し、1回当たりの通話時間の上限を7月1日から従来の5分間から10分間に延長する(追加料金は不要)。

 大容量プランの新設により、通信容量をS・M・Lの3段階としているソフトバンクとKDDIのサブブランド「Y!mobile」「UQ moblile」との差別化を図る狙いもある。

 大尾嘉執行役員は会見で、「Y!mobile」「UQ moblile」との価格やサービス面の差をまとめたボードを掲げ、「(長期契約した場合は)楽天モバイルはサブブランドよりも便利。安くいいサービスを使いたいユーザーを獲得していきたい」と強気の姿勢を見せた。

●なぜMVNOの「長期優遇策」を強化?

 ただ楽天は、17年12月に携帯電話事業への参入を発表。4月に総務省から第4世代移動通信システム(4G)向け1.7GHz帯を割り当てられ、MNO(移動体通信事業者)として19年10月のサービス開始を予定している。

 キャリア参入が1年半後に迫ったこのタイミングで、楽天はなぜMVNOの長期契約者を優遇する施策を展開したのか。同社の三木谷浩史社長は、過去に「ゆくゆくはMVNOユーザーはMNOに乗り換えてもらいたい」という旨の発言をしているが、その場合は長期契約者はどうなるのか。

●キャリア参入後もMVNOは継続

 会見では、報道陣からこれらの点について多くの質問が飛び交った。それに対し、大尾嘉執行役員は「このタイミングでスーパーホーダイを刷新したのは、顧客のニーズがあったからだ。大容量プランの開発も以前から進めており、準備が整ったため」と話すにとどまった。

 一方、今後の方針については「キャリア参入後もMVNOは継続し、MNOと並行して提供する。回線は、引き続きNTTドコモから借りる」と宣言。ドコモ側が、キャリア参入後は“ライバル”となる楽天に回線を貸すことを拒むのでは――との指摘も出たが、大尾嘉執行役員は「ドコモ回線を利用していく」と繰り返した。

 MNOへの移行については「ネットワークが整い、魅力的なサービスを提供できると判断した時点で『MNOもいかがですか』とユーザーに提案する予定。どちらを選ぶかはユーザー次第だ」と説明した。

 「ただ、最終的にはわれわれ独自のサービスに移行してもらいたい。参入後はよりベターなプランを提示して、乗り換えを図っていく。移行の際、楽天モバイルのユーザーにはメリットがある形にする」とし、何らかのインセンティブを設けて乗り換えを加速させることを示唆した。

●「長期優遇策」強化の真の狙いは

 大尾嘉執行役員の一連の発言を鑑みると、(1)他社のサブブランドよりも安い「長期優遇策」を設けてMVNOのユーザーを囲い込み、(2)キャリア参入時に新プランやインセンティブを提示してMNOに移行させ、(3)目標に掲げる「300万人超の会員がいる状態でのサービス開始」を実現する――という楽天の狙いが透けて見える。

 報道陣から「長期優遇策を駆使して会員を300万人に増やせるか」と問われた大尾嘉執行役員は、「数字自体は野心的だとは思うが、楽天モバイルは“最強”だからできる。頑張ります」と不敵に笑った。

楽天の大尾嘉宏人執行役員