あなたは、家出をしたことはあるだろうか? 学校に行くのが嫌で、家で母親に怒られて……『家出』が頭をよぎった人、もしくは夜遅くまで家に帰らず親が探しに来たという人もいるかもしれない。そのように、『家出』と聞いて多くの人が幼い頃に記憶を遡らせたことだろう。しかし今、働き盛りの20~30代の『オトナ家出』が増加している。その理由は何なのか? 調査実績44年の老舗で人探しに定評のある「原一探偵事務所」の探偵に話を伺ってみた。

○今、『オトナ家出』が増えている

警察庁が昨年6月に発表した「平成28年における行方不明者の状況」によると、警察が届出を受理した数は、2014年より年々増加しており、2016年は84,850人にのぼる。また、年齢別の統計を見てみると、最も多い10代に次いで20代、30代の行方不明者数が多い。2015年以降、10代の人数が減っているにもかかわらず、20代の行方不明者は増加の一途をたどっているのだ。

『オトナ家出』の増加に対して原一探偵事務所(以下、探偵)は「弊社に寄せられる家出失踪人の調査依頼でも、20代前半の新社会人、入社して2~3年の若手社員の家出が増加しています。家出する多くの人が学生時代とのギャップ、仕事の辛さなどを理由に家出してしまうという人が多いようです。また、今はネット環境の発達により、オンラインゲームやSNSで知り合った見ず知らずの人からの影響も大きく、そこからの助言などをきっかけに家を飛び出してしまう人も多いという印象を受けています」

原一探偵事務所に寄せられた家出失踪人の調査問い合わせの統計を見てみると、上記の警察庁の調べと同様に年々増加傾向にあることはもちろん、特に5、6月の数値が高いことも見てとれる。

「年間を通しても言えることですが、大型休暇明けは家出が増加する傾向にあります。中でも、春の新生活の時期とも被るゴールデンウィーク明けの5、6月は家出が多いですね」と探偵は話す。5月病はもちろん、最近では6月病という言葉も聞かれるように、連休明けに仕事への嫌悪感を拭いきれない若者が多いようだ。
○『オトナ家出』をする若者の特徴

では、『オトナ家出』をする人の特徴はあるのだろうか。探偵に聞いてみたところ、以下のような性格や趣味、ライフスタイルの特徴を持つ人が家出する傾向に多いようだ。

・真面目
・一人暮らし
・友人が少ない
・ひとりっ子
・大人しい性格
・内向的な趣味(マンガ、ネット、ゲームなど)

「『周囲に悩みを相談できる人がいない』ということで、自分の中だけで思い悩み、ついには家出してしまうケースが多いです。ご家族と一緒に暮らしていても日ごろから会話が少ないため、ご家族の方も『なぜ家出してしまったのか、わからない』という人も少なくありません。最近増加している傾向として、オンラインゲームやSNSの中だけでは、親しくチャットを交わす友人がいて、彼らの助言などを得て家出をしてしまうケースもあります」
○家出をする動機は何なのか?

家出の動機は、男女によって大きく異なるのだという。まず、前述の警察庁調べの行方不明者の男女比を見てみると、男性は約7割、女性が約3割。圧倒的に男性の数が多いのである。原一探偵事務所に寄せられる相談も、7~8割が男性だという。これについて探偵は「もちろん、経済力や仕事内容などにもよっても異なりますが、基本的には女性の方がメンタルが強い傾向にありますので、家出数も女性の方が少ないです」。

このように男女の比率が大きく違うこともあり、家出の動機についても男性と女性で大きく異なるのだという。それぞれ探偵に特徴を聞いてみた。

・男性の家出動機
「やはり最も多いのは『仕事での悩み』です。学生時代には感じることがなかった仕事へのプレッシャーはもちろん、男性は上司や同僚との飲みの付き合いも多く、今はそういった業務時間外での拘束も精神的な負担になってしまっている人が多いようです。また、一番の悩みとしては仕事があるものの、私生活でも恋人や奥様との関係がうまくいっていなかったり、公私ともに問題を抱えてしまったときに耐えかねて家出という選択をしてしまう人が多いです」

・女性の家出動機
「男性のように仕事が直接的な動機になる場合は少なく、女性は『異性関係の悩み』が大多数を占めますね。恋人や旦那様との不仲、または不倫男性との関係のもつれ、駆け落ちといった理由で、行方をくらませてしまう方が多いように感じます」

これらの統計を見ると、今の若手社員と30~50代が考える社会人像にはズレが生じてしまっているようにも感じられる。そのズレこそが『オトナ家出』の増加につながる要因のひとつかもしれない。次回からは、実際に探偵に調査を行った20~30代の若者における『オトナ家出』について見ていきたい。

○原一探偵事務所

調査実績44年の探偵事務所。埼玉県・川越の本社のほか、全国主要都市に18拠点を構える。創業以来、"証拠のとれる調査会社"をモットーにし、長いキャリアを持つ調査員が大勢所属していることに加え、常に独自の調査方法の研究・開発を行い、同時にハイテク機器の導入や応用開発にも積極的に取り組むことで、満足度の高い調査を実現している。
(小井こぞう)

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