元テニスプレーヤーで会社役員の杉澤修一容疑者が、5月30日に知人から現金2億1,600万円を騙し取った詐欺容疑で警視庁に逮捕された。一報を聞いた筆者は、杉澤容疑者に別件で被害にあった、神奈川県横浜市で不動産会社を経営する女性社長のYさんに「ついに逮捕されましたね」と電話。杉澤容疑者の詐欺の手口を改めて取材した。

 杉澤容疑者は2006年、当時TBS系で堺正章が司会を務める料理番組『チューボーですよ!』(TBS系)のアシスタントを務めてブレークした、同局の木村郁美アナウンサーと出会って、4カ月でスピード入籍。当時、杉澤容疑者はスポーツマネジメント会社「スカンジナビア」を設立。元広島カープ選手の高橋慶彦氏や有名プロテニス選手のマネジメントに加え、東北楽天イーグルスの球団運営サポートなど幅広くビジネスを手がけており、若手起業家として注目されていた。

 当初、木村アナは“玉の輿婚”と言われ、羨望の眼差しを向けられたが、杉澤容疑者は結婚後、木村アナの“知名度”を利用して信用性をもたせ、「会社を上場する」と言ってあちこちから資金を集めていた。ところが、上場話が一向に進むことはなく、債権者とのトラブルが表面化。木村アナは杉澤容疑者の一部借金の保証人になっていたために、借金返済を肩代わりせざるを得なくなった。

 トラブルに巻き込まれた木村アナは09年に離婚。離婚後、杉澤容疑者は、故・マイケル・ジャクソンの遺品展における架空のグッズの独占販売権を餌に借金を重ねて、訴訟トラブルを抱えていった。

 その被害者の1人が、前述したYさんだった。筆者は親しいテレビ制作会社のプロデューサーを通じて、Yさんと知り合った。Yさんはマイケルの熱狂的なファンだったことから知人に杉澤容疑者を紹介され、6,500万円の融資を申し込まれたという。後に架空の独占販売権だということを知って、「杉澤に騙された」と激怒。12年2月、Yさんは杉澤容疑者らを東京地裁に提訴。その後、刑事告訴したが、立証困難でうやむやに終わっている。

 その後、14年の2月には、杉澤容疑者の会社であるスカンジナビアが経営破綻。破産総額は24億円にまで上った。破産により、スカンジナビアの名前を使えなくなった杉澤容疑者は、赤字続きで債務超過になっている飲食経営の別会社の名前を使って、融資を募ろうとしていたという。

 警視庁は杉澤容疑者を詐欺で内偵していたが、詐欺というのは立件が難しいために逮捕に踏み切れなかった。今回、やっと逮捕に至ったのは、16年9月に会社役員の男性に「球団からグッズの発注を受けているが資金不足で商品を作れない。製造代金を立て替えてくれたら、立て替え代金の10~15%の配当を出します」と虚偽の説明をして、2億1,600万円を騙し取った別件の詐欺容疑によるものだった。

 Yさんによると、余罪はどんどんと出てくるという。

「神戸では地面師のような土地の詐欺で3億円。福島では建材屋に対して野球グッズなどあらゆる詐欺の材料を使って12億円借金。そのうち、2億円だけ返済したんですが、残りは回収不能。捜査の手は全国に渡って伸びますよ」

 今回、杉澤容疑者が逮捕に至った詐欺容疑は氷山の一角。これからの捜査の行方に注目したい。
(文=本多圭)

杉澤修一容疑者(本人ブログより)