小雨降る梅雨の某日、暑いのか肌寒いのかよく分からない気候で疲労を蓄積しつつも向かった先は、中野区新井の「中野寿湯温泉」である。JR中央線「中野」駅下車。北口のアーケード、サンモール商店街と中野ブロードウェイを抜けきる。そこから早稲田通りを渡ったところ、新井薬師商店街なるストリートの中にこの銭湯はある。駅からだと徒歩8分くらい。

○東京で「温泉」を名乗るには

マゼンタピンクの派手な看板には「天然温泉 中野寿湯温泉」の文字が。こちら、区内で唯一の天然温泉銭湯なのだ。関西などでは「◯◯温泉」という屋号がごく一般的な銭湯の名前として使われるケースが多いが、東京はその辺かなり律儀である(例外がないわけではない)。しかもこちらの銭湯、以前から使っていた地下水を調査してみたところ、なんとこれが温泉であることが判明。2013年に「寿湯」から現在の屋号に改名したという変わったエピソードもある。

開店は16時から。雨なのに5分前に到着してしまったところ、開店を待つ先客も4~5人。玄関には水が流れ落ちる仕組みの置物。湯気が出ていたので、もしかしたら温泉水なのかもしれない。そうこうしているうちにオープン。板鍵の下足箱に靴を入れ、フロントに。

ロビーには、ソファやマッサージチェア、マンガ棚など。窓際にはDVDソフトがズラリと並んでいたが、店主の趣味だろうか。男湯は右、女湯は左の脱衣所に進む。ロッカーは3面分。壁側にはHOKUTOW製のはかりと、ぶら下がり健康器がある。さらにこちらから小さな屋外スペースに出られて、そこが喫煙場所になっている。境目側には洗面台。その上にテレビ。そのほか、自販機や腰掛けなど。なんやかんやしている内に、相客は6~7人ほどになった。
○「メタケイ酸」で肌すべすべ

男湯のイメージ(S=シャワー)

浴室に入ると、まず目立つのが正面の壁に掲げられた「美肌の湯」のプレート。こちらの温泉はどうやら「メタケイ酸」という成分が豊富らしく、これは保湿や新陳代謝の促進に効果があるらしい。店の人も温泉と気づかなかったというだけあって、湯はほぼ無色・無臭。

設備としては、浅風呂、深風呂、ジェットバス、さらに水風呂とサウナ(別料金)があり、申し分ない。また、うたせ湯が少々変わっていて、一般的な頭上高い位置から水が噴出されているのではなく、滝型の湯口のような形状をしている。湯はおおまかに42度くらいでちょうど良し。

実は、「寿湯」時代にも二度ほど訪れたことがあるのだが、基本的に内部は以前と変わらない。ただ、それでもやはり、天然温泉のインパクトは強し。特に中野のようなにぎやかな街の中で、ワンコインで気軽に楽しめる温泉は貴重だ。

※イメージ図は筆者の調査に基づくもので正確なものではございません

○筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)
1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作。
(高山洋介)

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