昨年1年間の大麻事件の摘発者が過去最多の3000人を超えた。警察庁の意識調査によれば、摘発者のうち大麻に危険性があると答えたのはわずかに約3割。カジュアルな気持ちで大麻に手を出してしまう若者たちに、かつて大麻に手を出していたオジサン世代まで手を焼いているようだ。

◆繁華街のキャッチ経由や匿名アプリで手軽に入手

 5月22日、大麻リキッドなどを所持していたとして、人気ラッパー・UZIに懲役3年、執行猶予5年の判決が下されたことが話題となった。そんななか、昨年の大麻事犯による検挙人員は、過去最高の3008人を記録した。

 データを見ると若年層で大麻がブームになっていることがよくわかる。人口10万人あたりの検挙人数を見ると、20~29歳では’14年の5.0人から’17年は9.4人と約2倍。20歳未満に至っては1.1人から4.1人と約4倍にも跳ね上がっている。なぜ、大麻を手にする若者が急増したのか? 理由のひとつは、価格の安さだ。

「1g6000円~1万円程度で、5gから買えることが多い。僕が買い始めたのは、2年くらい前で、1年で50万円は使いました」

 そう語るのは、都内のPR会社で働く木田信夫さん(仮名・25歳)。

「昔は危険ドラッグをやってたんです。でも、最近の危険ドラッグはまったく効かないか死ぬほど効くかのどちらか。だから安心して使える大麻に切り換えました」

 大麻を売る側のプッシャー・B氏に話を聞くと、木田さんのように危険ドラッグから薬物に手を染め始めた例は珍しくないという。

「4年前に兵庫県で危険ドラッグ販売店を規制する条例が施行されたんです。それを機に関西のプッシャーが一斉に東京に流れてきた。売る人数が増えて、手に入りやすくなったこともあり、ここ2~3年で大麻の需要は一気に10倍くらいになりました」

 さらに、プッシャーとの接触が簡単なのも大麻流行の一因だ。大手運送会社に勤める中田弘人さん(仮名・28歳)に購入法を聞いた。

「『オッパイどうですか?』とか声かけてくるキャッチがいるじゃないですか? 彼らに大麻が欲しいことをにおわせてお金を渡すと、プッシャーと会う場所を指定されるんです。大麻の受け渡しはゲーセンのトイレなど監視カメラに写りにくい場所。プッシャーの信用問題になるので、お金を持ち逃げされることもありません」

 一方、ネット上では掲示板やアプリを通じて接触する。

「まずはIPアドレスを隠せるブラウザを利用して、掲示板でプッシャーと連絡先を交換。値段や受け渡し場所は自動的にメッセージが消去される匿名アプリで決めます。ネット経由だと値段も安く、3gで1万5000円くらい。プッシャーというと強面の男をイメージしがちですが、キャバ嬢風の女のコだったり、フツーのカッコをした20~30代の男ばかりですよ」(都内在住のCさん・25歳)

 こうした状況を受け、警察も対応に本腰を入れている。歌舞伎町~大久保エリアで聞き込みをしたところ、「大通りのど真ん中で、靴を脱がされて靴下まで調べられた」「平日の昼間に彼女とラブホを出たら、荷物検査された」などの声も挙がった。果たして、一般人まで巻き込んでの“職質ラッシュ”は、若者の大麻ブームに歯止めをかけることができるのだろうか?

<写真/CTK/時事通信フォト 時事通信社>
― 若者の大麻ブーム ―

大阪市内で押収された大麻草。簡単に大麻が手に入る状況を食い止めるには、流出元を取り締まることが鍵になる