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 フィットビット・ジャパンは、フィットネス機能に特化したスマートウォッチ「Fitbit Versa(ヴァーサ)」を6月15日より発売を開始する。発売に先立ち、6月5日にGINZA SIX13階ザ・グラン銀座にて、新製品発表会とアプリ開発者向けイベントが行なわれた。

 フィットネストラッカー(活動量計)のトップシェアメーカーとして君臨したFitbitは、活動量計市場が縮小傾向にあるなか、2016年末にスマートウォッチメーカーのPebbleを買収。2017年10月にはPebbleの資産を受け継ぐFitbit OSを搭載した、同社初のスマートウォッチ「Fitbit ionic」を発売した(国内では2018年1月発売)。新モデルの「Fitbit Versa」は、女性向けのヘルスケアトラッキング機能が搭載し、より幅広いユーザー層の獲得を狙う。

女性のための健康状態のトレッキング機能を搭載

 Fitbit Versaは、軽く丈夫なアルミニウム製の角丸ケースにシリコンベルトのシンプルなデザインで、スポーツシーン以外でも身に着けやすい。シャープなフォルムのFitbit ionicに比べて、カジュアルで親しみやすい印象だ。

 歩数、心拍数、睡眠トラッキングなど活動量計としての基本機能に加え、iPhone/Androidスマートフォンと接続することで電話やメッセージの着信通知、ニュースや天気予報などの各種アプリ、音楽コントロール、内蔵NFCチップでの決済(日本未対応)、といった機能を備える。また、4日以上持続する長寿命バッテリー、水深50mの高い防水性能が特徴だ。ionicで内蔵されたGPSはVersaでは非搭載となり、位置情報はスマホのGPSから取得する。

 新機能として女性の健康状態のトラッキング機能と、テキストメッセージへのクイック返信機能が追加された。

 女性の健康状態のトラッキング機能は、生理周期や体調などをカレンダーに登録することで、生理期間の予測や妊娠しやすい期間を確認するためのものだ。同機能は5月からリリースされ、米国では、すでに240万人以上のユーザーが利用しているとのこと。心拍数や活動量、睡眠などのデータと組み合わせることで、将来的には女性の健康に関するデータベースとしての活用が期待される。

 日本国内では、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険がFitbit Versaを約300台導入することを決定しており、女性社員を中心に貸与される予定だ。

ヘルスとフィットネスに特化し、健康関連のアプリと機能強化に注力

 Fitbitがフィットネス向けウェアラブルデバイスとして生き残るカギとなるのは、Fitbit OSによるサードパーティー製アプリの拡充と、同社がデバイスやコミュニティーなどを通じて収集・蓄積した膨大なデータの活用だ。同社の進めるスマートウォッチ戦略を、Fitbitのシニアデベロッパー・エバンジェリストのフレドリック・ハーパー氏に聞いた。

Webベースの開発キットの無償公開で、開発者のすそ野を広げる

 スマートウォッチの良さは、単なる活動量計としてだけではなく、さまざまな文字盤のデザインやアプリの追加によって、ユーザーが使いやすくカスタマイズできることだ。つまり、ユーザーのニーズに合った良質なアプリを提供することが重要になる。そこで、Fitbitではアプリの開発をサードパーティーに委ね、Webブラウザーベースの開発キット「Fitbit Studio」を無償提供している。

 開発キットの公開から約8ヵ月で900以上のアプリやクロックフェイスが公開されており、ニュースや株式情報、ゲームなど、多彩なジャンルのアプリが揃いつつあるという。

 Fitbit Studioでは、JavaScriptとSVG&CSSを使用し、ノンプログラマやWebデザイナーでも魅力的なクロックフェイスを簡単に作成できる。Pebbleを継承しているので、豊富なサンプルコードやデベロッパーコミュニティがあるのも大きい。作成したアプリは、アプリ ギャラリーを介してユーザーへ配布できる。

コミュニティーの活用で、ユーザーのニーズに合わせたアプリを開発

 しかし、今のところ日本語のアプリは少なめだ。クロックフェイス以外の、健康に役立つ便利なアプリが登場しなければ、いままでの活動量計とあまり変わらない。

 ハーパー氏によると、開発者コミュニティーの登録者数では、日本人が全世界で7番目に多いそうだ。
「アプリのニーズは、国や地域ごとに異なる。例えば、日本ではスマホアプリ『あすけんダイエット』がヒットしているが、カナダでは全く知られていない。日本のユーザーのニーズにマッチしたアプリが登場してくるだろう」

 ポテンシャルの高い外部デベロッパーを獲得するために、Fitbit社からのアプローチも積極的に行なっているそうだ。そのほか、開発者向けイベントやアプリコンテストの定期開催や、開発者からの意見を取り入れた新しいAPIの提供などを通じて、良質なアプリの開発の促進している、とのこと。

アプリギャラリーでのアプリ販売はNG。開発者のインセンティブ確保が課題

 Fitbit OS向けのアプリの開発や配布は容易だが、問題は、開発者がどうやって利益を回収するかだ。現状、アプリギャラリーではアプリの販売ができない。これは、質の高いアプリを提供するための壁になるのでは。

 「アプリギャラリーで販売ができないのは、AppleやGoogleは、App StoreやPlayストア以外でのアプリ販売を制限しているためだ。今のところ、開発者たちは、サードパーティーの決済サービスを利用するなど、それぞれマネタイズする方法を見つけている」

 例えば、トライアウト版のアプリを公開し、決済後に正式版のライセンスコードを発行する、といった方法がとられているが、やはりFitbitから正規の販売手段を提供するか、少なくとも案内するなどのサポートがほしいところだ。

蓄積されたフィットネスデータを活用した、パーソナライズや情報提供に期待

 Fitbitの強みは、ユーザーコミュニティーの大きさだ。フィットネストラッカーとして世界2540万人のアクティブユーザーを抱えており、2000万人がコミュニティーを通じて交流している。さらに、スマートウォッチ製品によって、より広い層へとアプローチしていける。こうして収集した膨大なユーザーデータを活かした新しい機能やサービスも今後提供される予定だ。

 「Fitbit Versaでは、今までのスマートウォッチでは収集できていなかったデータを健康に役立てられる。次のステップとしては、Fitbitによって収集・蓄積したデータを活用して、コーチ機能のレベルアップや目標に合わせたカスタマイズ、睡眠の改善、減量などユーザーの目的に合わせたトレーニングや情報の提供ができるようにしていきたい」

 フィットネストラッカーとして定評のあるFitbitが目指すのは、活動データの可視化による人々の健康意識の向上だ。身に着けやすいスマートウォッチによってさまざまなデータが可視化・活用され、ウェアラブルデバイスの可能性が広がることに期待したい。


Fitbitはスマートウォッチで復権できるか? 「Fitbit Versa」6月15日発売