第71回カンヌ国際映画祭で、日本映画として21年ぶりに最高賞・パルムドールを受賞した是枝裕和監督の最新作『万引き家族』(公開中)。都会の片隅で犯罪によって結び付けられた“家族の絆”を描きだした本作で、ひときわ注目を集めているのが現在11歳の新星・城桧吏だ。

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劇中ではリリー・フランキー演じる父親・治とともに万引きに手を染め、幼い少女・ゆりを妹として受け入れ面倒を見ていく祥太役を演じた城。『誰も知らない』(04)で第57回カンヌ国際映画祭男優賞を史上最年少で受賞した柳楽優弥を彷彿とさせる少年を演じきった彼の素顔は、スクリーンの中とは対照的にキラキラと輝く瞳の持ち主だった。

「カンヌ、楽しかった!」と満面の笑みで、世界中の映画人にとって憧れの場所で過ごした数日間を振り返る城。「日本はそこら中にゴミやガムが落ちているけど、カンヌは一切そういうものが落ちていないんです。全体的にベージュ色の街並みが綺麗で、そこにいる人たちもみんな親切でした」と鋭い視点でカンヌの魅力を語ると「映画を観てくれた人から声をかけられた時に、僕も有名になったなあ〜って思いました(笑)。『ボンジュール』と『メルシー』だけ覚えておいたのでなんとかなりました(笑)」とあどけない表情。

是枝監督の演出方法として広く知れ渡っているのは“子役に台本を渡さないことで、リアリティを引き出す”というものだ。その演出方法について、実際に台本を渡されなかった子役はなにを思うのか?「最初のほうは先の展開がなかなかわからなくて…それにセリフを忘れちゃってないかな、ということが気になりました」と城ははにかみながら明かす。「でも、撮影が進むにつれて少しずつ内容がわかるようになって、どこからどうやって撮影するのかもなんとなくわかってきました」と、俳優としてのポテンシャルの高さを見せつけてくれた。

台本がない代わりに、是枝監督からは「祥太になりきる」という演出を受けたと明かす。「最初は悪気なく万引きをしていたけど、柄本明さん演じるやまとやのおじさんに『妹にはさせるなよ』と言われてから、万引きはダメなのかなって思い始めるんです。終盤の病院のシーンでは、家族のことを思い出して、もう会えなくなるのかなって考えながら演じました」。

本作のテーマ“家族の絆”について、城なりの考えを訊いてみると、自身と母親、そして幼い弟との関係を例に挙げて「相手のことをなんでも知っていること」と回答。「お母さんは僕が後悔することをなんでも知っていて、前もって『やめたほうがいいよ』って言ってくれるんです。だから僕も弟が後悔しそうなことは教えてあげるんです。『ソファからジャンプしたら必ず怪我するよ』って。それでも弟はジャンプして、足を引っかけて転んだりしますけど(苦笑)」。

また劇中で描かれている“万引き”と“貧困”という現代の日本を取り巻く社会問題について、11歳の少年の目にはどう映っているのか?城は「貧しくても、万引きは悪いことだと思う」と断言。そして「精一杯頑張っても、そうしなきゃいけなくなることはちょっと…」とじっくり考えながら、答えに詰まる様子。「ちゃんと勉強したほうがいいことがいっぱいあると思うし、みんな幸せになるんじゃないかなって思っています。僕は全然勉強してませんけど(笑)」。

さらに「僕がこれまで教わってきたなかで、一番大事にしていることは『人を大切にすること』です。喧嘩することがあっても、話し合いで解決しようって心がけています。話し合って、どちらも謝ったらそれで喧嘩は終わるんです」と持論を展開。子どもらしい純粋さだけでなく、大人顔負けの冷静な考え方も垣間見せた城。本作で共演したリリー・フランキーに憧れていることも明かしてくれた彼が、今後俳優としてひた走っていく姿がとても楽しみだ。(Movie Walker・取材・文/久保田 和馬)

『万引き家族』で注目を集めた新星・城桧吏の素顔に迫る!