「ついに俺は力を得た。ウィルスはすべて俺に打った。ウィルスは俺を媒介して拡散する」
「なんでそんなことを……」
「俺がこの醜い世界を変えるためだよ」

対峙する竹内結子と大谷亮平! 大谷亮平の体内には東京都民1300万人を殺すことができる殺人ウィルスが仕込まれていた! 恋人・貫地谷しほりの前で人間細菌爆弾と化した大谷を容赦なく射殺する竹内結子! それを見守る滝藤賢一と愕然とする中村倫也! 大谷亮平を狂気に駆り立てた黒幕は……斉藤由貴だった!

豪華キャストによる壮大な犯罪ドラマ『ミス・シャーロック/Miss Sherlock』も、いよいよ本日配信分の第8話が最終回。何がどうしてこうなったのかを振り返ってみたい。ネタバレありです。

「私は正義のために死ぬ」
先週配信された第7話のタイトルは「最後の事件 前編」。シャーロック・ホームズと宿敵・モリアーティ教授が戦うエピソード「最後の事件」から採られたものだ。

帝日化学から強力な感染力と殺傷力を持つ殺人ウィルスが盗み出された。その威力は東京都民1300万人を殺傷できるほどのもの。しかし、血清は18人分しかない。帝日化学の太田(堀部圭亮)と大臣の桐島(山路和弘)は内閣情報調査室の双葉健人(小澤征悦)にウィルスの奪還を依頼、事件はシャーロックに委ねられる。

盗み出したのは帝日化学の研究員・手塚(本間剛)だったが、背後で糸を引いていたのは彼の婚約者・倉田美月(菊地凛子)だった。美月は手塚にウィルスを奪わせて殺害。さらにシャーロックに罪を被せて、警察に逮捕させようとする。

帝日化学がフランスの企業を通してテロ組織に売りつけたウィルスで、中東の小さな村が全滅していた。桐島大臣は黙認する代わりに巨額のリベートを受け取っていた。それを知った美月はウィルスを奪うことを計画。桐島と帝日化学が謝罪会見を開かなければ、東京にウィルスをバラまくという。

「東京を全滅させる必要がある?」と至極まっとうな疑問をつきつけたシャーロックに対して、美月は心底うんざりした表情で答える。

「あのさあ、私たちは正義のために行動してるの。捜査コンサルタントだか何だか知らないけど、道楽でやっている人間に邪魔はさせない。おとなしく警察に捕まって!」

呆れて笑うシャーロックの前で、美月はビルの屋上のへりに上ると、「私は正義のために死ぬ」と一言。「やめてください! 誰か助けて!」と大声で叫んだかと思うと、そのままビルから飛び降りる! シャーロックがあわてて地上を見ると、そこには美月の死体が……。これでシャーロックには美月を殺害した疑惑もかけられることになった。正義とは狂気だ。

ついに明かされる「マリス・ステラ」の正体
シャーロックは帝日化学の太田から、桐島に脅迫状が何通も送りつけられていたことを聞き出す。脅迫状の送り主は、和都(貫地谷しほり)の恋人・戦場カメラマンの守谷透(大谷亮平)だった。戦場で出会った守谷と美月は、帝日化学への怒りで結びついていたのだ。一方、双葉健人は桐島大臣に謝罪会見を開くよう要請するが、逆に恫喝されてしまう。

シャーロックは守谷の部屋で、北極星の写真を見つける。これまで超小型爆弾で人の腹を吹き飛ばした水野亜紀子(水川あさみ)、電流拷問で「恐怖を消す薬」を奪おうとした椎名由麻(木南晴夏)、捜査関係者を惨殺して耳を削ぎ落とした高井義之(飯田基祐)らの犯罪を裏で導いていたのは、北極星を意味する「マリス・ステラ」だった。守谷透もマリス・ステラに操られているのか?

東京駅で殺人ウィルスによるテロを実行しようとする守谷透と、それを察知して現場にかけつけるシャーロック。ところが、守谷は自分にすべてのウィルスを注射していた。急に叫んだりせず、いつものように淡々としているところがより恐ろしい。自暴自棄になっているのではなく、自分たちの正義を確信しているのだ。人間ウィルス爆弾と化した守谷を、シャーロックは恋人・和都の前で射殺する! 

徹底的な除染作業によって殺人ウィルスによるテロは回避された。快哉を叫ぶ桐島大臣のもとにやってきた双葉健人は、胸ぐらをつかんで容赦なくぶん殴る! うーん、小澤征悦、めっちゃカッコいい。一方、友人・シャーロックによって恋人・守谷を殺されて嗚咽する和都に心理カウンセラーの入川真理子(斉藤由貴)が手をさしのべる。

「和都さん、行きましょう。新しい世界へ」

犯罪誘導のプロ、「マリス・ステラ」ことモリワキアキラとは、入川だったのだ。守谷透=モリアーティじゃなくて、モリワキアキラ=モリアーティだったのね。ウィスパーボイスで人を犯罪に導く斉藤由貴……。ああ、恐ろしい。シャーロックは友人を守ることができるのか――?

『ミス・シャーロック』と『CRISIS』の共通点
警察に追われているはずのシャーロックが自由にどこでも行き来できたり、脅迫状にいちいち自分の名前を書く? 正体がわかってるなら大臣側も手を打つんじゃない? というツッコミどころや、テロが簡単に防がれてしまう肩透かし感などもあったが、豪華キャストを使っての大風呂敷ぶりを見ていると、その意気を買いたいという気持ちになる。

東京都民を巻き込むテロ、背後にいる巨大企業と大臣……というスケール感は『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』を思い出させる。『CRISIS』は海外セールスを見据えた上で製作費を捻出していたが、この『ミス・シャーロック』もHBOアジアと国際共同製作することで世界19カ国への同時配信を実現して、製作費を確保することに成功した。こうしたドラマの作り方が、新しい日本のドラマのスタンダードになる時代が来るのかもしれない。

本日配信の「最後の事件 後編」は、真犯人・モリワキアキラがシャーロックと和都を殺し合わせる。本日午前10時配信。
(大山くまお)

Huluにて配信中

ミス・シャーロック/Miss Sherlock』(huluオリジナル)
脚本:丸茂周、小谷暢亮、政池洋佑、及川真実、森淳一
監督:森淳一、瀧悠輔、松尾崇
プロデュース:戸石紀子、村上公一
制作:hulu、HBOアジア
イラスト/まつもとりえこ