やわらかい麺が定番だった福岡に讃岐うどんを根付かせた先駆者の一人、「さぬきうどん大木戸 福岡舞鶴店」(福岡市中央区舞鶴)の店主・木村真さん。「うどん職人である父と兄が作るうどんをもっと多くの人に食べてもらいたい」と、実家でもある香川県高松市の本店で修業をし、父にゆかりのある福岡で2006年に讃岐うどんの店を開業した。

【写真を見る】「ちくぼーうどん」。讃岐と博多の人気トッピングが一度に味わえる

■ 通好みの一杯で麺のコシとダシのおいしさを知る

暑い季節にピッタリなのが「冷やしかけ」(380円)だ。つるつるモチモチの麺に、讃岐の本店より少し甘いダシをかけた“冷たい”かけうどん。希望すれば薬味のショウガも用意してくれるので、好みに合わせて味の調整も可能だ。

福岡舞鶴店のオリジナルメニューで、「ちくぼーうどん」(500円)も人気だ。讃岐うどんの定番トッピング・ちくわ天と、博多うどんの代表トッピング・ゴボウ天が一緒に味わえる満足度大の一杯。トッピングのみの注文も可能で、ほかのうどんと組み合わせることができる。

■ 「毎日でも食べたくなるうどん」を目指して

硬くもなく、やわらかくもない絶妙な麺のコシ、塩辛くもなく甘すぎないダシが、「大木戸」のこだわりだ。麺の素材となる小麦粉は九州産と北海道産がブレンドされたものを使用し、製麺室で毎日手打ちを行う。ダシはイリコ、昆布、シイタケ、カツオ節を使い、それぞれの煮出す時間を調整しながら苦味を少なく、飲みやすいものに仕上げている。

開業当初は本場の讃岐うどんを提供する店だったが、強いコシの麺とイリコベースのダシが福岡人になじまずに悪戦苦闘。そこで木村さんは、本店仕込みの製法を守りつつ、麺の素材となる小麦粉を見直し、日によって水源が変わる福岡の水に注意を払い、ダシに使う素材の入れる順番や量、タイミングを工夫しながら、福岡人の嗜好や味覚に合ううどんを作り上げた。「おいしいと言ってもらえることが当たり前。だからこそ、手間ひまを惜しみません」という木村さんの熱意が、今日の人気を支えている。

■ 常連率が高い地域密着店ならではの魅力もあり

店は、オフィスビルや予備校が点在する舞鶴エリアの一角にある。サラリーマンや学生の利用も多いことから、木村さんは健康的に食事を楽しんでもらおうと「自家製ポテトサラダ」(200円)をメニューに加えた。食材は、隣接する青果店より旬の食材も取り入れながら調理。これに、かけうどんまたは冷やしかけ、かしわおにぎりが付いた「ポテサラセット」(660円)もメニューとして用意している。

ある受験生への応援をきっかけに、「勝利のちくわ天」(200円)というトッピングメニューが生まれた。ちくわの穴にウインナーを詰めて揚げた天ぷらで、そのネーミングから受験シーズンになると、願掛けで注文する学生さんが増えるそうだ。

レジ横には、木村さんのうどん作りに向けた情熱や創意工夫、ご自身のことをまとめた「大木戸通信」がある。毎月1回の発行なので、店を訪れたときはぜひ手にとってみよう。

[さぬきうどん 大木戸 福岡舞鶴店]福岡県福岡市中央区舞鶴2-8-29-1F / 092-771-7187 / 11:00~15:00、17:30~20:00、土曜11:00~15:00のみ / 日曜・祝日休み

取材・文=西田武史(シーアール)、撮影=高尾正秀(九州ウォーカー・西田武史(シーアール))

木村さんが試行錯誤の末に誕生させた「冷やしかけ」。“福岡人の好みに合う麺とダシ”のおいしさをシンプルに味わえる一杯だ