アメリカは6日、膨大な貿易赤字を抱える中国に対して25%の追加関税を発動させる。対象は半導体、産業用ロボット、自動車、通信などハイテク分野を中心とした1102品目、5兆5000億円相当で、6日にはこのうち3兆7500億円相当がスタートする。


 中国外務省の耿爽副報道局長は「アメリカが一方的で保護主義的な措置を講じ中国の利益を害する場合には、公正で合法的な権利を守るために迅速に対応策を講じるだろう」と話し、6日にアメリカから輸入している大豆や牛肉など農産品や自動車など659品目、5兆5000億円相当のうち、3兆7500億円相当分の報復関税を課すと表明すると、トランプ大統領は22兆円規模の追加関税を示唆している。


 そんなアメリカで、議会が懸念を抱いているのが、次世代移動通信システム「5G」の技術流出だ。人工知能や自動車自動運転に不可欠とされるため、今後の産業競争力に影響を与えると予想されている。その世界市場の獲得を目論んでいるとされるのが、「ファーウェイ(Huawei、華為技術)」「ZTE」など、中国の大手通信機器メーカーだ。

 『週刊現代』編集次長の近藤大介氏によると「2015年に李克強首相が深圳を視察、これからは深圳のITや製造業を中心に中国を発展させなければいけないと考えた。そこで3月の全国人民代表大会で『中国製造2025』というビジョンを発表した。AIや5Gの技術を通して、中国が世界の覇権を狙える最大のチャンスだとみている」と話す。


 「半導体とか5Gなどのうち、どのくらい中国がアメリカに追いついてきているかをアメリカ政府が調べたところ、12分野のうち11で追いつきつつある。アメリカの4.2倍の人口がいるし、トップの30万人はアメリカに留学する。今年の7月には820万人というものすごい人数が大学を卒業する。しかもそのうち半分は理系だ」。


 中国が掲げる「中国製造2025」とは、「2025年に半導体チップ自給率を5割に引き上げるなど、IT・ロボット・航空宇宙・電気自動車などの発展に向け、10年計画で最先端技術を育て、産業構造の転換を目指すものだ。その一環として、中国政府は「ZTE」などのハイテク企業を熱心にバックアップしているという。

 「中国では重要な企業を国家が助けるのは当然という発想。アメリカ式の資本主義の時代は20世紀のもので、これからはかつての日本の"護送船団方式"をさらに推し進めたような中国式の国家重商主義を世界に浸透させていこうとしている。ZTEは90年代半ばに深圳政府が作った企業だし、ファーウェイも民営とはいえトップは元人民解放軍技師。いまだに非上場で経営が不透明な部分もある」。


この「ZTE」に対し、アメリカ政府は部品の輸出禁止措置をとった。その理由は、敵対する北朝鮮とイランに「ZTE」がアメリカ製品を違法に輸出、そこに従事していた従業員を解雇しなかったからだ。トランプ大統領は「ZTE」が北米で事業を継続する条件として、13億ドルの罰金の支払いと、経営陣の大幅刷新を要求した。「アメリカから制裁を受けたら部品の3分の1が入らなくなってしまうし、いまZTEを潰されてしまうと困るので、習主席がトランプ大統領に電話して、矛を収めてもらったということもある」(近藤氏)。


 一方、中国の弱点について近藤氏は「社会市場主義経済、つまり市場経済だが、政治は社会主義という矛盾したシステムを採っているため、金融が脆弱。ちょうどリーマンショックから10年が経つ今、今度は中国発のリーマンショックが起こるのではないかと非常に心配している」と話す。

 「中国には2015年6月15日からの3週間で株価が32%下がった"2015年ショック"というのがあった。あれから3年ぶりの金融ショックが起こるのではと懸念している。これに対して、中国人民銀行総裁の易綱氏は『中国証券報』という新聞社のインタビューに答える形で"今は問題ない。ちゃんとやっているんだ。すべての指標は問題ない"と強調している。しかし、そう言えば言うほど危ないんじゃないかと中国人は見始めるだろう」。


(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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