「あなた、口、臭いですよ」と言われて、ギクッとしないヒトはいないでしょう。自分で気づいていない場合はとくに、周囲から今までそんな風に思われていたのかとショックを受けしばらくは立ち直れないのではないでしょうか。

 

『日本人はなぜ臭いと言われるのか』(桐村里紗・著/光文社・刊)には、たくさんのギクッとする言葉が満載です。本当なら「自分は臭わない」と胸を張って言いたいところです。けれども、日常的に口臭がある人ほど自分の口臭を感じなくなるというのですから、「私は大丈夫」とのんきにかまえてはいられません。

 

桐村里紗のめざすもの

著者の桐村里紗は現役の内科医です。治療ももちろんですが、病気を予防することに重きを置いて研鑽を重ねてきました。病気を治すのも大変な仕事です。さらに、まだ未病の段階で病の芽を摘み取ろうとするのですから、多方面の知識が必要となります。

 

彼女は最新の分子整合栄養医学や生命科学、常在細菌学、意識科学、物理学まで網羅して勉強し、執筆を進めています。なかなかのチャンレンジャーだと言えましょう。

 

そんな著者がたどりついた一つの結論、それが「臭うは、不健康」という考えでした。

 

 

臭いは病気のサイン

私には医学のことはよくわかりません。それでも、著者の主張に納得し深く頷いてしまいました。「身体のどこかに悪いところがあると、人は臭う」という説もその通りだと思いました。

 

実は、私が常日頃実感していることでもあったからです。あるとき、知人から感じたことのない臭いを感じました。顔をそむけたくなるほど強いものではありません。そこはかとなく漂うアンモニア臭というか…。セメダインのようなケミカルな臭い。

 

いわくいいがたい不思議な臭いについて、「彼に伝えようかな、でも、家族でもないのに失礼かな」と躊躇しているうちに、彼は病に倒れ、帰らぬ人となってしまったのです。臭いがすると知らせても全快したかどうかはわかりません。それでも「体調はどうですか?健康診断と思って、診てもらったら?」くらいはアドバイスすべきだったかなと思い、以来ずっと後悔し続けています。

 

果たして、『日本人はなぜ臭いと言われるのか』にも書いてありました。悪臭は病気のサインと心得よ、と。あぁ、やっぱり…。

 

 

口の中が便より汚いですって~~!!

とはいえ、私はこれまで日本人は外国人に比べて体臭がしない方だと思ってきました。外国人の友だちが「日本人は醤油と味噌のにおいをまとっている」と、からかい気味に言う度に、「食欲がそそられるでしょ?」と返していたのですが、どうもそれは勝手な言い分だったようです。

 

確かに、外国人に比べ日本人には腋臭に悩む人は少ないでしょう。ところがその分、外国人からすると日本人は口臭が強いというのです。オーラルケアへの関心が低く、歯磨きさえしておけばいいとたかをくくっていて、口腔ケアをないがしろにしがちなのが原因だそうです。

 

口の中はそれでなくても常在菌の多い場所です。バランスを保っているときは良いのですが、口腔ケアの不足や唾液量の不足が起こるとまたたく間に増殖してしまいます。そして、食後口の中に残った食べかすを自らの栄養源として、菌はどんどん繁殖し歯垢の中の細菌濃度が、な、なんと、便よりも高くなってしまうのだそうです。
これってかなりの悪夢です。

 

口の中が便より汚れているなんて…。

 

どうしたら、いいの?

焦った私は悪夢をなんとかしようと今さらながら、は~~っなどと息を吐き、自分の口臭を確かめました。けれども自分では自分の臭いはわからないというのですから、無駄な抵抗です。

 

では、一体どうしたらいいのでしょう。私には「とりあえずは歯を磨く」ことくらいしか考えつきません。そこで、食後にガッシガッシと歯を磨こうと決心し、外出時に備えてトラベルセットの歯ブラシをハンドバックに入れておこうと思いましたが、これもNGだというではありませんか。

 

著者は鋭く指摘します。

現在では、食後すぐに磨くことは逆効果で、歯磨きの回数よりも、いかにタイミング良く、プラークをコントロールするかが大事と考えられている

『日本人はなぜ臭いと言われるのか』より抜粋

 

食後が駄目だとすると、いつ磨いたらいいのでしょう。答えは、寝る前と、起床時だといいます。

福山雅治がオヤジ臭とは無縁な理由

臭いを避けるためにすべきことは歯だけではありません。身体からたちのぼる体臭にも気を配るべきです。だからといって、ゴシゴシ洗う必要はありません。むしろ、洗いすぎは禁物だといいます。

 

皮脂を取り過ぎてしまうと、皮膚を守るための皮脂の分泌が増えてバランスが崩れ、体臭が強くなる可能性があるようです。

 

そういえば、いつ見てもさわやかな顔をしている俳優の福山雅治さんは、全身をお湯で洗い、石鹸は耳の周囲と後頭部、足だけしか使わないそうです。そして見事に無臭な体を保っているとか…“湯シャンの男”福山として、有名だといいます。

 

私も石鹸やシャンプーが苦手で、できることならお湯だけで洗って終わりにしたい方なのでほっとしました。特に、頭の臭いは洗いすぎによって生じることもあるといいます。これからは、福山雅治方式に従い湯だけで汚れを落としてもいいのかもしれないなと思います。

 

 

母のにおい

他にも、『日本人はなぜ臭いと言われるのか』には、人間関係を円滑にするために悪臭にどう対処をすべきか? とか、体臭をコントロールする方法など、人生に必要な知恵が満載されています。

 

筆致は医師らしく冷静で具体的。けれども、所々で、人間としてのやさしさが見え隠れします。それがどこから来るのかわからないままに、読み進んでいた私は、「おわりに」の部分で胸を衝かれました。

 

著者は医師としての生き方を自分に問い、次のように述べているのです。

 

私の場合は、人が生活習慣病をはじめとした病気にならないようにサポートすることが役割だと思っている。これは、小さな頃から、病気に人生を奪われた母親を身近に見てきた経験からだ。

『日本人はなぜ臭いと言われるのか』より抜粋

 

著者が医師になり、臭いから病気を防ごうとする一番の理由は、大好きな母の体臭に何か思うところがあったのかもしれません。母のにおいはたとえ病に倒れていようとも、娘にとって、鼻腔をくすぐり、心の奥深くに到達したに違いないからです。臭いと匂いとにおいについて、深く考え込んでしまいました。

 

【書籍紹介】

日本人はなぜ臭いと言われるのか

著者:桐村里紗
発行:学研プラス

外国人の7割が「日本人の口臭にがっかりした経験」があるという。日本人の多くが歯周病とのデータもある。無臭社会日本と言われるが、本当にそうなのか。医師の視点でみると、口臭や体臭は健康のバロメーター。真のにおい対策は根本的な健康増進につながる。本書では予防医学専門の内科医が、においとは何かにはじまり、におい物質と嗅覚や脳の関係、口臭や体臭の種類や原因となる疾病と対策について、わかりやすく解説する。

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