「働き方改革」が声高に叫ばれる今、会社に頼らず自らの力で生計を立てるフリーランスが増えている。生涯雇用制度が崩れた昨今、働く人には多くの不安、葛藤があるなかで、あえて独立した人々の意識は? 一つの組織に頼らない生き方を選んだ人々の実態に迫る。

 働き方改革の一環として、日本政府は「高度プロフェッショナル制度」の導入を決定。現在の労働基準法では一日8時間、週40時間を超えて労働させてはならないと定められているが、一定の所得以上のサラリーマンにはこれが適用されなくなるのだ。

 これに反対する野党や一部の市民からは“定額働かせ放題”などと揶揄されているこの制度だが、いずれにせよ世のサラリーマンは会社組織に依存しない新しい働き方を求められている。その一つの選択肢が“フリーランス”だ。

 SPA!編集部は、フリーランスの実態を探るべく、昨年設立された、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の代表理事・平田麻莉氏に話を聞いた。

◆働く時間が減って年収・満足度アップ

 協会ではフリーランスを“特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る人”と定義している。営業、事務、広報、IT・クリエーティブ、肉体労働など職種は多岐にわたり、現在、日本には1000万人余りのフリーランス(専業、副業、兼業を含む)がおり、その経済規模は20.1兆円にも上るという。

 今の時代は労働人口不足により、企業間での優秀な人材の獲得競争も激しくなっている。そこでフリーランスに白羽の矢を立てる企業も出始めているのだ。

「仮に優秀な人材を見つけたとしても、フルタイムの正社員で雇うとなれば、人件費は相当なものになってしまいます。それならば、能力の高いフリーランスに週1~2日程度働いてもらったほうが得と考えるのも自然です。外部の人間を雇うことで技術革新や新しい販路を開拓できたりもしますからね。できる人に仕事が集まる、ある意味シビアな時代ともいえます」

 しかし、いくら時代のニーズとはいえ、会社員がフリーランスになるには相当の覚悟がいることも事実だ。協会が発表した『フリーランス白書2018』のアンケートでは、独立の障壁として「安定性」「収入」の心配、「漠然とした不安感」「何から始めてよいかわからない」などが挙げられていた。

 その一方で、会社員の41.8%が副業に意欲的という結果も出ており、専業ではなくまずは副業としてフリーランス的働き方を始めたいというニーズも強いようだ。

 また、フリーランスには向き不向きというのもある。もちろん“再現性を持って結果を出せること”は大前提として、それに加えて平田氏は“根拠のない自信”と“飽くなき不満足感”を併せ持っていることが成功者の傾向だという。

「フリーランスは結果を出して当然の世界で、誰もプロセスを褒めてくれないので、“楽観主義”でなければ務まりません。そして、常に現状に甘んじることなく、自分自身との闘いで成長できる人が向いています。逆に他人からの評価を気にしすぎる人はあまり向いていないかもしれません」

 白書では「現在の働き方を続ける/成功させる上で重要だと思うものは?」というアンケートに対しても両者の違いが表れた。フリーランスは「専門性」「市場/顧客ニーズの把握」「セルフブランディング力」など意見がばらけたのに対し、会社員は「忍耐力」が目立つ。

 ところで気になるのが、収入面の変化だ。白書では、会社員時代に比べて収入が増えたかどうかの設問について「増えた」が41.7%、「減った」が44.8%だった。

 しかし満足度という観点では、会社員時代よりも「上がった」と答えた人が84.3%、「下がった」が3.6%という結果だった。

 とはいえもちろんフリーランスならではの悩みもある。例えば「出社の習慣がなくなったので時間の使い方がわからない」「わからないことがあってもそれを教えてくれる上司がいない」などだ。

「私も2度の出産と保活を経験しましたが、フリーランスはライフリスクに対する社会保障が整備されておらず、労災もない。社会的信用も低く、銀行からの融資やローン契約を結ぶのも簡単ではありません」

 これこそフリーランスになることの「暗」ともいえる部分だが、

「そういった問題を解決するために当事者の私たちがこの協会を立ち上げたんです」と平田氏は語る。

【平田麻莉】フリーランス協会代表理事
’17年に協会設立。代表理事を務める傍らフリーランスのPRプランナーとして活躍中。年間1万円で保険や福利厚生が使えるフリーランス向けベネフィットプランを提供する

― フリーランスの明暗 ―