【ブリュッセル時事】北大西洋条約機構(NATO)首脳会議では、国防支出をめぐってトランプ米大統領が欧州の同盟国への批判や要求をエスカレートさせた。鉄鋼などへの追加関税導入やイラン核合意離脱など数々の難題を突き付け、同盟国間の結束を揺るがすトランプ氏の言動に、欧州各国は不信感を一段と募らせている。

 「サッカーのようにフェアプレーとチーム精神が今まで以上に求められている」。開催国ベルギーのミシェル首相は会議冒頭、同盟国批判を繰り返すトランプ氏を暗にけん制した。

 しかし、トランプ氏は国内総生産(GDP)比で2%以上という加盟国の国防支出目標を4%に拡大するよう突如提案。一方的主張を展開し、意に介さなかった。会議後、首脳からは「NATOは安全を買える証券取引所ではない」(ブルガリアのラデフ大統領)との皮肉も漏れた。

 トランプ氏はさらに、天然ガス輸入でロシアに巨費を支払うドイツを「ロシアの捕虜だ」とやり玉に挙げた。一方、ロシアのプーチン大統領については「(友人か敵か)分からない。競争相手だ」と発言。ロシアの軍事的脅威の高まりに危機感を抱く欧州との温度差を印象付けた。

 貿易問題では、トランプ氏は自動車・同部品への追加関税を示唆しており、欧州各国に警戒感が広がっている。特に自動車を基幹産業とするドイツへの影響は大きく、メルケル首相は自動車関税引き下げによる譲歩も視野に入れた難しい対応を迫られている。メルケル氏は11日、トランプ氏と個別に会談後、記者団に「貿易関係の将来についても意見交換した」と語ったが、表情は硬かった。 

〔写真説明〕11日、ブリュッセルで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の記念撮影の際、トランプ米大統領(右)とメラニア夫人(左)の後ろを通るドイツのメルケル首相(EPA時事)

11日、ブリュッセルで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の記念撮影の際、トランプ米大統領(右)とメラニア夫人(左)の後ろを通るドイツのメルケル首相(EPA時事)