2018年1月、日本とアメリカの株式市場は大幅な上昇を記録した。アメリカでは過去最高値を更新、日本の株価も26年ぶりの高値を更新した。また、昨今タワーマンションなどの建設が過熱しているが、これは果たしてバブルなのだろうか?

1990年以降の不動産バブル、2000年代初頭のITバブル、2008年のリーマンショックなど、バブル到来と崩壊に翻弄された人も少なくないだろう。

一部上場企業20社以上のアドバイザーをつとめ、上場企業3社の社外取締役・監査役を兼任する『乱高下あり! バブルあり! 2026年までの経済予測』(集英社刊)の著者、渡辺林治氏にバブルの可能性とその見極めについて語って頂いた。

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まず、私は現在、バブルに向けてまだ5~6合目だと考えています。
公的データをもとに独自に作成した、日本経済のバブル状況を示す指数(リンジーバブル指数)から分析すると、現在は過去30年において平均的な水準にあると考えられます。

本格的なバブルに突入するのは、乱高下期が落ち着いた2020年代だと思っています。
その対象は何かと言うと、そのときにならないとわかりません。しかし、今みんなが思っているものではないものになる、ということが言えるでしょう。
皆がこれだろうと思っているものには、それに見合った価格がすでについています。逆に皆がマークしていないものは価格が安いので急騰していくわけです。

繰り返しますが、その対象が何になるかはわかりません。もしかしたら、エネルギーかもしれませんし、食品かもしれない。はたまた石油産業のようにインフレで儲かるものかもしれません。

今、日本で過熱ぶりが見えるのは、マンション・ホテル・住宅の建設ですが、収益的に合うのかは疑問です。資金回収スキームも楽観的な面があります。収益性が疑問で資金回収も難しいものは「過熱している」と考えていいでしょう。

ただ、それが景気拡大の範疇なのか、バブルになっているのかを判断していくことは必要だと思います。

景気拡大とバブルの分水嶺となる指標として挙げられるのは、PRB(株価純資産倍率:株価と資産の比率)です。日本の株式市場のPBRは、現在1.7倍くらいになっていますが、過去の歴史を見てみるとPBRが2.2~3.0倍までいくと、バブルになっているということになります。逆に言えば、データから見れば現在はまだ過熱している状態には見えないというふうに思われます。

「これはバブルだ」と気づくためのポイントは、新聞の一面を見ることです。
楽観的なニュースばかりが目立つと危険です。皆が「すべてがよくなる」という陶酔感に浸っている状態ですから。また、それまでの経済合理性から見ても収益が成り立たないものであるにも関わらず、金融機関や学者が新しい理論を持ち出して正当化する説明が出てくると危ないと言えるでしょう。

だから、数十年、数百年に亘って使用されている指標を使うことが大切なんです。
仮想通貨もそうですが、様々な物事を潜り抜けてきたものでなければ信用は出来ません。それはトラックレコード(過去の収益実績や運用成績)がないからです。
分析には少なくとも100以上のデータがなければいけません。それに満たないデータしか集まらない対象は「確からしさ」も低い。こうしたことは統計学や数学などを勉強すればわかることです。なので、基本的なことを勉強するということは非常に重要です。

バブルを引き起こさないために、政府や中央銀行にはゆるやかで微調整を繰り返すような政策が求められますが、人間が動いていることなので非常に難しい。また、選挙もあるので過熱を抑えることは難しいでしょう。
機関投資家は、フィデューシャリー・デューティー(資産を預けた人の利益を最大化する事に務めるのが義務で、利益に反するような行動は取ってはならないという考え)の原則で動き、どうやって儲けるかを追求することが責務なので、一言で言えばバブルが好きなんです。なので、「バブルは起こるもの」と考えておくことが大切です。

(次回に続く)

『乱高下あり! バブルあり! 2026年までの経済予測』(集英社刊)の著者、渡辺林治氏