時計好き以外にも刺さる、ベトナムウォッチレプリカ

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ALPHA INDUSTRIES
ALW-46374
価格:1万1880円
問い合わせ:東海時計商事
052-931-0411

個人的に好きなジャンルに、いわゆる「ディスポーザブルウォッチ」(以下、ディスポウォッチ)がある。これはベトナム戦争で使われた、使い捨て=ディスポーザブルのミリタリーウォッチのことだ。

壊れたら破棄が前提のため、ケースステンレスではなく基本的にはプラスチック、裏蓋もけられない構成を持っていた。しかし、実用性を追求したその佇まいは、ミリタリー時計とは一線を画していた。個人的な意見を言うと、これほど「使える」時計はないのではないかと思う。

かつて、マルマンというメーカーが、ベンラスのディスポウォッチを復刻して販売していた。安価プラスチックウォッチ完成度をるのも変な話だが、これはベトナム戦争時代のディスポウォッチに並べても遜色ないほど、良くできていた。筆者はいくつか買ったが、残念なことに、このモデルは数年前にディスコンになった。

以降、ディスポウォッチの系譜を継ぐモデルは、タイメックスの『キャンパー』である。もちろんキャンパーも魅的な時計だが、1980年代リリースされた民間向けモデルベースのため、デザインディスポウォッチとはちょっと違う。

ちなみに、有名なハミルトンの『カーキ』、そしてマラソンの『マルチパーパスウォッチ』なども、基本的にはベトナム戦争時代の時計ベースになっている。しかし、ハミルトンミリタリーウォッチはそもそもディスポーザブルではなかった(陸軍よりも、軍の基準である、GG-W-113の影を強く受けていた)し、マラソンの『マルチパーパスウォッチ』も、現行品は良くできすぎている。というわけで、これらふたつをディスポウォッチに入れるには、ちょっと抵抗がある。

そんな筆者を驚喜させたのが、アルファ インダストリーズの『ALW-46374』だった。名前の由来は、アメリカ軍ミルスペック。あえてアメリカ軍の基準をモデル名にしただけあって、デザインは、1970年代ディスポウォッチそのままだ。中身は機械式からクォーツに置き換わったものの、むしろクォーツのほうがディスポウォッチっぽくていい。また、裏蓋がくため、電池やムーブメント交換も可になった。歓迎すべき良だろう。

るべきポイントはまだある。1970年代ディスポウォッチの多くは、の強い機械式ムーブメントを載せていた。そのため視認性の高い、太くて長い針を採用できた。対して、本作を含め、今のディスポウォッチの多くが、クォーツムーブメントを載せている。正確で安価クォーツミリタリーウォッチにうってつけだが、が弱いため、秒針が動く際に、ふらつく場合がある。

しかし、『ALW-46374』は秒針の動きにブレがなかった。ちなみに値段の高いハミルトンマラソンは、の強いクォーツムーブメントを載せているため、秒針の動きにブレがない。しかし、定価は1万円ちょっとの本作が、きちんと秒針を動かすのには感心させられた。良いムーブメントを選んだと言うよりも、設計が良かったのだろう。ブレのない秒針の動きは、見ていて気分がいい。

筆者がディスポウォッチを高く評価してきた理由はふたつある。まずは、着け心地が良いこと。そもそものディスポウォッチは、ケース防がプラスチック製、バンドはナイロン製だった。そのため時計自体は驚くほど軽かった。加えてムーブメントに軽いクォーツを選んだ本作は、着けた感じが実に良いのだ。時計は重くて嫌だ、という人は、ぜひ本作を試して欲しい。

ディスポウォッチそのもの、といったデザイン防が盛り上がっているため厚く見えるが、ケース厚は11mmしかない。36mmというケースサイズも、日本人が使うには妥当だろう。ただし防がプラスチックのため、強い衝撃には注意が必要だ。

そしてもうひとつが、視認性の高さである。軍用時計として作られたディスポウォッチは、とにかく視認性を重視している。そのデザインを踏襲した本作は、時間が実に見やすいのだ。時計なんて時間が分かればいい、という人にも、やはりディスポウォッチはお勧めできる。

もっとも、これは1970年代の軍用時計ではなく、21世紀のカジュアルウォッチだ。そのため、ストラップバリエーションは豊富だし、ケース文字盤の色も複数から選べる。レザーのNATOトラップが用意されたのも今で、ストラップを変えれば、1本の時計で十分遊べるだろう。加えて価格は、税込みで1万1880円。贅沢をちょっと押さえれば、十分買える価格だ。

新しいディスポウォッチは、バリエーションが実に豊富だ。ケースは3色、文字盤も2色、ストラップは16種類もある。個人的なお勧めは、ナイロンを編み込んだNATOトラップ。軽いケースと相まって、優れた装着感をもたらす。

デザイン良し、着け心地良し、価格良しの『ALW-46374』。安くて楽しめる時計を探している人には、うってつけの1本だ。

広田将(ひろたまさゆき1974年生まれ。時計ライタージャーナリストとして活動する傍ら、2016年から高級腕時計専門誌『クロノス日本版』の編集長を兼務。内外の時計賞の審員を務めるほか、講演も多数。時計に限らない博識さから、業界では“ハカセ”と呼ばれる。

※『デジモノステーション2018年8月号より抜

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ALW-46374

text広田
(d.365
新しいディスポウォッチは、バリエーションが実に豊富だ。ケースは3色、文字盤も2色、ストラップは16種類もある。個人的なお勧めは、ナイロンを編み込んだNATOストラップ。軽いケースと相まって、優れた装着感をもたらす。