キーサイト・テクノロジーは7月12日、都内でプライベートカンファレンス「Keysight World 2018 東京」を開催。それに併せ、高速ネットワークの進化を支える最大110GHz帯域幅のリアルタイムオシロスコープ「Infiniium UXRシリーズ」を発表した。

同社シニア・バイス・プレジデント兼CTOのJay Alexander氏は、「光ファイバを活用した高速通信技術を考える上で、400Gの先、800Gや1T、そしてその先に向けた超高速通信技術を検討する必要がでてきた。しかし、そうした超高速の通信を正確に測定できるソリューションが存在するか、と言われれば、ほぼない、というのが現状だ」と、同製品の開発に至った背景を説明する。

同製品は、自社設計の8つのカスタムASICなどを活用することで、最大110GHzの帯域幅と、10ビット分解能、1chあたり256GSpsのサンプリング速度などを実現したほか、1chあたり2Gbptsのメモリ、垂直軸感度10mV/div~500mV/div、低ノイズな信号品質(試作機での測定では1.0mV rms未満)といった特徴も有している。

また、自己校正機能を搭載しているため、サービスセンターに送らずとも、校正を行うことができるようになっている。

同社ではカスタムASIC群に加え、モジュールレベルでの改良も実施したことで、高い性能を実現したと説明。例えばフロントエンドボードでは、第3世代のファラデーケージ構造を採用したほか、デジタル処理を行なうボードでは、パートナーと共同で開発したハイブリッドメモリキューブ(HMC)、新規に搭載したプロセッサ、自社設計の10ビットADコンバータなどを活用したことで、1chあたりスループット2.56Tbpsを実現、4ch合計で10Tbpsのスループットを実現したとする。

この結果、40GbaudのPAM4信号で、ノイズフロア、ENOB(有効ビット数)は、従来の世界最高性能とされたオシロスコープ比で、縦軸、横軸ともに約2倍程度の計測マージンを取ることができるようになったという。「UXRシリーズの低ノイズ、低ジッタ設計により、高速通信においても、より正確な測定結果を表示できるようになった」(同)とのことで、例えば、64Gbaud、64QAMのコヒーレント変調信号(600Gの測定に相当)であっても、デジタル変調信号の品質の指標であるエラーベクトルマグニチュード(エラーベクトル振幅:EVM)は従来機種では5.4%であったものが、UXRでは2.8%となるとするほか、64Gbaud、256QAMのコヒーレント変調信号(1Tの測定に相当)の場合であっても、EVM2.6%を測定したとしており、単に超高速ネットワークの計測だけでなく、半導体研究の研究などにも使えるとする。また、5G通信に対しても、30GHz帯のRF信号をダウンコンバートすることなく、見ることができるようになるため、変調度を引き上げるといった研究などが可能となり、ブレークスルーにつなげることができるようになるとした。

なお、同シリーズの価格は1億円~1億8000万円程度が想定されており、受注は開始済み。出荷については2019年の2~3月ころからを予定しているという。
(小林行雄)

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