現在開催中のニューヨークアジア映画祭で上映された注映画ミスミソウ』について、内藤監督が、7月6日(現地時間)、ニューヨークリンカーンセンターにあるウォルターリードシアターで単独インタビューに応じた。

 本作は、押切蓮介人気コミックを、『先生を流産させる会』『パズル』の内藤監督映画化したもの。東京から閉鎖的な田舎に転校してきた野咲山田奈)は、学校金髪リーダー・妙子率いるグループから壮絶ないじめを受けていた。一心を許せる、同じ転校生の相場清水尋也)という存在がいたが、いじめは日に日にエスカレート。ついには自宅が燃やされてしまい家族を失ったは、復讐(ふくしゅう)を誓う。

 映画化が難しいとされる原作だったが、意外な経緯で監督をすることになったという。「『パズル』を観た一般の人たちが、押切さんの原作映画化するならば、内藤が良いじゃないかとTwitterに書いてくれていたんです。もそれ以前に原作を読んでいて、いい作品だなぁと思ってはいました。ただそのときは、著作権は別の方が持っていて、別の方が監督する予定だったんです。ところが、日本でも異例なケースではあるのですが、クランクインの1か前にその監督が降しまして……」。急きょ、内藤監督羽の矢が立ったというわけだ。わずか40日ほどしか準備期間がなかったそうだが、すでに出演が決まっていた山田奈の映像を観て、撮りたいという気持ちが湧いたと明かした。

 今作の魅の一つに、主人公と接する時間の多い相場との掛け合いがある。二面性を持つ他のキャラクターと違い、自分の気持ちに対しっすぐな役どころの相場を演じた清水には、「相場は自分の正義を最後まで通している人物だから、(どんな演技も)正しいと思ってやってほしい」と伝えていたそうだ。「それ以外のキャラクター矛盾を抱えていて、思っていることと逆のことを言ったりやったりしてしまうので、明確に違う方向性のキャラクターだと思っていましたね」。

 いじめリーダー格の妙子は、本性をあまり見せず、物事を全て俯瞰(ふかん)で見ている。「妙子というキャラクターは、漫画が始まった当時は、(過去背景がそれほどなくて)わりと薄いキャラクターだったんです。でも連載が続くにつれて、彼女背景が描かれてきて、自身もそこが興味深かったんです。それは、いじめっ子たちが単に悪者ではなく、彼らにも社会に対する屈(うっくつ)した気持ちがあったり、日々の生活の苦しみがあったりして、それがゆえに間違っているけれど、いじめをしてしまうという、そういった背景をしっかり描くこともこ映画では重要だと思っていました」。

 は復讐(ふくしゅう)を誓ったいじめっ子たちと山を背景に戦うが、そのシーンでは血のりの山のコントラストが強調されており、実に印的だ。と血、コントラストでいこうとカメラマンにも事前に伝え、血のりも黒いものより、度の高いで見せたいと準備していたそうだ。「ただ、大変だったのはリテイク(再撮影)するときに、血がついたを捨ててから、またを乗せてリテイクしなければならなかったんです。それがすごく大変でしたね」と撮影を振り返った。(取材・文・細木信Nobuhiro Hosoki)

トラウマ漫画「ミスミソウ」の実写化を手掛けた内藤瑛亮監督