人手不足に苦しむ宅配便業界。ついに業界では禁じ手も是認する動きが始まっている。「ゆうパック」が、事実上、玄関先へ荷物を放置するサービスを計画しているのだ。

ゆうパック」を運営する日本郵便が、来にも導入を予定しているサービスは「定場所配達サービス」というもの。今のところ明らかになっている情報によれば、受取人が不在だった場合、あらかじめ定した場所であれば自宅の玄関先や庫などに荷物を置いておくことができるようになるという。

 宅配便業界において、玄関前への放置は、まずあり得ない行為。これまで、受取人が要しても盗難の恐れがあり責任も取れないことから、行ってはならない行為とされてきた。

 今回の日本郵便が進めるサービスでも、盗難のリスクを考え、当面利用できるのは、同意を得た特定の事業者の荷物だけになる予定。とはいえども、これは宅配便業界において、大きな変化だ。

 同様のサービスは、昨年、アスクルが個人向け通販「LOHACO」で導入。これは購入額3万円以下に限り、ユーザーがあらかじめ定しておくと玄関の前や物置の中などに配達した荷物を置いてもらうことができる。

 ここ数年間、宅配便業界における人手不足や、再配達によるコスト増は大きな問題となっている。2016年度の内の宅配便の取扱個数は約40億1,900万個。その9割以上をヤマト運輸佐川急便日本郵便の3社が占めている。

 業界内でのシェアが増えれば、利益もうなぎのぼりのはず。しかし、そう単純にはいかない。すでに3社ともにキャパシティを大幅にえているのだ。

「人手を確保するために各社とも時給は、どんどん高くなっています。ヤマト運輸なんて都内では、配達を担うフィールドキャストの時給が1,500円以上のところも。それでも人手は足りていません。ヤマト運輸よりも時給の安い日本郵便が、もっと悲惨なのは当然です」(郵便局関係者)

 そんな状況の中で、もっとも駄な労を割かれるのが再配達。すでに、日本郵便では依頼がなければ再配達をしないとして、コスト削減に取り組んでいる。

 わずかな額で定した日の定した時間に、間違いなく荷物が届くのが当たり前となってきた宅配便業界。でも、それ自体が「奇跡」だったということか。
(文=是枝了以)

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