静岡県御殿場市、静岡県小山町、KDDI、KDDI総合研究所が協業し、7月10日から9月10日までの富士山の開山期間に、IoTを活用して富士山登山口の登下山者数、温度、湿度を「見える化」するサービス「ミエル フジトザン」をスタートした。

○富士山登山口の混み具合をWebで確認

KDDIの富士山への取り組みは2013年の登山道携帯電話エリア化にはじまり、2016年に山小屋のWi-Fi提供、そして、2017年の見える化プロジェクト試験運用に続くものだ。

今年は新たに御殿場口、須走口、宝永山馬の背にIoTセンサーを設置、これまでの人感センサーによる登下山者数把握のみならず、温度や湿度もウェブで確認できるようになった。登山を計画する段階はもちろん、登山中にもスマートフォンを使って公式サイトを参照することでこれらのデータを確認できる。下りが込んでいるからもうちょっと休んでいこうといった判断に役立つデータだ。

2017年まではLPWAのLoRa(IoT向けの通信ネットワーク)を使ってのデータ収集で、ゲートウェイとなる特別な基地局を使っていたが、今年はLPWAのLTE-Mを利用、一般の携帯電話と同じ基地局と直接通信する。

センサーが収集したデータは30分に一度クラウドにアップロードされWebで確認可能な状態になる。センサーの駆動は一般的な単1形乾電池4本を内蔵するのに加え、外付けで4本2組8本を並列にして補助にする。この電源で1カ月の運用ができるので、開山期間中、1回のバッテリ交換ですむ計算だ。当初はリチウムイオンなどでの運用もテストしたそうだが、気温の変化についていけず断念したということだ。電源の問題さえ解決できればリアルタイムの更新も可能なシステムになっているという。

○ハイキング目的の人も多かった

3,776メートルの富士山というと、午後の早い時間に5合目をスタートして、夕方に8合目の山小屋に到着、夕食をとって就寝、未明に山頂を目指して登頂してご来光を拝むというのが典型的な行程だが、データ解析をしてみると、決して山頂をめざす人たちだけではないこともわかってきたという。かなりの人数が5合目付近のハイキングコースで満足して帰っているということでもある。こうして新たにわかった情報をもとに、自治体は登山道の整備に役立てたり、新たなツアーの開発などに活用していくという。

マラソンランナーのように、一人一人がセンサーをつけて個別の行動が把握できれば、もっといろいろなことがわかってくるだろう。そこまでできなくても、携帯電話の位置情報などでも似たようなことはできる。だが、個人情報の扱いなどの問題で、それができないのが現状だともいう。

○暮らしをIoT化するメリット

特定の場所の様子がリアルタイムでわかるシステムといえば、ライブカメラが出てきて以来、ずいぶん便利になったことを実感する。スノーリゾートの宿で、ゲレンデに出かける前に山頂の様子を確認することで、リフトの乗り継ぎルートを変えて混雑を回避するようなこともできるようになった。

ただ、これまでのライブ映像はその解析をするというところまではいっていなかった。今の技術をもってすれば映像を解析してある種の傾向を導きだせるはずだが、IoTの時代になって、より具体的で細かい情報を最初から数値として得られるようになったことで、そのビッグデータをさまざまな用途に活用できる。そのあたりはAIの得意技だといえる。

暮らしの中のさまざまな場面でIoTが活用されるようになってきたことで、人々の行動が数値化され、新しい事実が判明していく。こうした技術の応用で災害の二次被害なども防げるようになるかもしれないし、さらに、犯罪防止にもつながっていくはずだ。

今回の富士山のプロジェクトについても、もっと多くのセンサーを設置できればもっと詳細なデータを手に入れることができる。そのあたりは自治体の予算次第と、KDDI側でも皮算用はしっかりと忘れないでいるようだ。

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)
(山田祥平)

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