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 米国で399ドルという低価格が注目を浴びたマイクロソフトの「Surface Go」ですが、日本版は税抜き6万4800円という価格になり、疑問の声が上がっています。価格差の理由はOfficeをバンドルしたことにあります。なぜ日本版は価格のインパクトを犠牲にしてまで、Officeをバンドルしたのでしょうか。

■衝動買いしたくなっても「Go」できない価格に

 Surface Goはシリーズ最小かつ最安という点が強調されています。個人的に最安といえば99ドルで投げ売りされていたSurface RTを思い出さずにはいられないのですが、Surface Goは最初から安いのです。

 最近、「Go」という名前が付いた製品は増えていますが、英語では気軽に持ち出せるというニュアンスがあります。小型軽量の新モデルにふさわしい名称であると同時に、お店で見かけたら「レジにGo」しやすい価格でもあるのです。

 ところが日本版は6万4800円と、衝動買いできる価格ではなくなりました。海外との比較では、グローバルで発表された21の国や地域のほとんどが4万円台半ば〜後半の価格設定となっており、日本版の高さは際立っています。

 日本版が高い理由は、一般に2万円前後でバンドルされる「Office Home&Business 2016」が含まれるためです。日本版Surface Goから2万円を差し引くとグローバルの水準になることから、日本版Surface Goは決して不当に高いわけではないことが分かります。

 なぜ日本の個人向けSurface GoはOfficeを搭載したのでしょうか。

■店頭で売れるPCの9割はOfficeバンドル

 背景には、日本の店頭で売れるPCのほとんどがOfficeを搭載しているという実態があります。その割合はじつに9割以上とされています(GfKジャパン調べ)。日本のPC市場を普通に調査すれば「日本で個人にPCを売るにはOfficeバンドルが必須」という結論になるはずです。

 たしかにOfficeを利用するだけであれば、サブスクリプション版も存在します。日本版Surface Goには「Office 365 Solo」の1か月無料体験版が付属しているので、もし気に入れば有償で購入すれば良いはずです。

 また、Officeには「商用利用権」という問題もあり、米国の家庭向け「Office 365 Home」は商用利用(在宅勤務や持ち帰り仕事を含む)ができません。しかし日本版にあたる「Office 365 Solo」は商用利用ができるため、ユーザーは安心して自宅で残業ができます。

 しかし日本では永続ライセンス版のOfficeをバンドルすることが主流です。2014年、個人向けのOffice 365を導入した際にも、「Office Premium プラス Office 365 サービス」という永続ライセンスとサブスクリプションを組み合わせた日本向け製品を、マイクロソフトはわざわざ開発しています。

 なぜ日本ではそうなのか、という点には諸説あります。

■サブスクリプションにはない永続版のメリットも

 1つには、古くから個人向けPCにOfficeをプリインストールする習慣があり、消費者がそれに慣れていること。売る側としても「PCを買ったのにExcelが入っていない」というクレームを避けたいという事情もあるようです。

 また、日本マイクロソフトとしてもOfficeバンドルが大きく成功している以上、無理にサブスクリプション版をすすめることにより、ユーザーに「本当はOfficeなど必要ないのでは?」という疑問を抱かせることは避けたいはずです。

 一方、個人用PCの買い換えサイクルは5年を超え、7年近くまで伸びたと嘆くメーカーもあります。同じPCを長く使うなら、毎年料金のかかるサブスクリプションよりも、永続ライセンスがバンドルされたPCに買い換えていくほうが割安になる可能性もあります。

 くわえて、サブスクリプション版なら常に最新のOfficeが使えるというメリットはあるものの、ある日突然ツールバーがリボンに置き換わるような変化を好まない人にとって、魅力ばかりとはいえません。

 結論としては、多くの人が要望しているように、Surface Goの直販モデルからOfficeを外せるカスタマイズができれば、iPad-iPadではなくWin-Winになるのではないでしょうか。


日本版Surface Goの価格が「妥当」といえる理由