東京二期会の2019/2020シーズンラインアップが発表された。7月11日に行われた記者会見には、韮澤志理事長、山口 毅常務理事兼事務局長歌手宮本(バリトン)の3名が登壇した。

2019/2020シーズンラインアップは、「様々なの形」をテーマとした6作品で、全て新制作となる。

幕開け演となるのは、すでに発表されていた2019年2月宮本亜門演出『金閣寺』。フランス国立ラン歌劇場との共同制作となる本作は、今年の3~4月ストラトブール、ミュルーズにて計7回上演された。現地でも非常に高い評価を得ており、この成功を受けての日本演となる。フランス演と共通の演出が基調となるが、一部は日本に合わせて変更がなされた“東京バージョン”での上演となる予定だ。揮は、ミラノ・スカラ座をはじめ欧州歌劇場で活躍をしているマキシムパスカル現代音楽に造形が深く、また三島由紀夫作品を好する有望若手揮者で、今回が日本でのオペラデビューとなる。溝口役で演を務める宮本の他、フランス演に出演した志村(和尚役)と嘉木子(女役)も、この日本演に出演する。

二期会記者会見  撮影:最上梨沙

二期会記者会見 撮影:最上

宮本は、「『金閣寺』は、西洋文化のオペラを上演するにあたって、日本人アーティストとして何を創造し、何を発信していくかという、音楽家としての存在意義を問うのにふさわしい作品。シーズンラインアップの最初にこの作品が選ばれたのは嬉しいこと。自分のすべてをかけて取り組みたい。」と意気込みった。

4月には、マスネのグランドオペラの代表作『エロディアード』が上演される。映像照明を駆使した〈セミステージ形式〉で好評を博した《東京二期会コンチェルタンテ・シリーズ》の第2弾となる。揮するミシェル・プラッソンは、『ファウストの業罰』(2010)、『ホフマン物語』(2014)に続いて、3度の二期会への登場だ。フランスオペラの外への紹介をライフワークとしている巨匠が、再びその素らしさを日本オペラファンに伝えることとなる。

6月は、ハンブルク州立歌劇場との共同制作リヒャルト・シュトラウス『サロメ』を上演。揮は、読売日本交響楽団常任揮者就任が発表されたばかりのセヴァスティアン・ヴァイグレで、『ばらの騎士』(2016)に続いて、読とともに再びピットに入る。演出するヴィリー・デッカーは、『トリスタンとイゾルデ』(2016)でも高い評価を得ている。4月の『エロディアード』と『サロメ』は、同じ原作を持ったオペラであり、2作品セットで観くらべるという楽しみ方も可だ。

二期会記者会見  撮影:最上梨沙

二期会記者会見 撮影:最上

10月は、プッチーニ蝶々夫人』。アンドレア・バッティストーニ揮、宮本亜門演出の顔合わせとなる。このプロダクションは、2020年ザクセン州歌劇場での上演も予定されており、ヨーロッパに先立ち、東京でプレミエを迎える。衣には、内外で多岐に活躍するクリエーター蜷川実花を迎える予定。新しく生み出される『蝶々夫人』を通して、日本文化の世界への発信にも期待がかかる。

11月は、毎年恒例となっている日生劇場での上演となるオペレッタ天国と地獄』。揮に2013年の『こうもり』でタクトを振った大植英次、演出に11年ぶりの二期会登場となる山仁を迎える。客席と舞台の距離が近い日生劇場の特性を生かし、セリフと歌のどちらも楽しめるように、日本語訳詞上演となる。

2020年2月は、ヴェルディの『椿姫』。揮に、今回が初来日となるジャコモ・サグリパンティを迎える。すでにバイエルン国立歌劇場ベルリンドイツオペラパリオペラ座などで活躍しているイタリアの若手揮者のひとりで、2016年にはインターナショナルオペラ・アワードの最優秀若手揮者に受賞するなど、ヨーロッパを中心に覚ましい活躍を見せている。新制作の『椿姫』となるが、今後《二期会名作オペラ祭》での再演も視野に入れており、より長いスパンで多くの日本人が親しめるプロダクションに仕上がる予定だ。演出は現在調整中。

あまり取り上げられない作品からオペラ王道作品まで、幅広いラインアップった。

二期会記者会見  撮影:最上梨沙

二期会記者会見 撮影:最上

6演全てが新制作であり、積極的に日本人の演出スタッフを起用することからも、「日本の新しいオペラを創造する」という東京二期会の気概が伝わってくる。『蝶々夫人』のように、日本でプレミエを迎え、それをヨーロッパに持っていくという新たな上演スタイルにも「世界に発信する日本オペラ」という姿勢が見える。

今年の後半のラインアップにも、ニューヨークメトロリタン・オペラでの初演から100年というメモリアルを迎えたプッチーニ《三部作》や大和田伸也の出演が話題を呼んでいる『後宮からの逃走』など注作品の上演が控えており、今後の東京二期会からが離せない。

キャスト等の詳細な情報は、随時、ホームページ等で発表される予定。

(左から)山口毅、韮澤弘志、宮本益光