Image: ©Michael Hutchinson/naturepl.com

だ。飛行機だ。赤ちゃんグモだ!

を自在に飛びまわるチョウハチなどと並んで、クモを飛べるなんて知りませんでした。

科学者界ではけっこう前から知られていたようですが、たとえばブリストル大学によればダーウィンビーグル号でをしながらまったく新しい生物学史を切り開いていた頃、のどん中で数のクモが乗船してきて、それらがなのにも関わらずものすごいスピードで船からへと飛び立つのを見て驚いたという話です。

所変わって山形県南陽水田地帯では、かつての終わりになると小さな子グモたちがいっせいに糸をに流して飛ぶ現初雪の前ぶれとされ、「迎え」と呼ばれていたとか。

でも、も羽も皮膜も持たないクモが、いったいどうやってを飛ぶんでしょうか?

今年6月に発表された研究が、クモに舞い上がる様子を明らかにしました。これを「バルーニング」というそうですが、読は一見に如かず。まずはこちらをご覧ください。

Theklaちゃん()は全長約5ミリ、体重25ミリラム較的大きなカニグモベルリン工科大学の研究者チームは、野外観測と実験をあわせてTheklaちゃんとその仲間たちを観察した結果、向きや速など上の様子を入念に探ってから飛行体制に入ることがわかりました。

が秒速3メートル以下で上昇気流が穏やかな時を選んで、いざバルーニング体制に入ります。まず前足で何度もの状態をチェック。納得できるコンディションであれば、今度はくるりと身をひるがえして上のほうへ向き直ります。お尻を上に向け、先端の糸イボ(出糸突起)から3メートルほどの糸を何本もにたなびかせ、地表とつないだ命綱を断つとともにあっという間にお空かなた

なんという勇ましい立ち!

カニグモ以外にも、様々な種類のクモが同じように新地をめて立ちます。に舞い上がったらあとは運次第。時には上昇気流に乗ってキロメートルする強者もいるのだとか。

ところがどうやら、クモたちはだけで飛行しているわけではないことが最新の研究で明らかになってきました。

Image: ©Michael Hutchinson/naturepl.com

ビーグル号に乗ったダーウィンは、がない日にも立つクモ撃していました。曇天でも、よりによってでも然と立つクモたち。どうやら風力とともに中電場を利用して飛行しているらしいのです。

これに気づいたのは英ブリストル大学のErica Morley研究員(生物物理学)でした。

を飛行するクモの多くは複数の糸を使ってバルーニングをしますが、その際糸が扇形に広がることが確認されています。これはすなわち、糸同士の間に静電気が働いていることを示唆していました」とMorleyさんはブリストル大学のプレスリリースっています。

電気からヒントを得たMorleyさんは、クモたちが中電場を利用していると仮説を立てました。中電場とは、地球規模の電気の流れにより常に維持されている大気中の電場。昆虫はこの中電場を感知できることが知られていましたが、クモも同じような感覚を持ち合わせていることが今回初めて明らかになったのです。

学術誌『Current Biology』誌に掲載された研究実験では、ラボ内に人工的な中電場を再現。大気中の電場と同じになるように設定し、クモたちを放って様子を見ました。すると、の状態でも電場さえあればバルーニングすることを確認しました。さらに、電場をONにするとクモたちは上昇し、OFFにすると降下することがわかり、が吹いていなくても電場で生じる静電気だけを使って宙に浮くことができるとわかったそうです。

を持たず、も渡れず(数種を除いて)、さほどジャンプもないちっぽけクモたちが、と電場を操って世界中に拡散しているとは…。

ただ、これは実験室で確認されたに過でないので、自然界でも同じように飛んでいるかどうかは別で実する必要があります。

とはいえ、これはスパイダーマンをもしのぐ驚異の飛行ですよね。

クモ (田んぼの生きものたち)

2,700円


Image: Michael Hutchinson/naturepl.com via University of Bristol
Video: YouTube1, 2
Source: University of Bristol, Current Biology, PLOS Biology, Technische Universität Berlin
Reference: 田んぼの生きものたち-クモ(農山漁村文化協会), 日本クモ(文一総合出版)

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