吉川晃司演の「連続ドラマW 書院の六兵衛」が、7月22日(日)より始まる(毎週日曜10:00-11:00、WOWOWライム※第1話は無料放送)。

【写真を見る】一言もしゃべらないという難役のオファーに、吉川晃司は「僕は、石橋を壊して泳ぎたい人間なので」と引き受けた理由を話す

直木賞作家浅田次郎の同名小説ドラマ化した本作。江戸城不戦開を舞台に、一切口をきかず江戸城内へ居座り続ける御書院番士・的矢六兵衛(吉川)と彼を排除するよう命令された名もなき下級士・加倉井隼人(上地雄輔)との熱き友情が描かれる。

今回、一言もしゃべらない人物という難しい役どころに挑戦した吉川インタビュー。役作りの難しさや共演者とのエピソードについて聞いた。

■ 六兵衛は、一言で言えばクールな男

――この作品のオファーを受けた時、どんなお気持ちでしたか?

原作を読ませてもらい、面い本だなというのが最初の感想でした。主人公がひと言も発することなく、それでいて“武士道とはなんたるか”を説いている。この設定を思いつかれた浅田さんが素晴らしいですよね。

ただ、これを映像化するというのは、パンドラの箱を開けることに近いなと懸念していました。「主人公がしゃべらない」って普通に考えたらリスクの高いことですよね。でもは、石橋を壊して泳ぎたい人間なので(笑)、これは面いなと思いましたよ。

――むしろ燃えたのですね。

近年時代劇コメディー路線でヒットしていることもあり、そちらに話が振られていたら、タイプ的にも技量的にもできないと思ったので「そちらじゃないですよね?」という確認はしました。

――実際に脚本を読むとコミカルな雰囲気に感じました。

もそう思ったんです。でも、スタッフから「周りの人々は六兵衛に対して一生懸命だから面く見えるんだ」と説明していただいたので「なるほどそれなら分かるな」と。

――六兵衛についてはどのような印を受けましたか?

一言で言えばクール。言葉を形にしないで人々に「意」を伝えられるって究極の存在ですよね。何もしないでいることで、ご覧になった方が「なんでこいつは長時間じっとしていられるのだろう」「あっ、今は哀しいのかな?」とか勝手に想像していただくことが大切なのかなと思います。

術礼法小笠原流を会得すれば、六兵衛になれる

――SNSを見ると、予告編を見た方からの意見がバラバラで、確かに面いなと感じました。

受け手の人間が、それぞれで違う解答を出せばいいし、「結局、六兵衛って何だったの?」という問いにしてもは答えがなくて良いと思ったの。それにしても浅田さんどこでこの話を思いついたんだろう…。

――「夢から着想を得た」とおっしゃっていました。

またまた、ホントに?(笑)。※一同爆笑

――役作りはどのようにされたのですか?

兵衛の所作を学ぶために「術礼法小笠原流」を教えてもらったのですが、名前は知っていても、どういうものかは分からないじゃないですか。一度体験してみたら本当に衝撃でした。自分はアスリート出身(中学高校時代は水球選手として活躍)で、いまだに一年中体を鍛えていますし、いろいろなスポーツを多岐にわたってしているので、体幹には自負があったんです。でも、全くが立たなかった…。

聞は一見にしかずなので、一度見てほしいのですが、とんでもなく美しいですよ。それを具現化するためには、しっかりとした体幹と筋がないといけないと何日か教わってようやく分かりました。

――「術礼法小笠原流」を取り入れることで、六兵衛の雰囲気が表現できたのですね。

礼法を会得すれば、六兵衛になれると確信していたので、撮影中に最低限の技術が身につけられるかどうかの戦いでしたね。小手先で芝居をしても薄っぺらく感じられてしまうだろうなと思い、表情だけの芝居に極ならないようにしました。

――裏の努がスゴいですね…。

そういうのがあったからモチベーションがキープできたのでしょうね。ただ漫然と現場へ行っているだけだと緊感も薄まってきますから。

■ (上地演じる)加倉井が2人分しゃべっているんです

ーー共演者の方とのエピソードを教えてください。

兵衛がしゃべらないから、上地くん演じる加倉井が2人分しゃべっているんですよ。とにかく彼のせりふ量が尋常じゃなかった…。でも、ちゃんと切り抜けていましたよ。大変そうだったけど、彼もアスリート出身(元高校球児でキャッチャー)だから、ちゃんとハードルを越えていきましたからね。

「すまないなぁ」とは思っていましたけど、せりふを間違えたら「帰れねぇじゃねぇか」って文句言いましたけどね(笑)それなりに彼のせりふを覚えていたので、間違え始めたら“少し似ているんだけど違うせりふ”を横でボソボソ言って邪魔しました。そしたら「やめてくださいよ! どっちか分かんなくなるから!」って怒られちゃって(笑)

――今や外国人の方にも浸透している「武士道」ですが、吉川さんの人生を振り返って「○」と名付けるとしたら○に何を入れますか?

思慮してから行動に出たり発言したりするようにしていますけど、なかなか行動が伴わないですね。だから「愚」かな。いかに愚かに生きるのか…極められたら最高かも。

賢明な生き方は上地くんがうまい。本人も言っていましたけど、やっぱりキャッチャーって人を見る仕事ですから、打者がどういう思いでバッターボックスに立つのかをずっと考えるんですって。人の表情を見たら「だいたい何を思っているのか分かる」って言うんですよ。撮影中接していましたけど、確かに人を見るはあるなと思いましたね。(ザテレビジョン

「連続ドラマ 黒書院の六兵衛」に主演する吉川晃司にインタビュー