平成30年7月豪雨は多数の犠牲者を出している。一刻も早い行方不明者の捜索と被災者が1日でも早く日常を取り戻すことを祈るばかりだが、この災害に際してテレビの東京キー局には全国各地から怒りの声が多数寄せられているという。

「音楽番組やバラエティ番組が通常放送されていることにクレームが日々多数入っています。もちろん、報道枠ではこの災害を扱っており、何も軽視しているつもりはありませんが、芸能人も怒りの声をあげて特別報道番組を編成しろという声が世間にもあるため、クレーム電話が鳴りやみません」(東京キー局関係者)

 たしかにこれだけ多くの人が被災していれば、音楽やバラエティに対する怒りがあるのかもしれない。また、報道特番の編成以外にも、既存のニュース番組に対しても怒りの声が寄せられているという。

「テレビでは各地の被害状況などを報じていますが、一部視聴者やネット上では、生活情報を提供しろという声が大勢を占めています。要は避難所の情報や給水車の情報、営業している店舗の情報などをテレビで伝えろという話です。しかし、こうした災害時にメディアには棲み分けが存在していることを理解してもらいたいです」(同)

 棲み分けとはどういうことなのか。

「生活情報などは地元の放送局やケーブルテレビ、ラジオなどが取り上げるべきものという考え方があるんです。東京キー局がこうした情報を集めて提供することは不可能ではありませんが、今回のケースであれば各県のすべての市町村の情報を網羅しないといけません。どこか一部だけを伝えるわけにはいかないからです。しかし、そうなると情報の確認に時間を取られてリアルタイムに近い情報を出せないんです。その点、地元の放送局は地元エリアの情報だけなので、即応性のある情報が提供可能なんです」(同)

 たしかに東京キー局が伝えるならばすべての地域を網羅することとなり、欲しい情報が即座に届けられる状態にはならないのかもしれない。つまり、被災者にとって意味のない「今さら感」のある情報になってしまうというわけだ。

「さらに情報収集するとなれば各役場や役所に電話をかけまくって先方の事務仕事を増やすことになります。役場などに無用な混乱を起こさせることにもなります。そのような事情があって東京キー局は生活情報と呼ばれるようなものは基本的に伝えていないんです」(同)

 可能か不可能かで言えば可能だが、あえてやらないという考え方のようだ。

「ラジオやネットなどはリアルタイムに近い情報を随時出していけるので災害時はこうしたメディアを活用してもらいたいです。テレビの役目は被災地というよりも被災地以外の地域に向けて情報を出していく役割があると考えています。東日本大震災でも津波映像が世界中に流れ、救援隊の出動や義援金の支出につながりました。つまり、支援の手を獲得したり、世論や政治を動かすなどの側面支援がテレビの役割だと考えています」(同)

 一概にメディアと言っても放送するエリアや映像の有無、即時性の有無など特徴はそれぞれ異なっている。災害という緊急事態だからこそそれぞれのメディアが長所を生かして棲み分けているようだ。
(文=吉沢ひかる)

イメージ画像:「Thinkstock」より

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