アメリカの諜報組織といえばCIAが有名だが、実は政府機関の内部を細かく探ると、非常に多くの情報部門が存在している。今回は、その中でも特に謎めいた部門であるIntelligence Advanced Research Projects Activity(IARPA)の活動について紹介しよう。

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■DNAコンピュータとは?

 IARPAは、諜報に必要なテクノロジーを追究する部門だが、この部門が最近注力しているのは、多くの情報をDNAコンピュータに格納できる技術だという。

 DNAコンピュータとは、一つ一つの情報細胞が互いに相手と結びついたり離れたりしながら最適な条件を満たす細胞同士が組み合わさることで「DNA分子」となり、このDNA分子たちが組織化していくことで、答えを排出する働きを持つコンピュータのことだ。

 つまり、平たく言うと、DNAコンピュータが最も得意とするのは「組み合わせ問題」である。ユーザー最適な組み合わせを即時に得るために、開発者は、事前に、最適な組み合わせをコンピュータに組み込んでおくだけではなく、拒否反応を起こさないDNAの組み合わせも記憶させておく。つまり、DNAコンピュータにはかなり複雑な情報が多く格納されていることになる。

 このように、ただでさえ手間のかかる技術を要するが、IARPAは先日、非常に大きな束のポリマーからデータを格納しそれらを精査して読み出すという、これまで以上に開発に手間のかかるDNAコンピュータを作ることを発表した。しかも、機器の大きさはほんの卓上サイズという、最先端のDNAコンピュータに仕上げるのだという。ITが好きな者にとってはワクワクする話なのかもしれないが、ここで懸念されるのが、開発費用である。

 もともと、普通のコンピュータよりもDNAコンピュータのほうが、情報配列の複雑さから、手間や国家予算が一層かかっている。当然、膨大な電力を消費する。電力には様々な使い道があるが、最近世界的に問題になっているのは、コンピュータのデータセンターが過密傾向にあることだ。

■3段階のステップで開発を実現

 データセンターでどれ位の電力を消費するのかというと、2016年の時点で吸い上げた電力量は416.2テラワット時だったという。理系でない人はこの数字にピンとこないかもしれないが、日本で使用される一年間の総電力量が900強テラワット時であることを考えると、世界のデータセンターを維持するだけで、日本の全人口が使う約半年分もの電力が一年間で消費されている計算になる。当然、データセンターの増加に伴い温室効果ガスも増加していることは言うまでもない。

 当初、DNAコンピュータは、より高密度の情報格納と、より少ないエネルギー使用を両立することが謳われていた。しかし、それは本当に実現できたのか? 十分な答えはまだ明かされていない。

 今回の発表で、IARPAは、新たな技術開発のために必要な研究ジャンルを3つに分け、それぞれの研究を2年ずつかけて達成する、と言い切った。まず、データをDNAに組み込むべきか他の分子に保管すべきかを仕分ける高速技術を開発するのに2年間を費やす。次に、データの高速検索方法を開発するために2年間を費やす。そして、実際にオペレーティングするためのシステム開発に、やはり2年間かけるという。

 このような研究開発が本当に可能かどうかも定かではないし、国家にとって必要な研究開発なのかもよく分からない。ただ、大気汚染とこれに必要な国家予算が増加することは、間違いないだろう。
(文=鮎沢明)

イメージ画像:「Thinkstock」より

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