復帰後の代打弾であらためて証明「最も刺激的な選手の一人」

 エンゼルスの大谷翔平投手は「グレード2」の右肘側副靭帯損傷で一時離脱したものの、打者として先に復帰を果たした。投手としてプレーはできないが、DHでの出場には支障がなく、肘への負担についても問題なしと判断。打者として出場を続けながら、投手としても復帰を目指すという道を選んだ。米メディアは、この選択を“一石二鳥”だと支持している。

 大谷は6月8日(日本時間9日)に故障者リスト(DL)入り。その前日の7日(同8日)に多血小板血漿(PRP)注射と幹細胞注射を受けており、3週間後の28日に再検査を受けた結果、手術の必要はなしとの診断を受けた。一方で、打者として出場することで悪化のリスクがあるのではないかという意見や、プレーオフ出場が厳しい状況の中では無理をさせずに治療に専念させたほうがいいのではないかという意見もある。

 地元メディア「ファイブ・サーティー・エイト」では「エンゼルスはオオタニを今シーズン中プレーさせることを望んでいる。それによって彼らは後々損失が生まれるのだろうか?」とのタイトルで、エンゼルスの判断を検証する特集を掲載。最終的に、“正解“との答えを導き出している。なぜか。

 まずは、今月8日(同9日)の本拠地ドジャース戦で値千金の7号代打決勝ソロ弾を放ったことで、大谷が改めて「最も刺激的な選手の一人」であると知らしめたと指摘。打撃だけでも「非常に価値のある」存在だとしながら、「エンゼルスは単に避けられないことを先延ばしにしているだけかもしれない」とも言及している。つまり、いずれその時が来るのであれば、早く手術を受けたほうがいいかもしれないというのだ。

「当然のことではあるが、理想的なシナリオは…」

 その上で、「今シーズンにエンゼルスがプレーオフへ進出する可能性はほとんどなくなってしまった今、ルーキーイヤーである今シーズンの残りで打者オオタニに力を出しきってもらう価値があるのか? それともエンゼルスは彼のシーズン終了を宣言し、彼の肘の怪我を完治させるために手術を受けさせるべきなのだろうか?」という悩ましい“問題提起“を行っている。「前例のないオオタニの能力は、エンゼルスの首脳陣にとって前例のないジレンマをもたらしている」というのだ。

 現時点で、エンゼルスが取ることができる選択肢は3つあるという。1つ目は「今季中に手術」、2つ目は「打者として出場を続けて今季終了後に手術」、そして3つ目は「手術なし」だ。記事では、その3つをチームの勝利への貢献度を示すセイバーメトリクスの指標「WAR(Wins Above Replacement)」の数値で比較している。

 3つ目の「手術なし」では投手での復帰を2019年と推定。その他の2つ、つまり手術した場合は投手復帰は2020年としている。打者での数値は2019年に違いが出ており、「今季中に手術」が最も高くなっているものの、投打両方での2020年までのトータルのWARは「今季中に手術」が4.3、「打者として出場を続けて今季終了後に手術」が3.9、「手術なし」が6.6とはじき出されている。

 記事では「当然のことではあるが、理想的なシナリオは投手オオタニが手術を経ずに復帰し、その間にエンゼルスが打者オオタニの活躍を享受するということだ。これにより、向こう3シーズンにおける予想WARが6.6という成果が生まれることになる」と分析。そして、「エンゼルスはオオタニの処遇に関して、現状では正しい決断をしている」とも指摘している。

 もちろん、「手術なし」を選択しても、途中で悪化して結果的にメスを入れるというリスクは伴う。ただ、特集では「当面、手術を先送りにすることで、エンゼルスはオオタニに1年かそれ以上のシーズンを棒に振ることなく肘の治癒をするチャンスを与えた。と同時に、彼が打者として更に成長するチャンスをも与えたのだ」と言及。今シーズンを打者だけで終えるとしても、メジャーの投手たちとの対戦経験を積むことができ、新人王獲得のチャンスが広がるとも伝えている。

 プレーオフ進出の可能性もまだ消滅したわけではない。さらなるインパクトを残し、エンゼルスを押し上げる活躍に期待したいところだ。(Full-Count編集部)

エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】