巨人軍の外野手だった柿沢貴裕が窃盗の容疑で逮捕された。報道によると、柿沢容疑者は楽天時代から盗み癖があり、「球界のルパン」と呼ばれていたらしい。阿部慎之助や菅野智之ら同僚選手のユニホームやバットを盗み、転売していたというが……。

◆AV男優・しみけんさんが見た爆笑窃盗事件

 まさにプロ野球界の人間だったからこそ可能な犯行。職権乱用も甚だしいが、柿沢容疑者の逮捕が発表された7月8日、AV男優のしみけんさんのこんなツイートが話題となった。
※以下は引用
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「チキショー!!」

汁男優の控え室=汁部屋から怒号が聞こえてきた。

どうやら勃起薬の盗難が起こったらしい。
「全部飲まれてる!誰だ!お前か!お前か!?」すごい剣幕だ。

そして撮影に。
女優さんを囲んで監督が演出をしている時、1人の汁男優がめちゃくちゃ勃起してた。

犯人この人だろ!笑  ――――――――――――――

 自分の働いている業界にも似たような人がいないだろうか。業務上の立場を利用し、私腹を肥やそうとする輩……。とはいえ、たいていの人が問題を起こし、クビになったりするものだ。今回は、柿沢容疑者だけではない、各業界に潜む窃盗犯や転売屋を紹介する。

◆化粧品をメルカリで売り捌く美容スタッフ

 都内のキャバクラに勤務する詩織さん(仮名・20代後半)は、かつて化粧品販売店で美容スタッフをしていた。当然ながら美意識が高い人がなる職業だと思うが……。

「私のまわりにはとにかく見栄っ張りな人が多かった。対抗してエステなどの“自分磨き”はもちろん、ブランド物の洋服などを買い漁っていた。おかげで一時期はクレジットカードを満額まで使ってしまって……」

 詩織さんは浪費癖の自覚がありつつも、美を追求する仕事だけに「悪いことじゃないはず」と自分に言い聞かせていたという。とはいえ、給料は決して良くはなかった。いくら働いてもお金が足りない……そんなとき、思い付いたのが化粧品の転売だった。

「私が働いていた店では、全メーカーの化粧品を扱っていた。新商品が出たらセミナーに行って研修を受けます。その際にひと通りの商品が手に入るのですが、自分の好みではないメーカーのものは開封せずにメルカリなどのネットオークションに出すんです。他業界で働いている友達に正規の値段より少し安い設定で売ることもありましたね」

 化粧品やメイクが好きだから美容スタッフをやっていたはずだが、ためらいなどはなかったのだろうか。

「なかったですね。たぶん、自社愛が強いのはメーカー側の社員。私みたいなイチ販売店の人間はそこまでこだわりがないので、無料で手に入れた化粧品を転売している人も多かったです。メルカリを見ても色んなメーカーの化粧品をバラバラで売っているのは、私と同じような販売店の美容スタッフだと思いますね(笑)」

 だが、詩織さんは発送などの手間が面倒になったうえ、クレジットカードの支払いも間に合わなくなった。結局は夜の世界に入り、キャバ嬢になったのだった。

◆タレントのサインを転売する芸能マネージャー

 元プロ野球選手の柿沢容疑者は調べに対して「生活に困窮していた」と供述している。同様の理由から窃盗に手を染める人もいる。数年前、都内の芸能事務所でマネージャーをしていた田中さん(仮名・30代)が悪びれる様子もなくこう話す。

「仕事は激務な割に薄給。そのくせ、お付き合いの飲み会やパーティも多く、とにかくカネに困っていた。そこで、所属タレントのサインをネットで転売することを思いつきました。ことあるごとにサインを書かせて、そのうちの数枚をくすねる。まあ、サインなんて売れても千円とかたかが知れていますが、元手がいらないぶん小遣いにはなっていましたね」

 とはいえ、バレそうになったこともあるという。

「別のマネージャーがネットで売られていることに気づいて『うちの所属タレントのサインが大量に売られている!』と騒いでいたのですが、僕は『心ないファンがいるものですね』とファンのせいにしてごまかしました(笑)」

 せっかく書いたサインがファンのためではなく、マネージャーの私腹を肥やすためだとしたら、タレントも報われないだろう。結局、田中さんは別件で不祥事を起こし、クビになった。

◆消えたハイブランドの洋服の行方は…

 ファッション雑誌の編集部に勤めていた加藤さん(仮名・30代)は、「読者プレゼント」のコーナーを担当していた。アパレルメーカーから新作やサンプル商品を集め、アンケートに答えてくれた読者に送るわけだが、どういうわけか現物が保管場所から消えていた。

「その号で目玉のプレゼントになっていたハイブランドのアイテムがいくら探してもないんです。編集部員、スタイリスト、モデル……まさか、だれかが盗んだのではないかと一同騒然となりましたね」

 加藤さんの出版社は、深夜でも外注スタッフや人が出入りしているような状態。とはいえ、編集長から「お前の管理が甘いんだ」と加藤さんに矛先が向きかけたときだった。

「あれ、なにかあったの?」

 ……と眠そうな目をこすりながら現れたのは、先輩編集者のMさん。どうやら徹夜明けらしい。常に会社で寝泊まりしているスタッフも珍しくないが、注目すべきはその服装。

「Mさんがプレゼント用の洋服を寝まき代わりに着ていたんです。数万円もするハイブランドのアイテムなのに(笑)」

 どうやら放出品(※サンプルや廃棄品などで編集部に提供されたもの)と勘違いしたらしい。窃盗ではなかったが、ファッション雑誌の編集部員にも関わらず、物の価値がわからないのかとその場の全員が呆れ返ったそうだ……。

◆意外とある社内窃盗・横領のセコい手口

 ともあれ、窃盗は当然ながら犯罪である。業務上、無料で手に入る商品などを転売したり換金したりする行為も罪に問われるケースもある。

 平成29年の侵入窃盗のうち、「会社・事務所」で起きたのは全体の10.6%で557件。社外からの侵入も当然あるが、一部は社員など内部の者による犯行もあるだろう。ここ数年の例を挙げると――。

・三重県警で2016~2017年に、男性警察官3人と男性事務官の計4人が、備品の電池を約4000本盗み、リサイクルショップに転売した。被害額は約8万3000円で、2018年に4人は書類送検、減給処分に。

・2017年、みずほ銀行の次長が、海外の機関投資家から預かった株主優待券を盗んで懲戒解雇に。2016~2017年にかけて株主優待券計約2万9000枚を盗んで換金して所得約2億7500万円をゲットしたが、これを隠して所得税約1億2100万円を逃れたたため、窃盗と所得税法違反で起訴された。

・2015年、大手ビール会社の40代男性社員が経費で買った商品券を換金し、業務上横領容疑で逮捕される事件が起きた。販促用の商品を買ったと偽って経費を請求し、実際には商品券を買って金券ショップで換金。6年間で1億円以上の利益を得ていたという(当人に権限がある金品の場合は、窃盗でなく業務上横領になる)。

 悪事は必ずバレる。絶対に手を染めてはならないことを強調しておく。<取材・文/藤山六輝>