シドの結成15周年を祝う全ライヴハウスツアーSID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 2018』。演ごとにテーマを設けたツアー大盛況で、6月27日28日には東京豊洲PITにて追加演が行なわれた。ここでは、6月27日の“昭和歌謡曲限定LIVE”の模様をお伝えする。

この日の軸となったのは、1stアルバム『憐哀-レンアイ-』をはじめ、インディーズ時代の昭和歌謡曲的なナンバー。1曲は、愁い色をたたえたShinjiのアルペジオが導く「紫陽花」だ。叙情的な旋太いバンドサウンドが心地良く絡み、ファルセットを交えたマオの歌にフロアは聴き入って、いつものに沸くライヴとはだいぶ異なる様相だ。

マオタイトルコールした「土曜日の女」はムード歌謡の趣で、「紫陽花」の未練を引きずる男性から一転、描かれるのは都合のいい女の嘆き。歌詞はもちろん、歌演奏でも繊細にそれぞれの“哀愁”を表現できてしまうロックバンドは、シドのほかにいない。

「“昭和歌謡曲限定LIVE”に、ようこそいらっしゃいました。シドは、初期の頃昭和歌謡の匂いのする曲をたくさん産んできました。今日は、めてみなさんに届けたいと思います」

大人モードマオの丁寧な挨拶から、「林檎」へ。80年代感漂うアップテンポにオーディエンスが少し控えめに揺れ始める中、マオステージ下手に動いたり、明希はターンしたり。

マオが「盛り上がっていけるかい!?」と呼びかけた「お別れの唄」では、イントロのサンバ的なドラムフレーズ、中盤の見せ場とゆうややかに牽引。Shinjiがアコースティックギターで奏でるスパニッシュなギターソロも、鮮やか。ファンキーな色をたたえた「バーチャル晩餐会」では、軽やかに聴かせながらもテクニカルな歌と演奏にすっかり魅せられてしまう。

今日駄に大人っぽく振る舞っておりますが、普段は聴こえない自分の心臓の音が聴こえています(笑)。ところで、今日は“昭和歌謡曲限定LIVE”なわけだけど、平成まれの人いる?」

明希がフロアに向かって問いかけると、っ先に「はい!」と手を上げたのはマオ。「ぎり、平成かな」とすまし顔で言うマオに、「めっちゃ年下じゃん!っていうか、ずっとタメ口だったよね!?(笑)」と明希が切り返せば、オーディエンスも大笑い。

昭和の男代表”と明希に振られたShinjiが、「昭和はちょっとだけなんですけどね、シャンプーティモテ昭和に大流行した)です」と言うと、すかさず「それ昭和だよ!」とツッコむマオ。そのまま♪ティモテティモテ~とCMソングを歌い出す4人、こんなときも息ピッタリ。

ゆうやは、フロアに向けて突如自分が何を食べてきたかの3択クイズを出題。炒飯でもオムライスでもなく、納豆ご飯をしっかり食べてきた彼もまた、間違いなく昭和の男だ。

今日MC、みんな変だよね(笑)。ちなみに、“暴れ曲限定LIVE”のときにはを出てからライヴが終わるまでずっとキレていて、メンバーともを合わせずにいて不良を貫いていたんだけど、嫌われたらいやだなと思ってライヴ後に「ごめんね、今日」ってメンバーに言ったら、「なんとなくわかっていたよ」って言ってくれて。15年やっていると言葉にしなくても理解してくれているんだなと思って、嬉かったです」

そんなマオの言葉からは、4人の決して揺るがない信頼とを感じ取ることができた。歌詞サウンドもまるで往年のフォークソングのような「小さな幸せ」。マオが「初期からずっとやり続けている大好きな曲です」と前置きした「私は」。Shinjiの弾くアコースティックギターの音色にマオの歌が映えた「」。シド昭和歌謡、その深みにどんどんハマっていく。

昭和歌謡っていっても盛り上がる曲もあるからさ。いけるか!?」というマオの言葉をきっかけに、クラップが巻き起こったのは「循環」。歌詞に合わせてくるくると回るオーディエンスを見て笑顔マオゆうや。向き合って楽しそうに演奏するShinjiと明希。Shinjiと隣り合ったり、明希の肩に手を回したりしながら歌うマオ。オーディエンスのコールが大きくいた「妄想日記」、たたみかけた「妄想日記2」、マオが幾度となくえた「隣人」と、その勢いは止まらない。本編ラストの「赤紙シャッフォー」ではオーディエンスが全コール&拳を思いきり振り上げて、結局とんでもない熱量が生まれた。

アンコールでは、かけ出しの頃に登場SEとして使っていたという井上陽水の「がない」を、想いを込めてカバー。「最初の頃、お客さんが全然いなくて辛かったけど、シド音楽は絶対たくさんの人に刺さるっていう確信があった。15年経った今、こうしてライヴをやればたくさんの人が来てくれることに感謝しなきゃって、めて思いました」としみじみ言ったマオ。自分たちを信じ曲げないことと、感謝を忘れないこと。そのふたつを持ち続けるバンドは、いつまで経ってもきを失わない。

マオのイヤモニだろうか、不調になるとShinji、明希、ゆうやセッションを始め、戻ってきたマオ突然のラッパーモード乱入するという遊び心も発揮しつつ、「アリバイ」では懸命に手を振るオーディエンスにマオが全投げキッスマイクを向けられたオーディエンスも、大合唱で応える。

「いつもより暗い曲が多かったけど、好評だったらまたやりたいと思っているから、楽しかった人は手紙ください」

そうお願いして最後の曲へ……というところで、フロアから残念なが上がると、「も終わりたくないけど、昭和の曲がもうないんだよね」と申し訳なさそうなマオ。しかし、「じゃあ、歌詞昭和が入っている曲選びます」といて、急遽ステージ上で相談する4人。選ばれたのは、“赤外線”というワード歌詞に含まれた「」だ。4人のな計らいにオーディエンスは歓喜、コールレスポンスでよりいっそう一体感が高まることとなった。

そして、最後の最後に届けてくれたのは世界観にられた「の便箋、への手紙」。シドの哀愁にどっぷりつかりすぎて、この余韻はしばらく薄れそうにない。

写真/今元秀明 文/江優

セットリスト
1.紫陽花
2.土曜日の女
3.林檎
4.お別れの唄
5.バーチャル晩餐会
6.小さな幸せ
7.私は
8.
9.循環
10.妄想日記
11.妄想日記2
12.隣人
13.赤紙シャッフォー
-アンコール-
EN1.がない
EN2.におちて
EN3.
EN4.アリバイ
EN5.
EN6.の便箋、への手紙

【ライヴレポ】シド、“昭和歌謡曲限定LIVE”東京公演で初期からずっとやり続けている大好きな曲「私は雨」や井上陽水のカバーなど全19曲披露!