アカデミー賞長編アニメ賞に輝いたディズニー/ピクサーの名作『リメンバー・ミー』は、先祖をたたえるメキシコのお祭り“死者の日”を題材に、家族の絆を感動的に描いたファンタジーアドベンチャーだ。製作中にピクサーのチームが何度も訪れたメキシコ南部の都市オアハカを、脚本と共同監督を担当したエイドリアン・モリーナと訪問。彼らのリサーチ旅行が、いかに本作に影響を与えたかを聞いた。(取材・文・写真:細谷佳史)

死者の国の参考になったモンテ・アルバンの遺跡

 モリーナは、映画が公開された後、メキシコの人たちが、作品を受け入れてくれたことに、大きな安堵(あんど)を感じたという。「僕らは、“死者の日”の伝統を忠実に伝える映画を作りたかった。メキシコの人々に、スクリーンで彼ら自身を観られることを、誇りに感じてほしかったんだ。そして実際に、そう反応してくれた。多くの人たちが僕らに、この映画がいかに彼らの家族を思い出させてくれる作品だったのかを教えてくれた。とても感動的だったよ」

オアハカにある有名な遺跡モンテ・アルバンの影響について、モリーナは以下のように語った。「その美しさや、歴史があるという感覚だね。それと死者の国をデザインする上でのチャレンジは、誰もそれがどういったものかわからない。そして、これが、家族の歴史やメキシコの歴史についてのものになるのはわかっていて、死者の国の環境にそういったものを反映させようとなった。だから、皆さんが目にする死者の国の塔は、多くの世代の建築を基に作られている。そしてそのベースは、メソアメリカン(スペインの植民地となる前のメキシコ)のピラミッドなんだ。モンテ・アルバンやチチェン・イッツアのようなね。僕らはミゲルやヘクターがいる環境に歴史の感覚を与えたかったんだ」

 しかし、実際にメキシコにリサーチに来るまで、モリーナは「まだ物語やキャラクターがどうなるかはっきりと把握していなかった」と言う。「最初にメキシコに来たのは2013年だった。その時はメキシコがどんな影響を作品に与えることになるかわからなかった。オアハカは、多くの人たちが熱心に“死者の日”を祝う場所の一つなんだ。僕らはそこで、ある家族が、その日を祝うのを一緒に経験することができた」

メキシコのあちこちで見かけるパペルピカド(紙アート)

「家族がどのように思い出となり、彼らの物語が何世代にもわたって受け継がれていることを知り、近所の人たちもみんなが墓地に集まって、ろうそくを灯し、夜遅くまでその場所にとどまって家族と“再会”する光景に、とてもインスピレーションを受けた。そして、それを(主人公の)ミゲルの物語に生かしたんだよ」

パペルピカドのスタジオで、パペルピカド作りに挑戦するエイドリアン・モリーナ共同監督

 18日には『リメンバー・ミー』のMovieNEX(ブルーレイ+DVD)と4K ULTRA HD MovieNEX(ブルーレイ+UHD)が発売され、レンタルもスタートする。今回のMovieNEXには、当時のリサーチ旅行が、ボーナスフィーチャーとして収められている。

メキシコには毛のないダンテのような犬がたくさんいる。

「いろんな地域を訪れ、いろんな人たちに会うことで、実に多くのインスピレーションを得られる。洋服から環境、音楽までね。そして、ブルーレイ、DVDでは、そのプロセスがいかに重要で楽しいものだったのかを見ることできる。製作の初期段階では、全てが発見の段階だったからね。そういった現実の世界を、物語に反映させたんだ。劇中のアイデアに、どんな原点があるかを見ることが出来るのは、とても面白いものになると思う。また、(ボーナス映像として)たくさんカットしたシーンが入っている。映画には残らなかったけど、それらのシーンを試してみることは、最終的なストーリーを決める上でとても役立ったんだ」

 死者の日の夜の墓地や、死者の国に渡るマリーゴールドの橋など、息を呑むほど美しい映像美は、4KとHDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)では、さらに際立っている。また、『アナと雪の女王』のソングライター、ロバート&クリステン・アンダーソン=ロペス夫妻が手がけたアカデミー賞歌曲賞を受賞した主題歌やサウンドデザインを、UHDでは、ドルビーアトモスによる、映画館並みの臨場感溢れる多次元サウンドで味わえるのも魅力だ。

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