「外国人とコミュニケーションをとりたい」

内心そうは思っていても、「英語が話せない…」と自信を持てず声をかけられないことってありますよね。中学から大学まで10年間、勉強したにもかかわらず…。

その一方、モンゴル人のお相撲さんは、「世界でも難しい言語の1つ」といわれる日本語を、まるで母国語のように操ります。

もちろん、相当な努力をしているはずですが、モンゴル人にとって日本語は習得しやすい言語の1つなんだそう。

「言語には学習者との相性があり、日本人が学びやすい外国語もあります」

そう話すのは、世界55カ国語以上を学べるディラ国際語学アカデミー(DILA)の佐藤理事長。

東京オリンピック・パラリンピックも近づく中、英語以外の言語に目を向けてみるのもいいかもしれません。

そこで今回、日本人が習得しやすい外国語について、佐藤理事長に伺ってきました。

なぜ日本人は英語が苦手なのか?

Photo: 島津健吾

そもそも、なぜ私たち日本人は、英語に苦戦するのでしょうか?

今年で30周年を迎えるDILAの調査によると、英語をゼロから学ぶ場合、日常会話や社交上のコミュニケーションが可能な初級レベルになるためには*500時間程度が必要とのこと

一方、韓国語やインドネシア語なら*250時間程度と、約半分以下の時間で初級レベルに到達します (*プロによる適切な指導と、高い学習意欲による効果的な自己学習の合計時間数)。

あくまでも目安の数字ですが、ここまでの差が生まれるのには理由があるようで、佐藤理事長によると、次の4つのポイントが関係しているとのこと。

発音(母音、子音、日本語にない発音、周波数帯の違いなど) 文字(文字の特徴、単語のルーツなど) 言語の構造(文法上の違い、文化・思考からくる語順・文法構造の違いなど) 話すスピード(1分間に話す単語数の違い)

この4つのポイントで英語と日本語を比較すると、日本人にとって英語が難解な理由が浮き上がってきます。

たとえば、日本語は表音文字のひらがなとカタカナ、表意文字の漢字を組み合わせて使っているのに対して、英語は表音文字のアルファベットのみ。一見優しそうですが、日本人を困らせるのが英語の発音だといいます。

英語は、もともとイギリスで生まれた言語です。しかし、過去ローマ帝国やフランスなどに攻め込まれたことで、さまざまな単語が入ってきました。

諸説ありますが、元々の英語の発音を保っているのは、4分の1程度。残りはフランス語などのラテン系やギリシャ系と言われています。

そのため、英単語は表音文字ながら、発音の変化が激しいのが特徴。同じ「a」でも、複数の発音方法がありますよね。

ほかのヨーロッパ言語は、ほぼルールが決まっているので文字どおり読めばいいのですが、英語は違います。これが、英語学習の1つのハードルになっていると感じます。

そして、言語の構造については、日本語がSOV(主語・目的語・動詞)なのに対して、英語はSVOと異なります。語順は人の思考回路を反映しているので、語順が異なるということは、考える順序を変えるということ。慣れるまでは大変です。

このほかにも、話すスピードも関係しているとのこと。

日本語は、通常の会話で1分間に120単語程度を使っていますが、英語はその1.5倍くらい。それが早く感じてしまう原因です。

また、単語の持っている音素が、英語のほうが圧倒的に多い。たとえば、日本語で「人格」なら3つの音素。英語ならパー/ソ/ナ/リ/ティと5つの音素。同じ情報を伝えようとしたら、それだけ早く話さないとダメですよね。

日本人が英語のリスニングやスピーキングが苦手なのは、普段使っていない能力を求められるからなんですね。

日本人が習得しやすい言語

こうしたさまざまな要素が、日本人が英語の習得に苦戦する理由なんだとか。逆にいえば、この4つの要素が日本語に近い言語なら日本人でも学びやすいといえます。

英語が比較的不得意だからといって、悲観的になる必要はありません。日本人にだって、相性の良い言語はあるのです。

DILAでは、年間1,000名の一般受講生と1,500件を超える企業・官公庁の受託講座を通して、「日本人にとって比較的やさしい言語、比較的難しい言語」について研究。

「発音」「文字」「言語の構造」「話すスピード」の4点から考慮すると、 韓国語、インドネシア語、マレーシア語、スワヒリ語などが、日本人にとって比較的習得しやすい言語に分類されるとのこと。

Image: Dila

「初期段階の韓国語学習は日本人にとってパズルに近い感覚なんです」と佐藤理事長。

モンゴル語やトルコ語などもそうですが、韓国語は日本語と語順や文法的な作り、語彙体系が近いことで知られています。初級レベルにおいては、文法は極めて似ているんです。たとえば助詞が果たす役割。また、敬語や「です・ます」体にあたる(丁寧)表現がある点など、とても近い。単語を覚えて日本語の語順どおりに並べるだけで、ちゃんとした韓国語の文章になることもしばしば。日本人にやさしい言語の一つといえます。

また、インドネシア語やマレーシア語など、アジア圏の言語も学びやすいそう。

インドネシア語は、 動詞の変化などなく、文法的にはとても簡単。文字はアルファベット、発音も難しくない。日常会話レベルに至るまでは最も習得しやすい言語のひとつといえます。ただし上級レベルになるためには、相当数の単語とそのイレギュラーな変化が多く、とにかく暗記する必要があり、完全に習得するには時間がかかります。

さらに、ヨーロッパ系の言語を勉強したいのであれば、スペイン語やポルトガル語が比較的学びやすいということです。

ヨーロッパの言語というのは、主語・時制によって動詞を変化させるなど文法が非常に複雑です。ただし、 複雑な文法は正しく覚えてしまえばそのまま使えばよく、スペイン語やポルトガル語の発音についていえば、「文字・規則どおりに読めば読める」というわかりやすさがあります。フランス語や英語は、文字どおりには読めないので、比較的難しい言語としています。

このようにヨーロッパの言語でも学びやすいものがあるというのは、少し驚きではないでしょうか。

「英語が苦手 = 外国語が苦手」にはならない

英語力を求められるシーンは、年々増えてきています。特にビジネスの世界では、非英語圏同士でも英語でコミュニケーションをとることが大半。英語を学ばないという選択肢は、現実的ではなくなってきています。

しかし、すべての人が「英語が得意」というわけではありません。中には、中学で挫折したという人もいるかもしれません。だからこそ、視点を変えて学びやすい言語に挑戦してみるのもいいでしょう。

ここ数年、外国人観光客が増加傾向。非英語圏からの観光客も増えているので、英語以外の言語を使うシーンも自ずと増えています。

「ビジネスにおいては英語がベースとなることが多いのが現実ですが、現地語でコミュニケーションできることで、どの国でも相手との距離を縮めることができるんです。片言の日本語でも話しかけられると嬉しいですよね。

また2020年にオリンピック・パラリンピックがありますので、英語以外の言葉を学ぶいい機会だと思います。コミュニケーションの幅が広がりますよ」と佐藤理事長。

外国語というと、どうしても英語を想像しがちですが、世界にはさまざまな言語があります。その中には日本人が習得しやすい言葉も。

英語に挫折した人でも「より自分に合う言語があるかも」と、別の言語に挑戦してみては?

もしかしたら、数カ月後には外国語がスキルになっているかもしれませんよ。

Photo: 島津健吾

Image: ディラ国際語学アカデミー

Source: ディラ国際語学アカデミー

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