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 子供にスマートフォンを持たせる。

 親としては、心配もあるだろう。どうリテラシーを育み、スマホの使い方に対して親子でどんな話をすればいいか。マカフィー株式会社 執行役員 本部長兼コンシューマ セキュリティ エヴァンジェリストの青木大知氏のお話を聞いた。

 マカフィーとMMD研究所は、日本のスマートフォン利用実態について2017年から2018年上半期に共同調査を実施。そのうち「親と中学生に聞く初めてのスマートフォン利用の実態調査」「SNS利用に関する意識調査」「公衆無線LAN利用実態調査」の3つをもとに、そこから見える現在のスマートフォンの使われ方や、今後増えていくであろう公衆無線LANについてまとめる。

スマートフォンの使い方を親子で話す過程はやはり少ない

 ユーザー層が幅広いスマートフォンの使い方は世代によって異なる。現在中学生の約半数がスマートフォンを利用している。持ちたいと思うきっかけは、友達との間で、LINEを始めとした“コミュニケーションアプリ”を使いたいためだ。一方、親の立場では塾やクラブ活動が開始される。帰宅が遅くなることも多く、連絡や安心のためにスマートフォンを持たせたいと考えている。親と子の間でちょっとした意識の違いがある点は理解しておきたい。

 安心にスマートフォンを使わせるための方法としては、フィルタリングサービスがあるが実際に利用しているのは48.5%。フィルタリングをオンにしていても、最初の設定のままとなっている割合が67.5%となっている。ただしフィルタリングサービスは、デフォルト状態のままでは、問題のあるサイトが新たにできた際に対応しきれない場合がある。ユーザー側で更新をする必要があるが、調査に即して考えれば、対応が不十分なスマートフォンが7割近くあるということになる。

 フィルタリングサービスは危険なサイトへのアクセスを防ぎ、子どもたちを危険から守るためのツールだ。しかしその使い方について話し合ったことがない親子は7割近くいることも判明した。とはいえ、子どもの約半数が、親と確認しながら設定をしたほうがいいと考えている。子どもの安全をどうやって守っていくかは様々な教育が重要だが、大切なのは親子のコミュニケーション。加えてサービスの使い勝手の良さなども求められる。

 青少年を巻き込んだ事件は、かつては“出会い系サイト”など、特定のサイトで起こることが多かった。しかし最近では、SNSなどのコミュニティサイトで発生する事件が多くなっている。トレンドに合わせた対応方法を知り、リテラシーを高める対話が家族の間で必要だ。

 SNSは友人や家族など親しい仲間とのコミュニケーションの場である。不特定多数に向けて、自分からアクティブに投稿する人はそれほど多くないが、あとで後悔する子供も少なからずいる。感情に任せて(いわばその場のノリで)投稿してしまう人もいる。プライベートな話や写真などを、仲間や家族に伝えるのと同じ“軽い気持ち”で投稿した結果、トラブルを招いたと答えた人もいる。SNSを使用する際は、投稿前に一息入れて、立ち止まって考えることが大切だ。公開する対象の設定に配慮し、出す情報を必要な人だけに制限することも大事だとしっかり理解させる必要があるだろう。

 スマートフォンのユーザーの間では、インターネット利用についての教育と、安全に利用するための機能の拡充が必要と考えている人が多い。後者については、座間の事件の後、特定のキーワードが入っているとカウンセラー情報が表示されるといった機能がTwitterに追加された。サービスプロバイダー側にも安全に利用できる機能を提供してほしいという声が多かった。

公衆無線LANは便利だが、安全に接続するための基礎知識がいる

 東京五輪の開催を2年後に控え、外国人旅行客にも必要な公衆無線LANスポットの数を拡充しようという話題が増えている。公衆無線LANは回答者の7割が利用しており、世代としては10代が84.4%と最も多くなっている。パケットを節約するという目的が約6割で、通信制限がかからないよう積極的に使っているようだ。

 公衆無線LANの使用については、63%のユーザーが「抵抗がない」と答えている。「提供元が不明でも使う」と答えた人も55.5%に上った。設置場所が少ない、セキュリティが不安という不満がありながらも、なぜ不安なのかはわかっていない現状もある。青木氏は「2020年に向けて公衆無線LANが増えるが、それを安全で便利なものにしていかなければならず、脅威に関するわかりやすい情報を提供しないといけない」と話している。

本当のIT教育は、知識だけでなく道徳の意識も必要だ

――親子の対話が大切というお話しでした。親というのはどのくらいの年代でしょう?

青木 年齢の確認はしていませんが、中学生のお子さんを持たれている方になります。30代から40代でしょうか。

――年代によってはSNSを使っていない方もいると思います。実際に使っていないと、親が子どもにアドバイスすることは難しいのでは。

青木 実は親からは、学校でそういう教育をしてほしいという意見が多いです。学校は学校で親にやってほしいと。しかし実際のところ、お子さんを守るのは誰がいいかといったら、やはり親ですよね。

――SNSの投稿で後悔したことがあるという人が多いとのことでしたが、そうした問題にも親が踏み込んで行った方がいいと思いますか。

青木 設定などのテクノロジー的なところで困っているわけではなく、感情で書いてしまったりとか、自分でプライバシーを公開してしまったりした結果のトラブルです。SNSに限らず実社会でも起こりうることです。だからこそ、何かが起こる前に会話をし、子どもが相談しやすくなるような雰囲気を作ることが大切です。親子の対話が必要だと思います。

――インターネットそのものの使い方を考えることになりますね。

青木 いま、プログラミング教育がホットな話題になっていますが、ITリテラシーを高めるためにインターネットの使い方やSNSの中でやっていいことと悪いことの区別を付けるなど、道徳面でのポリシーまで含んだ教育をしていくべきだと思います。そうでなければ本当の意味でのIT教育にはならないでしょう。それは「親だけがやればいい」ということでないと思っています。「教育するためのツールや方法」も考えていかないといけないでしょう。

ITリテラシーの本質は、スキルの育成ではないのかもしれない