米金融大手のシティグループは「PUTTING THE BAND BACK TOGETHER」と題した調査で、ミュージシャンに支払われる金額が音楽業界の総収入のうち12パーセントであると明らかにした。このことは英音楽情報サイト「NME.com」や米音楽誌「ローリングストーン」も取り上げられている。

これでも昔よりは増えているというが、それでもまだ少ない数字。調査では、仲介業者の多さを指摘している。

2000年には1ケタ台だった

2018年8月6日(現地時間)に公表された調査によると、17年、米国のリスナーが音楽に費やした金額は200億ドル(約2兆2000億円)で過去最高を記録。ストリーミング、CDセールス、ライブやイベント、広告などを含む音楽業界全体の総収入は430億ドル(約4兆8000億円)に上った。

しかし、音楽業界全体の総収入のうちミュージシャンに支払われる金額は50億ドル(約5500億円)、割合にして12パーセントだという。

シティグループはこの結果について「ミュージシャンの割合は小さい」とコメントしている。その理由として、ミュージシャンとリスナーの間に存在しなければならないレコード会社、ストリーミング会社など中間コストが大きいとの見方を示す。

とはいえミュージシャンに支払われる金額の割合は以前より大きい。00年にはその割合がわずか7パーセントであったという。これはコンサートビジネスによるものとしている。

定額音楽配信サービス(サブスクリプション)の成長が近年著しい。CDなどの「買う」音楽から、ストリーミング・サービスによる「レンタル」する音楽に変わり、業界も大きな変革期を迎えている。しかしこの調査では、

「ミュージシャンが直接ファンに音楽が届けられるのが可能だが、業界は古いシステムを使い、まだストリーミングに対応していない」

と指摘する。

しかし、いつまでも変わらないわけではなく、ストリーミングやデジタル時代に追いつくために音楽業界自体の構造がまもなく進化すると予測している。その進化の方法として3つが挙げられた。

(1)コンサートのプロモーターが、既存の音楽配信サービスと統合する。
(2)既存の音楽配信サービスの同士の統合。
(3)音楽配信サービスが(無名の若手ミュージシャンをターゲットにした)レコード会社に変える。

これによってミュージシャンはより多くの収入を得ることが可能で、音楽配信サービスにとっても、これまでレコード会社が得ていた利益を獲得できるとしている。

日本も他人ごとじゃない?

今回の調査結果はあくまで米国内の話だが、多くの仲介業者が存在する音楽のシステムは日本も同じだ。

日本レコード協会が発行する「日本のレコード産業2018」によると、CDなどフィジカルな音楽ソフトの売り上げは年々下がってきている。その分、ストリーミング・サービスの売り上げは「激増」とも言える。13年に31億円だったが、瞬く間に増え、17年には263億円まで膨らんだ。

まだ、音楽ソフトの方が多いとはいえ、ストリーミング・サービスが伸び続けて逆転すると、仲介業者の存在を見直す議論が出てくる可能性がある。

パンクバンド「Hi-STANDARD」のギタリスト横山健さんは、ニュースサイト「リアルサウンド」が13年10月29日に配信したインタビューの中で、

「ミュージシャンに音楽を制作する力があって、それをアルバムにする力、自分たちに流通させる力があれば、レコード会社っていらなくなる」

と発言している。流通の部分はインターネットを通じて「直接ファンに音楽が届けられるのが可能」なので、仲介業者であるレコード会社の存在は日本でも再考する意味があるのかもしれない。

仲介業者はもういらない?