レース後に緩んだ涙腺「涙をこらえていたけど、すごくうれしかったので……」

 競泳のパンパシ水泳(東京辰巳国際水泳場)第3日は11日、女子100メートルバタフライで18歳の池江璃花子(ルネサンス亀戸)が、自らの持つ日本記録を0秒15更新する56秒08の大会新で初優勝した。個人種目では、日本記録をマークして2位に入った200メートル自由形に続くメダル獲得で、主要国際大会での金メダルは初。同じく日本新を樹立した混合400メートルメドレーリレーでは2位に入り、今大会3つ目のメダル奪取となった。

 速い。どこまでも速い。いつでもこの種目は速い。まさに「世界のトビウオ」だ。日本代表の壮行会では、何になりたい? との問い掛けに「世界のトビウオ」と色紙に書いた。そのわけは「トビウオが水上を飛んでいる時は、バタフライのような形になっているから」と説明した。

 個人種目で12、リレーで7の計19種目で日本記録を持つ池江は、泳ぐたびにレコードを樹立している。午前の予選では大会新の56秒90を出して全体の1位で決勝進出。5位入賞したリオデジャネイロ五輪決勝より、わずかに0秒04遅かっただけのタイムだ。

 50メートルを25秒89のハイペースで折り返した。「後半はバテバテで、抜かれたらどうしようと思って泳いでいたら、横を見たら隣りの選手も疲れていました」と笑わせた後、「練習の成果もあって自然とパワーが付き、タイムも出たんだと思います」と言葉をつないだ。晴れがましい表情で、高校生らしくハキハキ答える姿にエースとしての自覚がうかがえた。

次なる目標、世界新記録へ「これからが楽しみです」

 池江の勝負種目である100メートルバタフライは、2015年秋に初めて日本新をマークすると、リオデジャネイロ五輪のあった翌年に4度更新し、今季は4月の日本選手権準決勝、決勝で連発。さらに6月の欧州グランプリ、モナコ大会では初めて56秒台前半の23を記録し、目標の55秒台へ一歩接近した。

 そうしてこの日の56秒08である。「55秒台はすぐに出ると思う」ときっぱり言った。底の知れないホープは55秒48の世界記録を視野に入れ、「日本で一番になっても、海外では全然戦えなかったけど、(自分自身も)これからが楽しみです」と話し、遠回しに世界新を公約するような口ぶりでもあった。

 主要国際大会の表彰式で初めて一番高い所に上り、金メダルを掛けられると少し涙腺が緩んだ。「涙をこらえていたけど、すごくうれしかったので……。2年後(の東京五輪で)はしっかり流したい」と地元での金メダルに思いをはせた。(河野 正 / Tadashi Kawano)

56秒08の大会新で初優勝した池江璃花子【写真:Getty Images】