◆トロロッソ・ホンダに反撃の狼煙が上がった!

 中団グループでは“優勝”! 我らがトロロッソ・ホンダは、シーズン前半戦最後のハンガリーGPでガスリーが6位入賞! しかもドライコンディションのガチンコ勝負のなか、周回遅れにならずにメルセデスAMG、フェラーリ、レッドブルの3強に次ぐポジションを獲得。レースペースでは今季最高のパフォーマンスを見せてくれた。

 しかし、第2戦バーレーンGP4位(ホンダF1復帰後最高位)、第6戦モナコGP7位、そして第12戦ハンガリーGP6位という3つの好成績はあったものの、下位に沈むことのほうが多く、速さでは万年最下位だったザウバーにも先を行かれ、振り向けばウイリアムズだけという厳しい戦いが続いた前半戦だった。

 今回の6位は、トロロッソ・ホンダの反撃の狼煙となるのか?

 ハンガリーGP決勝当日夜、メディアセンターで原稿執筆中の当コラムではおなじみの全戦取材F1ジャーナリスト米家峰起氏に、トロロッソ・ホンダの前半戦総括と後半戦への展望を聞いた。

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担当A:速かったですね。たまたまですか(笑)。

米家:今ちょうどホンダの田辺さんのレース後囲み取材のテープ起こしをしてたんですが、クルマの仕上がりの良さが好結果につながったと言ってました。ハンガリーは全開率が低く、パワー感度が低い(パワーユニットの出力にあまり左右されない)ため、トロロッソ向きのコースではあるんですが、ここでしっかりとポイントを獲ってシーズン前半戦を終えたことは、光明であることは確かです。

担当A:ハンガリーGP前の数戦は、下位に沈みっぱなしでした。

米家:ガスリーに聞くと、ハンガリーの結果で、ここ数戦の問題点がクリアになったかといえば、決してそうじゃないという。ハンガリーはチームの予想より良かったけど、ここ数戦ダメだったときは予想より悪かった。予想が常に当たらないことが問題ですね(苦笑)。

担当A:毎戦出たとこ勝負みたいな。

米家:なぜ良かったのか、なぜ悪かったのか、原因が明確なら問題はないのですが、トロロッソはクルマのイニシャルセッティング(初期設定)を外すと立て直しができない。外れたら外れっぱなし。トップチームは外すこと自体ほぼないですし、多少外したとしてもすぐ立て直してくる。中団グループ上位のハースやルノーだって大きく外すことはない。トロロッソはデータ分析がきちんと反映されていないので、当たったときと外れたときの振れ幅が大きすぎる。不安要素のひとつですね。

担当A:たまに当たると速い(笑)。

米家:中団グループは大混戦ですから、1周0.3秒違うだけで順位が大きく変動します。

担当A:クルマにはアップデートは入ってるんですか?

米家:第9戦オーストリアGPで新しいフロントウイングが投入されましたが、まだ使いこなせてない。ほかは第6戦モナコGPくらいからほとんど変わってないので、中団グループのライバルたちに後れを取り始めている。だからこそセットアップが決まらず、そのポテンシャルさえもフルに引き出せなければ、中団グループのなかで下位に低迷してしまうのは当然の結果です。

担当A:もうひとつ心配なのが、ハンガリーGP直前に、トロロッソの技術部門トップで車体開発責任者のジャームス・キーがマクラーレンに電撃移籍してしまいました。

米家:レース現場の運営には特に影響はないと思いますが、来年のクルマの開発には影響するでしょうね。技術部門を統括する存在を失ったダメージは小さくはないと思います。

担当A:ホンダのパワーユニットは、メルセデスAMG、フェラーリ、ルノー、そしてホンダ。4メーカーのなかでは一番非力なパワーユニットですが、第7戦カナダGPで、浅木スペシャルとも言うべき待望のスペック2が投入されました。ルノーには追い付いたんですか?

米家:ほぼほぼ同じレベルにはなりましたが、パワーを上げたぶん、少し扱いずらくなってしまったようです。トラブルも発生し、今シーズンに入ってもう克服できたと思っていたはずの信頼性も完璧とは言えない。

担当A:夏休み明けにはスペック3が投入されると聞いてます。いつの予定ですか?

米家:すぐには出ないでしょうね。大きいアップデートをまとめて入れようとしているみたいです。新バージョンを入れるチャンスはあと1回か2回しかないですから。

担当A:当然、鈴鹿には間に合いますよね?

米家:そうあってほしいけど、それもどうかわからないですね。それくらい大きなアップデートを入れてくるみたいですけど。

担当A:ホンダにはメルセデスAMGやフェラーリが使っている予選スペシャルモードはあるんですか?

米家:メルセデスAMGやフェラーリが使っているような点火時期を早めてノッキングを頻発させながらもパワーをひねり出す予選モードは、まだ実用化できてない。それも予選でのタイム差が大きくなる要因になってます。

担当A:開発はしている?

米家:しているようですが、エンジンに負担がかかるのと、どれくらいダメージを負うのかを正確に把握してコントロールできないと使えない。実戦投入するまでにはまだかなりハードルが高そうです。

担当A:話を聞けば聞くほど厳しい状況ですが、後半戦の巻き返しに期待せずにはいられません。しかし、後半戦はベルギーとイタリア、超高速サーキットが続きます。

米家:スパとモンツァは相当厳しいと思います。ですから過度な期待はせず、パワーユニットでいえばルノーと同等なわけだから、別格のレッドブルを除くルノー搭載の2チーム、ルノーとマクラーレンとトロロッソパフォーマンスを比較して見ると幸せになれると思うますよ(笑)。

担当A:後半戦のなかでトロロッソ・ホンダに相性が良さそうなところは?

米家:コースの特性上、シンガポールはいけるはずです。トロロッソ・ホンダにとって、日本GPが行われる鈴鹿サーキットは得意ではないかもしれないが、きっと“鈴鹿スペシャル”とも言うべきホンダが総力戦で開発したスペック3のパワーユニットが間に合っているはずだ。

◆2019年レッドブル・ホンダ誕生!

 ホンダが2015年のF1復帰から昨年まで3年間タッグを組んだマクラーレンが最後にタイトルを獲得したのは2008年。2012年を最後に優勝からも遠ざかっている、昔の名前で出ているだけの落ちぶれた元名門チーム。

 レッドブルは2010年から4年連続チャンピオンに輝いただけでなく、それ以降も2015年を除いて毎年勝っている現役バリバリのトップチーム! 今年もモナコGPで完勝している。

 6月19日、ホンダは来シーズンから2年間、レッドブルにパワーユニットを供給することを発表した。シーズン前半戦のトピックのなかで、もっとも日本のF1ファンのレーシング魂をボーボー燃えさせたニュースだった。

 そんなファンが夏休み明けに心待ちにしているのは、今年限りで契約が切れるF1日本GP開催契約延長のニュースだ!

<写真/Honda Toro Rosso>