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 マイクロソフトのブログによれば、これまで「半期チャンネル(ターゲット指定)」(SAC-T)と呼ばれていた機能更新プログラムの配布タイミングがなくなるという。

 マイクロソフトは、Windows 10を2015年7月にリリースしたあと、それ以降の機能アップデートは、カレントブランチ(Current Branch、CB)およびカレントブランチフォービジネス(Current Branch for Business)という2つのタイミングで実行すると発表していた。

 正確には、Windows 10の最初のバージョン(TH1)がリリースされたときには、前者のCBしかなく、その後のイベントでWindows Update for Buisness(以下、WUB)が発表された。WUBは、TH2で実装されたが、実際には機能更新プログラムを延期するだけのものだった。そのデフォルト値から「CBB」という機能更新プログラムのインストールタイミングが作られた。

 2017年にマイクロソフトは、Windows 10のリリースを年2回、3月と9月に行ない、その直後のリリースであるRS2(Creators Update)のあとは、WindowsのサービスモデルをOfficeのスタイルに合わせることにした。

 このときにCBとCBBは名称が変更され「Semi-Annual Channel(Targeted)」と「Semi-Annual Channel」という奇妙な用語ができた。同社社員も変に思っているのか、「Semi-Annual Channel(Targeted)」は「SAC-T」、「Semi-Annual Channel」はSACという表記が使われるようになった。

RS3のときまでのスケジュール

 Windows 10は、半年に1回の「機能更新プログラム」(Feature Update)により、新たな機能が追加されていく。これまで、機能更新プログラムについては、SAC-T、SACのタイミングでインストールが開始されていた。

 Homeエディションでは、SAC-Tのタイミングで機能更新プログラムのインストールが開始されるが、ProまたはEnterpriseの場合には、SAC-Tから一定期間経過し、何回かの品質更新プログラムを経て、ある程度安定していると見込まれる段階でインストールされる。

 この方式ではあくまでも起点となるのは「SAC-T」のタイミングであり、昨年のRS3(Fall Creators Update)までは、事前に見込みで一般向け配布開始日(SAC-T)を発表していた。

 このため、製品ビルドとなる予定のプレビュービルドが出たのち、何回かの品質更新プログラムによるアップデートが実行されていた。

 SAC-Tののち、一般消費者向けとされるHomeエディションでは、有無を言わさずアップデートされる(ただし、メーカー製のセットの場合、検証や修正版開発などによりある程度のタイミング変更ができるようだ)。

 SACのタイミングでのインストールが可能なProやEnterpriseのユーザーから見ればHomeエディションのユーザーは「人柱」のようにも見えなくもない。もっともその前に、起動しなくなることもあるプレビュー版を利用しているWindows Insiderという「人柱」の人達の努力があるのだが。

 こうして、世界的な規模でインストールされ、さらに広範囲で検証される。その結果が、品質更新プログラムとしてWindows Updateで配布されていく。

 こうして、マイクロソフトがある程度の安定感を得たと判断したアップデートが完成すれば、それがSACとして配布されることになる。マイクロソフトによれば、SACの配布開始は、SAC-Tから4ヵ月程度とされているが、RS3では、2ヵ月程度(SAC-Tから8週間)でSACとなるアップデートが開始されている。

RS4では、スケジュールが変わった

 RS4(April 2018 Update)では、少しスケジュールが違っている。まず、SAC-Tのタイミングの発表がSAC-Tの2日前であり、製品ビルドがプレビュー段階で「Release Preview」に公開された後に行なわれた。つまり、RS3のときのように1月以上前にSAC-Tのタイミングを固定してしまわず、プレビュー版の段階である程度の品質が確保されたのちにSAC-Tを発表、間を置かずに配布開始とした。

 このため、SAC-T以前はプレビュー版のみで、一切アップデートがなかった。ただし、昨年3月のRS2に比べると、完成が若干遅くなっている。そもそもWindows 10のバージョンは、該当ビルドのビルド日付と連動していた。RS2は3月末に完成し、バージョンは1703だった。

 ただし、SACまでにリリースされた品質更新プログラムの数は5と、RS3の4に比べてほとんど変わらない。プレビュー版がFast Ringに登場してからSACになるまでの期間もRS4が12週間、RS3が11週間である。

 おそらく製品ビルドのプレビュー版がFast Ringに登場した時点で、最終ビルドとなることは予測されていた(確定していた)のだと考えられる。つまり、一定の品質をクリアしていたのだと考えられる。そもそもプレビュー版でも、ビルドが作られてからFast Ringまで1〜2週間の遅れがある。RCとしてFast Ringに配置、重大な問題が発生しないことを確認していたと考えられる。

SAC-Tがなくなるとどうなる?

 マイクロソフトのブログによれば「現在 Windows Update for Business モデルでは、遅延リリース日を特定の日に設定するための改善が進められています」とのことだ。

 これまでは、SAC-Tが確定し、そのあと、一定期間待ってからSACという手順だったものを、SACの日付を事前に指定するなどして固定した日にするということだろう。あるいは、毎年4月×日、9月×日は「Windowsの日」としてSACをリリースするという可能性も考えられなくもないが、可能性としては低く、開発計画を見ながら2〜3ヵ月前に発表されると考えられる。ブログの記述から考えるに、今年秋に完成予定のRS5からこのスケジュールが実施されるだろう。

 製品ビルドとなるプレビュー版がFast Ringに入る日は開発計画などからある程度算出可能、あるいはゴールとして設定可能と想定して、これを元にSACの日付を確定させるのではないかと考えられる。

 そして最終のプレビュー版で大きな問題がなければリリースし、一般消費者向けのHomeエディションなどでの大規模なテストに入る。

 一般配布が始まれば、2ヵ月程度の期間で、大方の問題は解決しているか、致命的な問題は対応できるとして、フィードバックに応じて品質更新プログラムを作っていく、そういう計画なのではないかと推測される。

 実際にRS3のときには、9月に発表したSAC-Tの日付どおりに配布を開始できた。RS5からは、事前に発表されて確定される日付がSACになるだけとも言える。つまり、開発の最終段階で、1ヵ月後の日付を発表するか、3ヵ月後の日付を発表するかの違いに過ぎないともいえる。

「半期チャンネル」と呼ばれるWindows 10の更新プログラムの配布タイミングがなくなる