各チームの本拠地で頑張っているビールの売り子さんがクローズアップされ、球場によってはアイドルのようなポジションを築きつつある。素晴らしい事だ! 誇らしい事だ! 大好きなプロ野球にまつわる全てが話題になって盛り上がればいいと著者は思っている。

 ちなみにホークスの本拠地ヤフオクドーム。“りのさん”は開幕した3月~7月までキリンの売り上げ杯数ナンバーワン!

 笑顔の裏側で、彼女たちのお仕事はとっても重労働。およそ20キロのビール樽を背負ってスタンドを昇ったり降りたり。“ゆりあさん”は大学4年生のラストシーズンを3月~7月までアサヒの売り上げ杯数ナンバーワンの人気売り子だ。

 そんな華やかな売り子さん達が魅力的なのはもちろんだが、なんといっても野球場で生ビールを飲むというのはお客さんにとっての醍醐味であり、彼らがいなければ売り子さんも輝き続ける事は出来ないのである。

 なので、今回のコラム。主役は可愛い売り子さんじゃなくて、売り子さんからビールを買う球場のお客さんたち。貴方の飲み方に近い人もいるかもしれない? 今回は売り子とお客さんのドラマティックコミュニケーション劇場inヤフオクドームを初公開しよう。

ヤフオクドームの売り子さんとお客さんのドラマ

 1試合平均4~5杯飲むという笹さん(49)は「何が良いってお釣りを渡す時の売り子さんの手にサンドイッチされながら釣銭を渡されるサービスが良いんよ。お釣りが出るようにしか支払わないもん。※筆者注:これはサービスではありません」。つづけてこう話す。「どんなに遠くを歩いていてもお気に入りの売り子さんがどこにいるか分かるようになったもんねぇ、売り子さんはアイドルみたいなもんやけんねぇ」とのこと。

 さらに笹さんはこうも言う。「ヤフオクドームは今年から試合開始前のビールが500円というサービスがあるんでね、そこで3杯ぐらい飲んでプレイボールの時には顔が真っ赤よ(笑)。※筆者注:これはサービスです」。幸せそうで何よりだ。

 年間30試合以上ヤフオクドームに観戦に来て1試合平均5・6杯飲む平岡さんは注ぎ方にこだわりを持つ。「基本は泡が3でビール7の割合だけど、出来れば泡が2でビールが8っていうのが嬉しいね」。そんな平岡さんの推しの売り子さんは“みゆきさん”だそうで、理由を聞いてみると「女性としてタイプやもんね。会話してても面白いからいつも彼女から買うもんね」。

 いや、平岡さん、もはや泡の割合関係ないじゃないですか(汗)。

 最後に平岡さんは堂々と言った。「酔っぱらったら泡とか見てないもんね」と(笑)。

 1試合平均4杯ほど生ビールを飲む片山さん(39)は全国の野球場を巡っているからこそ比較できる点も多いようだ。「今は全国どこの球場も生ビールは透明のカップになっているから泡とビールの割合が明朗でいいけど、数年前の紙カップの頃は注いでもらってしばらくしたら半分ぐらい減ってたりしたよね(笑)。泡が多すぎて全然ビールが入っていないとそういうことになるからね(笑)。でもヤフオクドームは売り子さんの数が圧倒的に多いから助かるよ。飲みたいときにすぐ近くに売り子さんが通り掛かるんだもん。お客思いの球場だよね」。

春先は売り子も探り探りで夏場に戦力が整のう?

 常連客のチャボママさん(59)は毎試合お孫ちゃんのお守をしながら生ビールを飲んでいる。「私はいつも決まった子からしか買わんとよ。だけんその子が卒業するって時はお世話になりましたって挨拶に来るし、社会人になっても一緒に飲みに連れていったりもするとよ(笑)。その卒業の挨拶の時にね“ママ、次はこの子を宜しくお願いします”って後輩の売り子さんを紹介してくれて代々リレーで繋いでるけん私のビールの泡の割合の好みも引き継がれてるからいちいち注文せんで良いけん楽よ(笑)。

 ただ春先の新人がいっぱいおる時に私がいつも決まったビールの売り子さんに手を挙げて注文するっちゃけど、慣れない新人の子が目があったと勘違いして近づいてくる時があるっちゃん。しかもカップにビールを注ぎながら近づいて来るもんだから心の中で“あんたじゃないのに(汗)”って言いながら仕方ないけん飲んだこともあるんよねぇ(笑)」と語る。

 春先は選手も売り子も探り探りで夏場に戦力が整のうと言ったところか(笑)。

 タカさん(54)はヤフオクドーム年間トップクラスの生ビール消費者と言っていい。1試合で7杯飲む酒豪のお客さんだ。そしてかなりマニアックなエピソードを持っている(笑)。現在8代目の推しの売り子さんという“ゆきのさん”は著者もウキウキするほど天真爛漫な雰囲気現役女子大生だ。

 その前の7代目Yさんが大学卒業を機に売り子さんも引退し、そのタイミングを見計らってゆきのさんがタカさんの席に声を掛けに来て、気に入って固定になったそうだが、このタカさんの凄い所は全てをデータ化しているところだ。何年も前から試合の結果とハイライト、チケット代とビール代をエクセルデータで打ち込んでいるのだ。そして驚くべきは、どの売り子さんから何杯買って試合がどうなったという勝率までもがデータになっているという事だ(笑)。

 タカさんは言う。「ビールの売り子で固定になる子は愛嬌と好み! 注ぎかたが分からないなら“それじゃつまらん! 教えてやる!”と言って自分好みの1杯を伝えて毎回なくなる頃に通り掛かってくれるようにしてもらうんですよ。ただ今年のゆきのちゃんは少し早くまわってくるから最後の二口ぐらいを一気に飲むことも多くてね、結果的に僕史上最高の年間316杯(一昨年)を大きく上回って、8月5日(44試合)までで289杯ですよ。これ年間400杯を越えるペースですよ(笑)」とはにかんでいた。

 どうですか? あなたに近い野球場での生ビールの楽しみ方はありましたか?

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(加藤 淳也)

キリンの“りのさん”は上半期の売り上げナンバーワン