神奈川県なら神奈川新聞、群馬県なら上毛新聞、鳥取県なら新日本海新聞、といったように、どの都道府県にも1つの県紙がある。これらはそれぞれ都道府県の全地域を網羅した記事が掲載されている。

一方で、市町村単位と、より地域に密着した新聞社もある。群馬県なら桐生市・みどり市を拠点とする桐生タイムス(桐生市)、大船渡市、陸前高田市、住田町の3市町を網羅する東海新報(岩手県大船渡市)などだ。

全国でほかにどういった「ローカル」新聞社があるのだろうか。

「こんな地元密着ローカル紙あるんだ」

筆者が大学生の頃、卒業旅行で訪れた石垣島(沖縄県)で見かけたのが、八重山毎日新聞と八重山日報だ。いずれも八重山諸島の情報が多く掲載されていたが、ページ数は県紙の沖縄タイムス、琉球新報と比べると薄かった。

八重山日報は、もともと石垣島でしか発行されていなかったが、2017年4月に那覇市など沖縄本島に進出。ひょっとして、県紙へと歩みつつあるのだろうか。公称部数は不明だ。


八重山毎日新聞は、那覇市に支局を置くほか、東京と大阪にも常駐通信員がいるとのこと。公称発行部数は1万6000部。


すべての地域新聞を調査しているわけではないので断定はできないが、全国的に珍しそうなのが、1社で複数紙を発行している長野県・岡谷市の岡谷市民新聞社だ。岡谷市民新聞のほかに下諏訪市民新聞、諏訪市民新聞、茅野市民新聞、たつの新聞、みのわ新聞、南みのわ新聞の7紙を諏訪市、上伊那郡など7市町村に向けてそれぞれ発行。公称発行部数は、3万9850部(15年1月時点)となっている。


長い歴史を持つ新聞社が多い中、2012年創立と「新規参入」したのは、長崎県の壱岐新聞(壱岐市)。公称発行部数は不明だ。


1面は地元民目線の記事満載

では、実際の紙面の内容はどのようなものなのか。諏訪市、伊那市など県内10市町に支局を置く長野日報(諏訪市)を見てみよう。


2018年8月8日付朝刊は全18面。全国紙が軒並み30面程度であることを考えると、半分ほどの紙面数だ。だがその紙面に地元の情報が事細かく掲載されている。

1面には、「登山者にセロリ振る舞う 八ヶ岳観光協会 麓の味PR」という見出しの記事が掲載されている。山梨県と長野県にまたがる八ヶ岳で観光協会が地元で採れたセロリを登山者に振る舞った、というものだ。

全面を見ても、全国ニュースは2面のみ。まさに市民・町民目線の新聞だ。

記者が注目したのは、17面に掲載されている4コマ漫画「あきれたとうサン」。

蕎麦屋の軒先に掲示された「職人募集」の告知。それを見た男性が、店内でさっそく小麦粉を練り、作っている...。と思いきや、練ったものを壁に塗り始めた。練っていたのは小麦粉ではなく、壁の塗装で使う材料で、男性はそばの職人ではなく、塗装の職人で、その募集だと勘違いしていたのだった。

店主は「まァこの暑さだ」と苦笑した。長野県では「信州そば」などが有名であることから、今回はこの題材を選んだのかもしれない。

八重山日報ホームページより