昨年の冷夏からは想像出来ないほどの猛暑が続く今年のベルリンの夏。まだ異常を感じるまでにはなっていなかった心地良い陽気が続いていた7月上旬、“Berlin Fashion Week”が開催された。これまでと同様メルセデス・ベンツをスポンサーに5日間に渡り、各所で盛大に行われた。そんなファッションウィークの現場を来場者の華やかがファッションとともに紹介したい。

文化遺産とカラフルなドレスで華やいだ5日間

これまでにも幾度となく伝えてきたが、ベルリンはヨーロッパ諸国におけるファッションシーンにおいてメインストリームとなり得る街ではない。新進気鋭の若手デザイナーの活躍が目覚ましいウクライナなどの東欧に負けているのではないか? と思ってしまうが、そこはフィールドがまた違うと考えたい。 では、ベルリンのファッションウィークとは一体どのようなものなのか? 大きくファッションショー、グループエキシビジョン、トレードショーに分かれており、関連イベントも含めたら数え切れないほどの催しがベルリンの至るところで同時開催されているのだ。現在日本でもかなり話題となっているカルチャーマガジンから生まれた032cもセレクトショップ“The Store“でイベントが開催されていた。今や世界的人気を誇るブランドは競争率が激しいため、是非ともこういったところに飛び込んでチャンスを掴んで欲しいところだが、RSVPが不要な誰でも入れるようなパーティーや関係者の多いパーティーではよほど気合を入れないと何の収穫も得れないのが現状である。 ファッションウィークの話に戻そう。パリやロンドン、ミラノに比べるとかなり小規模ではあるがきちんとランウェイショーも行われており、メイン会場となった”ewerk”では、HUGOや新進気鋭ブランドのBOTTERなどのショーが行われた。外には巨大なスクリーンが設置され、ショーの直後にすぐ映像で見れるようになっている。 Berghainと同建物内にある“Halle am Berghain”ではドイツ発のブランドLutz Huelleのショーが行われ、剥がれ落ちた壁と暗闇に浮かぶ巨大なシャンデリアが輝く中、グランジロックとミニマルがミックスしたコレクションが印象的だった。ビビッドカラーのドレスに身を包んだセレブリティーやプレス関係者の中に、全身ブラックに身を包んだBerghainの常連の姿もあり、こういったローカルを大事にするのもベルリンらしいアプローチだと思った。 ラグジュアリーブランドのグループエキシビジョン“Der Berliner Salon”の会場となったのは、リチャード・ポーリックによって1969年に再建された元皇太子宮殿の”Crown Prince's Palace”。歴史を感じさせる重厚感と豪華な内装に、広大な庭園は圧巻の美しさでこんな機会でもなければなかなか入ることが出来ないであろう貴重な体験となった。 ”Crown Prince's Palace”から徒歩圏内にあるアートギャラリー“Schinkel Pavillon”のこれまた素晴らしい庭園を借り切って行われたのはドイツ発の人気ブランドODEEHのプレゼンテーション。ガーリーなカラフルプリントのコレクションとドレスアップした来場者たちの中でベルリンではないどこか違う街に来た錯覚に陥るほど華やかだった。 良い気分のまま一歩外に出れば、Unter den Linden通りの世界遺産や歴史的建築物が目の前に立ち並ぶ。ファッションウィークの主な会場となったこの界隈は来場者たちによってエレガントなファッションストリートと化し、歩いているだけでも優雅な気分に浸れた。 鮮やかなレッドやピンク、イエロー、オレンジといった暖色系カラーのコーディネートが多くみられた今回のファッションウィーク。足元はビルケンシュトックのサンダルやVANSのスリッポンなどで着崩したスタイルが多かったのも特徴である。 『VOGUE』がパートナーシップのウェブサイト“This is Jane Wayne”のファウンダーでモデルも務めるベルリンのインフルエンサーの2人をODEEHの会場でキャッチ。(右)Sarah Gottschalkさん、(左)Nike Van Dintherさん トレードショーに関しては最大規模を誇るPREMIUMを筆頭に、スポーツブランドやメンズブランド中心のSEEK、ストリートやエクストリームブランドのBRIGHT、エシカルやサスティナブルブランドをメインとしたGREENSHOWROOMなどがある。PREMIUMのアフターパーティーがベルリン有数のクラブ“Kater Blau”で開催されるというのもベルリンならではであり、招待オンリーのパーティーでありながら早い時間から通常の週末以上の盛り上がりを見せていた。ファッションウィーク関連のパーティーであっても撮影禁止だったためリアルなレポートをお届け出来ないのが残念だが、そういったポリシーを貫く姿勢もベルリンらしい。 カール・ラガーフェルドが過去に“Der Berliner Salon”に顔を見せていたようだが、ドイツ人デザイナーであっても世界的ブランドとなれば、ベルリンのファッションウィークで何かを催すことは滅多にない。 しかし、パリのようになる必要はなく、独自のスタイルを貫いているベルリンにおいては誰も望んでないようにも思える。また、ドイツの伝統的なクラフトマンシップの技術が光るブランドやインディペンテントなブランドが重宝されることも大切なことではないだろうか? ドイツで最も平均年齢が低く、世界トップのクラブカルチャーを誇るベルリンらしい若さと活気あるファッションカルチャーがもっと見てみたいと思うが、きっと水面下ではすでに頭角を現してることだろう。

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