日航機墜落事故から33年を迎えた12日。墜落現場の「御巣鷹の尾根」(群馬県上野村)には、東日本大震災でわが子を亡くした親たちの姿もあった。墜落事故遺族の歩みに自らを重ね、「命の大切さを語り続けていく」と決意を新たにした。

 七十七銀行女川支店(宮城県女川町)で長男健太さん=当時(25)=を亡くした田村孝行さん(57)、弘美さん(55)夫婦は、野球部員だった息子の練習ボールを持参した。「安全な社会に向けて」と記し、9歳で墜落事故の犠牲になった美谷島健君の墓標に供えた。

 勤務中に津波にのまれた息子の命を無駄にしたくないと、企業の防災意識の向上を訴え、支店跡地での語り部活動を続ける田村さん夫婦。墜落事故の遺族が長年かけて企業や社会を動かしたことに感銘を受け、3年前から慰霊登山に参加する。孝行さんは「立場は違っても企業管理下での事故を無くしたいという思いは同じだ」と力を込める。

 33年がたつ今も、御巣鷹の尾根には多くの人が訪れる。弘美さんは「女川をこんなふうに受け継がれていく慰霊の場にすることが私たちの目標」と語った。

 児童ら84人が津波の犠牲になった宮城県石巻市の大川小学校で次女の千聖さん=当時(11)=を亡くし、学校跡地で災害の教訓を伝える活動をしている紫桃隆洋さん(54)。「御巣鷹山は悲しみを共有し、自分のすべきことが見えてくる場所」と話す。この日は、自宅で育てたヒマワリの花束を慰霊碑にささげ、墜落現場に点在する墓標に丁寧に手を合わせた。

 今年で5回目の慰霊登山だが、年老いた遺族が必死で登り、孫や子どもたちに当時のことを伝える姿にいつも心打たれる。「現場で根を張った語りをいつまでもしていこう」。そう誓うという。