八木典江(仮名・27歳)

 私の彼はカメラが趣味で、よく私のことを撮影しています。どこかデートに出かけた時だけでなく、室内で普通に過ごしている時、そして、ベッドの上でもカメラを回しています。さすがに服を脱いだ姿は最初、嫌だったのですが、「絶対に誰にも見せない」「厳重にハードディスクで管理する」などと説得されて許しました。

 そんなある日、彼の家に遊びに行った時、部屋のパソコンデスクに足を引っ掛けてしまい、シャットダウンしていたパソコンが起動しました。そこには、直前まで彼が見ていた芸能人のブログが映し出されたのですが、すでに亡くなっている方のページでした。私は「その芸能人、好きだったの?」と聞いたら、「死んでから好きになった」と言うのです。

 それから彼は、死への魅力についてベラベラ語り始めたんです。彼が言うには、死を迎えることで、その人はそれ以上年齢を重ねることがなくなるため、生前の存在が魅力的に見えてくるとのこと。なので、その人が死んだとわかると、それまでの映像や写真を漁るのが趣味なんだそうです。

 私が怖いと思ったのは、「事故や自殺で亡くなったセクシー女優さんの方が興奮する」と聞いた時ですね。亡くなった人のそういう行為で興奮するという感覚が理解できませんし、私のことを撮っているのも、きっと死んだ後のことを考えているからなのかな、と考えたら怖くなりました。それ以来、もうベッドでの撮影は断っています。

写真・flippinyank
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