巨大ロボットが実現するのは先の話……なんて思ってたらすでに完成していた?

そのロボットの名は「クラタス」。二足歩行ではないものの、人が搭乗して操縦できる正正銘の巨大ロボットなのだ!

去る7月29日、「クラタス」が初開されたガレージキットの祭典「ワンダーフェスティバル」に駆けつけた週プレ取材班は圧倒された。全高約4m・重量約4tの機体は、イデオンのように100ある非現実的な大きさではない分、眼前にあるとそのミリタリーテイストロボットとしてのリアリティハンパなく実感できるのである!

30の関節が油圧駆動し、タイヤ付きの4本脚で走行可。会場では女性パイロットがコックピットに乗り込み、腕を動かすといったデモンストレーションを行ない、集まった数人の見物客は歓を上げまくり! ついに時代がここまできたか!

しかも開発から制作まで、たったふたりでほぼ作り上げたというから驚きだ。そこで制作チーム重工」の中心人物、倉田光吾郎氏と吉崎航氏に緊急インタビューを敢行した!

倉田「04年ぐらいに1/1スケールの『スコープドッグ』(製立像)を作り、続いて時速200キロでサッカーボールを蹴飛ばすことができる『カストロール1号』を開発したことで、その両方の技術を合わせれば巨大ロボも作れるのではと思ったんです。電気系統について多少知っていましたので、当初はすべてひとりで作ろうと考えて制作を始めました」

たったひとりでスタート

しかし、やはり途中でいくつものにぶち当たったそうだ。

倉田「強度や運動について参考にできるものが少なかったので、ひたすらトライアンエラーの繰り返しでしたね。それにに制御系の知識がゼロだったため、操縦するのに大量のスイッチ操作が必要で、現実問題としてが何本あっても足りないほど複雑な操作方法になるところだったんですよ」

その問題を解決したのが吉崎氏の人ロボット用・演技ソフトウェアV-Sidoブシドー)」だった!

吉崎「飲み屋で倉田さんに『オレの巨大ロボ、制御しない?』って口説かれたんです(笑)。私は『パトレイバー』が好きで、巨大ロボット社会の役に立つような世界に憧れていたので、じゃあ一緒に作りましょうと。まず『V-Sido』をクラタスに導入し、回路の設計や油圧制御のプログラムを開発することなどがの役割でした」

V-Sido」のおかげで、操縦桿で動かせるぐらい操作が簡単になったそうですね?

吉崎「操縦桿のほかにもタッチネル操作、iPhone操作も可で、いずれも決して複雑ではないです。『ガンダム』のアムロ・レイしかり、ロボットアニメ主人公は初搭乗でも割とすぐに操縦できますよね。でもあれはセンスもあるでしょうが、やはりシンプルな操作システムがあったおかげだと思うんです。だから私もにでも操縦できる直感的な操作を強く意識しました」

そんなクラタス、量産ベースで開発されていて、なんと販売の受注も開始されているのだ!

倉田「価格は日本円にして約1億円。受注開始から1ヵほどの段階ですでにオーダーは3000件をえていて、アメリカイギリス韓国中国などさまざまなメディアから取材依頼が殺到している状態。うれしい悲鳴とは、このことですね」

1億円は安くはない額だけど、今は巨大ロボットが買える時代がついに到来したという事実を素直に喜びたい!

(取材・文/大介 健 照井磨 武季[A4stdio])

倉田光吾郎(くらた・こうごろう)


1973年生まれ、東京都出身。『装甲騎兵ボトムズ』に登場するスコープドッグの原寸大立像を創り上げたアーティスト。活動に集中するため山梨県内にアトリエを構え、現在、同県に移住

吉崎航(よしざき・わたる)


1985年生まれ、山口県出身。クラタスにも使われている人ロボット用の演技ソフトV-Sido」の開発者。産業技術総合研究所スタッフ奈良先端大学博士課程学生でもある

 

千葉・幕張メッセで開催された「ワンダーフェスティバル」に姿を現した巨大ロボット『クラタス』