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 復興関連事業や次世代クリーンエネルギー、生活保護費負担金など、現在注目されるテーマが対象となった「新仕分け」が、2012年11月16日から3日間にわたり行われた。今回はニコニコ生放送の中継を通じてリアルタイムに実施されたユーザーアンケート結果や、ツイッターで寄せられたコメントが「民意」として、仕分けの現場で活用された。情報を公開し、ソーシャルメディアを活用して国民の参加を促す「オープンガバメント」への第一歩になるのか。新仕分けの最終日となった11月18日、「特別セッション」として、ニコニコ生放送で引き続き放送、新仕分けに参加していない有識者をまじえ、その意義やレビューシートの在り方、今後の展望などを討論した。

・[ニコニコ生放送]「仕分け」を仕分ける 新仕分け 特別セッション生中継&岡田副総理記者会見) - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv115221366?po=news&ref=news

 参加者は以下の通り。

秋山咲恵氏((株)サキコーポレーション代表取締役社長、以下、秋山)
市川眞一氏(クレディ・スイス証券(株)チーフ・マーケット・ストラテジスト、以下、市川)
清水涼子氏(関西大学大学院会計研究科教授、以下、清水)
津田大介氏(ジャーナリスト、以下、津田)
速水健朗氏(編集者・ライター、以下、速水)
福嶋浩彦氏(中央学院大学社会システム研究所教授、以下、福嶋)
古市憲寿氏(東京大学大学院総合文化研究科博士課程、以下、古市)
岡田克也副総理(以下、岡田)
藤本祐司副大臣(以下、藤本)
寺田学補佐官(以下、寺田)
加藤秀樹氏(行政刷新会議事務局、以下、加藤)
藤城眞氏(行政刷新会議事務局、以下、藤城)
進行役・伊藤伸氏(行政刷新会議事務局、以下、伊藤)

伊藤:速水さんどうぞ。

速水:今回の新仕分けも、初日、復興特別会計の話から始まったわけですけど、復興特会はどう考えても問題あるだろう、というような話題もあがったのって、やっぱりレビューシートを公開されているものなので、その中から、ちょっと使い道おかしくないか、というのでNHKが報道し始めたというふうに聞いています。基本的に仕分けというのはずっとやってきているわけなんですけど、それに関してこういうふうな仕分けが行われました、この3日間やってきたことっていうのが報道されると思うんですよ。昨日、おとといもされていましたし。

 ただ、いま津田さんが言ったように、これは二つのレイヤーがある。一つ、ショー的な要素があるわけですよね。この3日間でやったことに対して、こういうふうにマスメディアの方々が取材に来て記事にしてもらえる、というようなことがある。それで予算に関して注目される。もう一つ、これが常にネット上に公開されているってことは、常に、そこに問題があるのであれば、事後的にでも指摘ができるということなんですよね。予算に関して。そこでまた問題があって、それを検証するっていう作業は、別にマスメディアだけの話ではなくて、ウィキリークスのように、いろんなものがデータだけネット上にあがってきました、じゃあこれをみんなで解析しましょう、データジャーナリズムとか言われますけど、今回本当に行政刷新会議がやったレビューシートの公開っていうのは、データの公開でもあるので、このデータをもとにして、ネット上にいつでも見られますよ、誰でも見られますよ、集合知でこれを全部トレースしていって問題を見つけていけますよ、っていう状況だと思うんです。

 なので、行政と政治の問題っていうよりも、本当にメディアの側の問題になっている。オープンガバメント、政治の透明化って、基本的にそういうことなんですよね。全部出しますから、もちろん出されるものがすべてのデータではないってところも問題なんだけど、まず、出されたんだからそれを検証しようよっていう段階にきているんです。僕も含めて、これはメディアの側のフェイズ、重要なものを任されているフェイズにきてるなと思ってます。

伊藤:今日はこのあと、副総理の会見がありますんで、いまメディアの方も傍聴されているんで、ぜひ会見のときにそういった話も出ればなと思います。一つ、今後の課題にもつながると思うんですが、レビューシートもですね、いまもずっとコメントが流れていますが、PDFでしか出せていない。一応、今年度からエクセルバージョンっていうのは出しているんですけど、よくみなさんに言われる「CSVで出せないのか」っていうところが、技術的にいろいろ考えてもみたんですが、まだできていないという状況でして。そういったところ、見せ方もそうですし、仕分けやレビューの手法、あとは政治や国会との関係も含めて、課題の部分でどなたかご意見ある方いらっしゃいますか。福嶋さん。

福嶋:レビューシートをわかりやすくするっていうのも大きな課題ですけど、どんなにわかりやすくしても、それをちゃんと読めるというのは、限られた範囲になると思うので。それにもとづいて議論をするところをできるだけ多くの人に見てもらうということが大事だと思うんですね。私は自治体の行政と国の行政と両方を経験しましたけど、やっぱり国の省庁って、本当にしみじみ思うのが、普段自分の省なら省がやっていることに関心を持って見てくれている国民というのは、自分が所管している業界の人だとか、関係団体の人に限られちゃうし、国民の声としてくるのも、そういういう人たちからの声しかこないんですよね。この事業仕分けを通して、国民が自分に直接関係するものも、直接関係しないものも、納税者として、国がどんな事業をやっているのか見て、その議論を聞く。

 さらに、今回のようにツイートで意見を言える、というのは、ものすごく大きな意味があったと思います。やっぱりツイートで意見を言うひとの範囲というか、層というかを、どんどん増やしていくことが大事だと思うし。例えば、自治体の事業仕分けでは、判定を仕分け人がやらずに、無作為抽出で選んだ市民がやるというやり方も広がっているわけですよね。そういう経験を積んだ、持った人がツイートするだとか、あるいはもっと、町内会でお祭りをどうするかっていうことをいろいろ議論して結論を出した、というリアルな社会でいろんな議論をした、対話をした経験を持つひとがまたツイートをしていく、というそういう広がりも大事かなと思います。

■「紛糾したトピックは延長する仕組みを」

伊藤:加藤さん、判定人方式の話を。

加藤:言葉が良いかどうかは分からないですけど、ある種のトレーニングは必要だと思うんですね。ですから、もちろん仕分け人もそうですし、仕分けられるというのか、各省の側の方も。私は各省のひとの説明を聞いていると、3年前よりもずいぶん慣れてきた面もあると思うんですね。それから、それこそ後ろで並んでる課長とか課長補佐の方もしょっちゅうこうやって頷いてる、頷いていいのかなとも思ったりしますけども、一生懸命メモをしているんですね。そういうものの積み重ねっていうのは、すごく大事だと思います。ツイートをする人、コメントをこうやって返してくる人のトレーニングと言うんですかね、こちらもやっぱり、それをリテラシーというのか分からないですけど、それが慣れてくる。いろんなところでちょっとずつ積み重ねが必要になると思います。

 一つだけご紹介しますと、地方自治体の仕分けは、いままで160回くらいやってます。もう10年目になります。今日も岡山でやってるんですけども。最近、ちょっといま福嶋さんがおっしゃった、市民判定人というのがありますね。これは、仕分け人はここで議論をするんです。裁判員と一緒で、後ろに無作為に選んだ20人30人のひとに聞いてもらって、その人たちが判定だけするわけですね。そうすると、その人たちというのは、その日以降、ものすごく行政や政治に関心を持ってくれるんですね。ですから、関心の持ち方というのは、いままでは単に注文するとか単に文句を言うことが中心だったのが、無作為ですからね、本当に普通の方々なんですが、「まあ難しいよな」とか、本当の意味での理解が進んでくると思うんです。地方もそうだし、地方は本当に身近な事業を議論をしてますから、「あ、あれかなあ」とみんな思いながらやってる。国もこういうことで、重ねる、続けていくっていうことが大事だと思いますんで、次の政権でもぜひお願いします。

伊藤:津田さんどうぞ。

津田:さっきちょっと仕組みの話になったので。一つ思ったのは、事業仕分け、ずっと1回目から6回目まで見てきて思ったのが、すごい根本的な話なんですけど、「1個1時間じゃ足りないよね」っていうのはあって。これは当たり前なんですよね。当たり前なんだけど、ただ、変な話なんですけど、すごく盛り上がるものと、盛り上がりに欠けるものっていうのがある。そのときに、たとえば、盛り上がったりとか議論だったりとか、これはまだちょっと足りないよねみたいなものを先延ばしにするようなもので、議論が紛糾したりとか、いまだったらネットで見てますから、ネットで見てアイディアがたくさん出てくるようなものは、延長戦みたいなものができる、このトピックに関しては延長してもう1回やりましょう、第2回、第3回、第4回っていって、そのなかでまた見てくるというような仕組みがあってもいいのかなとちょっと思いました。

 でも、これってたとえばオバマがね、2008年に大統領になった後、一番最初に作った「Change.org」っていうウェブサイトがあって。あれは要するに、いろんなマニフェストを掲げましたと、いろんなマニフェストを掲げたんだけど、同時には全部をできないから、優先度の高いものを議論しながら投票してくださいと、そこで手のつけやすいものから順番にやっていきますっていうことをやった。それも一つのオープンガバメントのやり方としてやったので、こういう仕分けみたいな仕組みで、非常に国民の関心が高いようなものを、別に全部民意に委ねる必要は無いですけど、ひとつの参考にしていく、みたいなものがあって、「これに関しては5回仕分けをやって、結構先が見えてきたね」ってなってきたら、そこではじめて「5回を超えたからこれは結論として強制力をもたせます」というような仕組みになっていく、というようなものも面白いんじゃないかなとか思いました。

伊藤:寺田さんどうぞ。

寺田:3年前に初めてやってから、今日までやりましたけど、数々やったなかで、良かった仕分けと悪かった仕分けがあります。それはやってる中で思いますけど、1時間だからどうこうということではなくて、良いものや悪いものがあるというのは、僕は、玉の選び方、何の事業を取り上げるか、そしてまたその事業に対して選択肢をどのように置くか、というところだと思うんです。やっぱり仕分けってこういうスタイルですけど、なじむものとなじまないものがあります。なじむものっていうのは、国民の共通の理解をある程度持てるような関心事項であり、その構図自体がある程度単純なものであると。で、合理的な結論っていうのを導きやすいものですけども、なじまないものっていうのは、やっぱり複雑であって、かつ合理性だけじゃ語れないものなんです。

 一番最初のときに、僕は事務局側と玉選びのときにケンカしたんですけど、地方交付税をやりました。地方交付税はものすごく予算を食っているので、財務省はやりたいんだと思うんです。やりたいからこそ押し付けてはくるんですけど、大きな制度ですし、地方っていうものすごい難しい問題を抱えているものを1時間のコマに当てはめて、ガーッと議論して専門的な言葉が飛び交って、で、1時間で結論として、見てるひとがわかりきれないような結論をばーんと言っちゃって、それが予算査定のところに活かされていくっていうのは、やってものすごい忸怩たる思いがありました。

 だから、これからどういう感じで続けていくか議論するんですけども、やっぱり玉選び、事業選びをちゃんとやるってことと、その事業をどのような結論として選択肢を置くのかと、で、多数決をとるのかと、それをやらないと、はっきり言って、財務省の下請けになると言われてもおかしくない問題じゃないのかなと思います。そこら辺は、事務局のなかもそうであり、政務が関わる形だったとしたら、政治側が「これは本当にみなさんに問題意識を持ってもらいたいものだからやるんだ」と、単なる予算を削るための口実作りじゃないんだというところを持てるか持てないで、クオリティの高い仕分けなのか低い仕分けなのかに別れると思います。

■「仕分けを続けていくことが重要」

伊藤:次、秋山さん。

秋山:私は1時間の限界ということについてはみなさんと同じ意見なんですけど、一方で1時間の可能性というものもあるのではないかと思っています。1時間で、今日拝見していて、たとえば農林水産漁業関係だけでも、今日取り上げた事業以外にも、やはり議論すべきだと思われるものは他にもたくさんあるんですね。そういう意味では、なるべくカバーしていったほうがいいだろうということと、あといま何人かの方からお話ありましたけど、1回きりの1時間で話ができることだとか、議論が深められることというのは限られていますが、これをたとえば1年、2年、3年、5年と続けていくことで、内容が深められるですとか、そのことがまさに政策に反映されるような内容に高まっていくということがあるという意味で、ぜひこの仕組は、始められたのは民主党さんですけれども、今後も仕組みとしてはぜひ残していただきたいというふうに思います。

伊藤:清水さん。

清水:レビューシートの話なんですけど、ちょっと細かい話です。今日、私が担当させていただきました、農水の補助金の関係は、慣れていらっしゃると、やっぱりこう、ご自分の都合の良いように書かれる傾向があるなって感じました。特に過去のレビュー結果とかはっきり言うと、否定的な答えが出ていてもあまりそれが書かれていなかったりとかですね。そういう事実も書かれていなかったりとか。あとは新規事業であるかのような書き方がされている。こんな中枢たる事業が新規なわけないなと思って見てみると、やっぱり前に先行するものがあったりとか、そこが非常に分かりにくかったというふうに思います。それから、政策評価との関係がよくわからなくてですね、実は違う政策でも同じ政策があったりとか、同じ政策のなかで政策効果が他にあがっているのかどうかとかですね、見る上ですごくわかりにくかったということが三つ目。あと、資金の流れ、これは非常に良いと思うんですね。自治体のなかでも進めてるんですけど、資金の流れ良いと思うんですが、25年度だからという理由で書かれてなかったりとかですね、これはもう判断するのに困難を感じましたので、書き方につきましても統一するべきではないかと思います。

伊藤:藤城次長どうぞ。

藤城:いまお話を頂きました、政策評価との関係なんですが。これはレビューシートを今後どうやって進化させていくかという観点から、非常に重要なポイントだと思っていまして。まだ、あまり外の方はご存知ないかもしれませんけど、政策評価というのは、いままでは、やたら厚い、本のようなものを作って、定性的なことをいっぱい書いて、私のやってることはそんなに間違いない、というようなのが比較的多かったんですね。だけどいまは、できるだけそれを、一つの政策に1枚のシートで、特に数字で、どういうことがいま行われていて、今後どうしたいのかというのを書くような形で、いまシートを変えようとしています。

 これは、総務省と議論をしながら、レビューシートを政策評価にしてみたら、というような感じで、政策評価の施策のほうをいまシートにしようとしています。今後はその施策にぶら下がる、事業というもの、これはレビューシートでオープンになっているので、どの事業がどの施策にぶら下がっているかっていうのを、1対1でちゃんと対応関係をはっきりさせて、この施策、そして事業というのを一緒に見ることができるようになれば、「この施策をやるためにこんなに事業がいっぱいいるのかな」とかですね、今日もどなたか仕分け人の方が言われてましたけど、目標が一つなのに、ツールがなんでこんなにいっぱいあるんだろうっていう議論がありました。こういうのもいっぺんに見れるような感じになってくると、事業の優先順位っていうのも、その範囲のなかで議論ができないか、さらにいけば本当は施策のシートをいっぱい見比べながら、施策の優先順位というのも、大きな意味では今後の議論になると思うんですけども、そういうことを今後期待したいと思っています。

伊藤:市川さん。

市川:私も6回、ほぼフル参加をさせて頂いているなかで思ったのは、役所の皆さんもインテリジェンスがめちゃくちゃ上がっています、仕分け対応という点では。今日、まさに国交省と経産省がですね、前回の提言型政策仕分けのなかで、既築住宅について、省エネ化を進めるという事業を一緒にやれと、言われてですね、一緒にやりましたというホームページが立ち上がってるけれども、実は事業内容はものの見事にまっぷたつに別れてた。あれなんかは本当に、役所のインテリジェンスが上がっているなあという感じがする最たるもので、やはり事業シートということであれば、事業ということであればもう少し横串で見れるような、他省庁も含めて類似の事業がどうなっているかというのが、見られるようなものが出てくるようになってくると、もっと分かりやすくなるのかなあというのが一つです。

 それと、もう一つだけ申し上げたいなあと思うのが、先ほど秋山さんのほうから、「続けていくことが重要だ」というご指摘がありましたけれども、それはまさにそうで、昨年の11月に提言型政策仕分けをやらせていただいた時に、生活保護の件をはじめて取り上げをさせていただいて、ものすごくデリケートな話で、私たち議論させていただく人間も相当プレッシャーがかかったと思うんですね。一つ間違えると本当に大変なことになってしまう。その中で議論をさせていただいて、ここにはなにがしかの問題がある、制度が老朽化しているというようなコンセンサスが得られた。途中、品がない、個人叩きみたいになってしまって、そこは非常に残念でしたけれども。

 ただ、前回の、昨年11月の提言型政策仕分けでやった生活保護の時の厚生労働省との議論と、今回、新仕分けでやった厚生労働省との議論というのは、たぶん見比べてみると全然違う内容になっていると思うんですね。明らかに、厚労省側も世の中がどう変化しているかというところを見て、問題意識を持って変えていかなければならないという状況になってきていると思いますので、そういう意味では、継続的にやって行く、特にこの大きな仕組みについて言えば、そういう視点、そういう方法というのはオープンな席でやっていくっていうのが、とても大事なことではないかと思います。

伊藤:福嶋さん。

■「どんな事業を仕分けるか玉選びが大事」

福嶋:継続してやって行く時に、先ほど、寺田さんがおっしゃった「玉選び」というんでしょうか、どんな事業をかけるのかっていうのはとっても大事だと思うんですね。自治体と同じようにできないことは私も百も承知で、わかっていていうんですけども、自治体ではどの事業を仕分けにかけるかもオープンな場所で、仕分けのような場所で議論をするような取り組みも始まっています。
ですから最低限、なんでこの事業を今回選んだのかということの説明責任がまずは必要でしょうし、できれば何らかの形で、事業を選ぶのにもいろんな人の意見を反映させて行ける仕組みができたら良いなあと。そういうことができれば、この間やった事業をもう1回やれとか、そういうことも出てくるかも知れませんし、そういうこともチャレンジして行けたら良いなと思います。

伊藤:加藤さん。

加藤:今のは、事業選定委員会というのを作ってやったら良いという試みが地方にはあるということです。それからもうひとつ例として申し上げますと、これは今後の話なんですけども、例えば、レビューシートがデータベース化されると、規模別とか地域別とか、場合によってはたくさん予算を受けている企業別とか、これはすごく面白いと思うんですよね。なかなか大変だとは思いますけども。

 ですから、データベース化をしていけば、さっき藤城次長が言っていた政策評価も、各所でいろんなものを作らなくて良いんですね。1本レビューシートを作って、それをデータベース化して、それを全部の省で共有すれば、作るほうも楽になりますし、使うほうも非常に使いやすくなりますし、こういう紙モノの作り方ということで言えば、そこが一つのターゲットかなと思っています。

伊藤:副総理、どうぞ。

岡田:ちょっと宣伝しておきますと、このレビューシートを作ったことで、ここで具体的に問題ありと指摘されなくても、あらかじめこれを作ったことで、やめちゃった事業とかあると思うんですよね。指摘されなくてもこれはちょっとマズそうだと、まずは一つの役所の中でも、それぞれどういう事業をしているかっていうのを把握している人たちは、そうたくさんいるわけではなくて、隣の局や課で何やっているのかがわからないわけですよね。そういうのは、一覧性を持って見られるようになったということ。

 したがって、ダブっているものやおかしなものは調整してやめようということになったと思います。これは言い訳じゃないんですけど、我々は予算の削減ということで、当初お約束した通りのことは出来なかったわけですが、このレビューシートを作ったことで、我々がやらなくても自然になくなっていったものとか、これからダブりが出てくるようなものが未然に出てこなくなったという、そういう効果は非常にあるんじゃないかと思っております。

伊藤:追加的に申し上げると、今、事務局ができることとして、レビューシートを検索できるようにはなっているんですね。ただ、無料検索機能を使っているので、例えば「エネルギー」って打つと、だいたい「エネルギー」に引っ掛かるのが全部が出てきてしまうので、たぶん10万件とか出てきてしまうと。本来であればちゃんとタグ寄せをして、タイトルに「エネルギー」と書いてはどうかとか、目的に入っているかどうか、タグ寄せをする必要があるなと思うんですが、そこは今後の課題になるんだろうなと思います。
藤城さん、どうぞ。

藤城:事業の選定という意味においては、さっき言われたような事業選定委員枠みたいなものを設けてみるっていうのは、ひとつのアイディアだと思うんですよね。ただ、私も地方の仕分けに行って感じるのは、選定委員会が選んだものでありながら、「何を議論したら良いかわからない」みたいなものも混じらないかというと、結構、混じっているのも実態なんです。それは、選ぶ方も決してそんなに地方が分かってないで選んでいる面があるかもしれないし、ただ、議論をしてみたら意外と面白い論点があったりもするものですから、そういう意味ではやや「科学研究費助成事業」みたいですけども、基礎研究みたいなもので、その中から出てくるかもしれない枠っていうのは当然あっても良い。

 あと、例えば、フワフワしているけれども、非常にこだわってる事業をみんなで議論してみようというのがあっても良いし、あるいは、政策のAとBがあるけれど、皆で熟議をしてみて、結論は出ないけれども、皆でそれを見てみるのがいい、というのがあっても良いし、ターゲットによっていろんな種類の事業選定がありうるので、そういうのはまた今後考えて行きたいなと思います。

津田:今、ニコ生のコメントで、「毎月やれば良いじゃん」というのがありましたけれども。

伊藤:副総理、どうぞ。

岡田:今日やった、テーマを選定するというというのは、基本的に事務局でやってまして、我々、文句をなるべく言わないようにしているんですね。今日、改めて感じてみて、「環境未来都市」なんてのは、これは民主党政権の目玉政策のひとつですから、それがここにあがっているというのは本当に良いのかなと思いながら聞いてたんですけども。そのぐらい、公平客観的にテーマ選定はしていますということです。

伊藤:あの、もう時間になります。最後に1点だけ、先ほど秋山さんたちから、同じテーマを繰り返してやるという中で、実はこれまでも同じ事業をやってきているんですが、逆にそこが叩かれる材料になっていて、結局、「仕分けをやっていても変わって無いことの証拠だろ」ということをずっと言われてきてたんです。あくまでも事業仕分けというのはひとつの手法なので、コストカットをすることだとか、目的化するべきでは無いことが大前提なんですが、まさに今回は副総理が一つの仕分けの結果をそのまま踏襲するという、その目的でこの手法を使ったことが、ひとつの考え方だと思うんです。

 例えば自治体であれば、結果、廃止になった場合は翌年度に継続とか良くあるんですね。ただ、その時には、首長がちゃんと説明責任を果たすと、そこの担保があれば必ずできるということでやってきているんです。最後にどなたか、この仕分けの結果というのが、どういう風に扱うべきなのか、実は、ここが今まであまり事務局の中でも議論してこなかった部分でもあるんですが、どなたかご意見があればお聞かせいただきたいんですけど。ぜひ、外から来られている方で、津田さん。

■「課題をマスコミが作るのではなく、政治やネットから作る」

津田:強制力がないっていうことですよね。そこに対しての批判はあったんですが、仕分けで出てきたものを、これまたさっきのマスメディア問題に戻りがちなんですけど、夕方のニュースで報道されて終わりっていうところではなく、むしろそこで出てきた論点というのが、おそらく新しいアジェンダだと思うんですよね。今までそういった国民的な政策の議論のアジェンダというのはマスメディアがトップダウンで要約して作っていた。

 それで社会のほとんどが、何とか理解できるくらいには、昔のほうが政治社会は単純だったし、政治もそこそこ上手くいっていたっていうのが、今は非常に利害関係者も増えてきてしまったし、情報環境でいろんなものが可視化されてしまったから、本来だったら見なくても良い、みんな気付かなかったことまで気付くようになったので、アジェンダ作りっていうのもすごい難しくなっていると思うんですよね。その意味では、事業仕分けはアジェンダというものを、メディアからトップダウンで作っていくというのではなくて、政治の中から、そしてまた、ネットを通じていろんな意見を言うことによって、「これがアジェンダになるんじゃないの?」みたいなものが可視化されるわけです。

 今、市民メディアの世界だと、「アジェンダビルディング」という言葉があって、政策討論するべき話題を作って、これを1年かけて討論しましょうみたいなもので、さっき寺田さんのほうからも、「良いものも悪いものもあった」っていう中で、良いものが良い議論になる。そして、それが政策につながるようなものを、きちんとメディアも俎上に載せていって、これはすぐに結論が出る問題じゃないんだから、3年とか5年かけて議論していきましょうよという環境とか、国民のほうも時間をかけて議論しなきゃいけないんだよっていうのを共有させるような雰囲気を、政治家の側も役人の側も、そしてメディアの側も、国民のほうもね、焦らずにそういうのをやっていく、そんな空気を作るのが一番重要じゃないかと思いますね。

伊藤:加藤さん、どうぞ。

加藤:今の問題は難しいですけども、私はそんなに堅く考えなくても良いんではないかと。岡田副総理のようにこれはキッチリやるんだと言っていただける方もいらっしゃるし、そうでない政治家も多いわけですよね。続けることによって霞が関にはもう相当、浸透しました。残念ながら、報道の世界にはまだまだ浸透していないと思います。ですけども、こういうやり取りをすることが浸透していって、だんだんリテラシーというものが上がっていって、それで実現できないものは2回でも3回でもやって、みんながそれを知るようになったら、最後はどこかで実現するようになるわけですし、どこに問題があるかということも浮き彫りになっていくし、いろんなことの紆余曲折、とにかく続けるってことが大事なんだと思います。制度とか手法というのは、それ1個で完璧っていうのはあり得ないわけですから、何かが足りなければまた付け足していくっていう、そういうなかでやっていくものだろうと思っています。

伊藤:最後、3名から一言づつ、締めの言葉をいただきたいと思います。そこで副総理も締めていただければ。古市さん、どうぞ。

古市:こういう、ネットを使ったものって完成はないと思うんですね。ちょっとずつ変えていけば良い話で、さっき僕の鼻の調子が悪かったら、「ティッシュ持って行ってあげたら」とか、これもツイッターとかでつぶやいたから持って来ていただいたであろうと思うんですけど。こんな風にこの仕分けも、今日はたまたまニコニコ生放送1番組だけでしたけど、もう1番組くらいあっても良いかなと思って。もう1番組で、論点をずっと整理するような方を。逆に、ずっと解説だけをするような番組があっても良いかもしれないし、ウェブと言う空間がひとつであっても、いくつかのチャンネルが同時に成立できる場所なので、仕分けってものも、例えばニコニコ生放送で1対1で対応するのでは無くて、もっと複数の場があってもいいのかなと思いました。

伊藤:津田さん、どうぞ。

津田:はい、だいたいもう言いたいことは言っちゃったんですけど、ずっと思っていたのは、こんな金髪を呼んでいただいてありがとうございますということで、1日目、野田首相が来て、首相の前で僕もこんな意見聞いてますよと言っているわけですから、結構、今のこの画面の絵面だって、岡田副総理が横にいて、この怪しい金髪と、変なテレビ業界人みたいな速水さんが居るわけですよね。おかしいじゃないですか。その絵自体がけっこう面白いなあと思って、岡田副総理の横で話をさせてもらっていること自体が、これが実現したことが、インターネットすげえなあと思うんですけど、コメントを拾う動体視力が良かったというだけでここに呼ばれているというものなんで、僕は。裸眼で1.5の視力があるんで、その視力を与えてくれた両親とインターネットと、そして呼んでいただいた行政刷新会議に感謝していますし、こうやって金髪が簡単に参加できるようなのが真の民主主義なんじゃないかと思いました。以上です。

伊藤:はい、速水さん、どうぞ。

■「意見はちゃんと取り入れられる」

速水:僕、3日間ツイートを追ってきて、それなりに変化があった部分というのは、3日目に農業NPOの方々が、当事者の側からの意見が来るようになったのが、3日目の進化だと思うんですよね。1日目で津田さんが、「あっ、意見はちゃんと取り入れられるんだ」というのがわかった瞬間から、ちょっと変わり始めたと思ったんですけど、自分の意見がこうやって反映されるんだっていうことがわかるっていうのが、こういうことをやるうえでの一番重要なことだと思っていて、「リテラシー」っていう言葉をさっき加藤さんがおっしゃられていましたけど、やっぱりネットで参加する側のリテラシーっていうのは非常に大きい。

 ただ、一方でそれが、ソーシャルメディアを今回使って、効果があったんじゃないかというような結論であったと思うんですけど、それが永続的にそうかというわけでもなくて、2日目で、ちょっと具体的にどれというわけではないのですけど、これは動員がかかったなっていうような、利益目的の動員というか。今のソーシャルメディアっていうのは、ものすごくプリミティブな状況なので、僕らは素朴な意見として受け取っているんだけど、当然それが効果があるというのは、そうではなくなるわけで、どんどんソーシャルメディアの立場も変わって来るし、匿名の意見が本質では無いので、本当に参考意見として取り上げているっていうところから、僕ら抽出する側がどういうリテラシーを持って抽出するかすごい重要なところなので、かなりプリミティブなところで今、「効果があったよね」って言っている部分があるんだと思います。

 そこに関しては、ただ単に「集合知って良いよね」っていうことでは無い部分として、今後、反省して行かなきゃいけないところは絶対出てくると思うので、そこはちょっと肝に銘じて、とは言え、継続することがすべてだと思うところは変わらないと思います。僕も3日間一緒に仕事をさせていただきまして、みなさんありがとうございました。

伊藤:それでは最後に、岡田副総理からお願いします。

岡田:みなさん本当にありがとうございました。何度もみなさんのお話しにも出てきますが、行政事業レビューもこの事業仕分けも、続けることに非常に価値がある。これからもしっかりやっていきたいと思います。3日間ここにずっと座っていましたので、選挙運動が出来なくてちょっと焦ってはいますが、我々はもちろん野田政権のもとでずっとやっていきたいとは思いますが、いかなる政権になっても、この財産はしっかりと継続して引き継がれていくということが非常に大事だと思っております。本当にありがとうございました。

伊藤:以上で、特別セッションを終了いたします。ありがとうございました。

■岡田副総理会見「しっかりと引き継がれていく必要がある」

伊藤:それではこれより、副総理記者会見を始めたいと思います。岡田副総理、お願いいたします。

岡田:しゃべり疲れましたので、特に申し上げることはありませんが、非常に良い形で3日間を終えることが出来たと思っております。特に、初日の復興予算の問題については、さまざまなご意見を頂きました。かなり厳しいご意見が多かったと思いますが、こういったご意見を踏まえて、復興予算をどの範囲で使うべきかと。特に、全国防災との関係ですね。そういうことについて、政府としての、きちんとした基準を作ることが重要ではないかと思っておりますので、この点は、協議を政府の中でやって、あまり時間をかけずに基準を出していきたいと、そういう風に思っております。

 そのほか、生活保護の問題は非常に難しい問題ですけれども、ジェネリックの話とか、全体の水準の話とか。もちろん、本当に保護が必要な方に保護が行くという大前提のうえで、少し考え直さなければいけない点が議論され、結論として出たのではないかと思っております。いずれにしても年末、予算編成にかけて、その間、総選挙もありますので、難しいところはありますが、関係省庁とも良く議論をして、方向性をそれぞれしっかり出していきたいと思っております。予算編成にしっかりと結果が反映されるように、最善の努力をしたいと考えております。私からは以上で、何かご質問があればお受けしますが、具体的な今日の議論については、藤本祐司副大臣のほうから、後ほどご説明をさせていただきたいと思います。

伊藤:それでは質問を受け付けたいと思います。今日は新仕分けに関連するということでお願いいたします。

七尾功(以下、七尾):ニコニコ動画の七尾です。よろしくお願いします。お疲れ様でした。岡田副総理に2点お願いします。まず、先ほども若干、言及はあったんですが、ソーシャルメディアを活用しながらの今回の議論手法についてどう思われたのか、単なるノイズなのかですね。それともなにかガイドとなりうるものがあったのか、これが第1点でございます。

岡田:先ほども言いましたが、いろいろと出てきまして気にはなるんですが、自分が一生懸命しゃべっている時は、実は見るヒマがなかなかなくてですね、そのへんは一定のそういう前提のもとでのことだったと思います。ただ、双方向ということは非常に意味のあることで、「ちょっと堪忍してくれよ」っていうようなコメントもありましたが、全体的には良いご意見も多く、そういう意味では良かったと思います。

七尾:もう1点ですが、先ほどの議論のなかでも「オープンガバメント」がございました。これは野田総理が1日目のぶら下がりで発言されたことであります。岡田副総理は、オープンガバメントのパイオニアのおひとりだと思うんですけども、ユーザーも、オープンガバメントの取り組みそのものについては、7割、8割が意義があるという、そういう判断なんですね。いっぽうで選挙もあって、今回政権が仮に変われば、オープンガバメントはもう終わりじゃないかという懸念もコメントで見られたんですが、この政権にとってオープンガバメントというのはどういう位置付けだったのか、今後どう継続していくべきだとお考えなのか、最後にお聞きしたいと思います。

岡田:非常に意義のあることで、継続すべきだと思いますし、私はかなりの程度、継続されるのではないかと思っています。第1の理由は、野田政権は継続するからということですが、もし、仮に違う結果が出たとしても、これだけの実績が築かれてきましたので、それをいきなりやめちゃうとか、方向転換するというのは、そう簡単なことではないと思っております。必要があれば選挙戦の中でも、この問題を議論していきたいと思っています。

七尾:野田総理が、最後の会見で「前に進むのか、後ろに戻るのか」という発言をしました。そのなかにオープンガバメントはあるという理解でよろしいでしょうか。

岡田:野党のみなさんがどう考えているのかは分かりませんので、そこは一言では言えませんが、我々としては、これはひとつの政権交代の成果だし、いかなる政権ができたとしても、しっかりと引き継がれていく必要があると思います。

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